ロシア経済トピックス
【経済トピックス】中印が「コペンハーゲン合意」に署名:天然ガス需要が増加へ
中国とインドは、2009年末のコペンハーゲン気候変動サミットで採択された合意書に署名した。コペンハーゲン合意には、2050年までに温室効果ガスを80%削減することが盛り込まれている。インドと中国が合意書に署名しなかったことから、コペンハーゲン・サミットは失敗であったとも評価されていた。
今回、インドと中国がコペンハーゲン合意に署名したことで、世界のエネルギー消費構図は変化していくだろう。特に、環境負荷の高い燃料である原油はその筆頭である。最近まで、欧米諸国の銀行の中には、2010年中にも中国の原油需要が急上昇し、それによって、世界的な原油不足と価格上昇が起きると予想していたところもあった。しかし、インドと中国がCO2排出量の削減を望んでいるということは、そうした予測とは裏腹に、当面の間は原油不足に直面することはないだろう。
一方で、多くの専門家は、原油・石炭に代わってガスの消費量が増加することを予想している。Veles CapitalのアナリストであるLyutyagin氏は、「今後、原油の採掘・販売は難しくなっていくだろう。ガスは、燃料としてみた場合、原油よりも普及していないが、将来的には、環境へのやさしさやその他の特徴から、ガスが原油のシェアに食い込んでいくだろう。」と述べる。同氏の予測によると、欧州では、EU圏内における天然ガス生産量の減少が見込まれる一方、ガス需要は増加する見通しである。Lyutyagin氏は、「従って、ガスの輸入量は増加するだろう。これは、ガスプロムにとって好都合である。」と述べる。IEA(国際エネルギー機関)のチーフアナリストであるファティ・ビロル氏によると、欧州向けのロシア産天然ガス輸出量は、向こう数年間で2400億立方メートルに増加する見通しである。
昨年12月末、ペトロチャイナの副社長は、今後数10年間のうちに、中国の天然ガス消費量は増加するとの見通しを示した。2008年における中国の天然ガス消費量は807億立方メートルであったが、2020年までに、それは3000億立方メートルに増加することが見込まれている。
欧州を始めとするOECD諸国では、代替エネルギーが天然ガスと競合する可能性がある。現在、欧州各国では、政府が代替エネルギーの利用増加を進めている。ロシア地域環境センターの専門家であるDobrolyubova氏は、「現在、EUにおける代替エネルギー源の割合は10%相当である。もっとも、デンマークやドイツでは、すでに、エネルギー資源の20%が代替エネルギーになっている。しかし、問題もある。代替エネルギーはまだコストが高く、技術も確立しているわけではない。」と述べる。
専門家の予測によると、2030年までにおける代替エネルギー消費量の伸び率は、年間にしてわずか2.9%である。ガス需要も、同様のペースで増加していくだろう。しかし、種々の代替エネルギー源に比べて、ガスは容易に手に入れることができることから、中国やインドでは、代替エネルギーが浸透しない可能性もある。
FINAM
2010_03_12L