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【経済トピックス】ロシアの対外政策

20100219topic.jpgNATOの代表者は、2月17日に、ロシアのセルジュコフ国防相とアブハジア共和国のキシマリヤ国防相が調印したアブハジア共和国内のロシア軍基地配備に関する協定を非難している。この協定によって、今後49年間にわたり、アブハジア共和国の黒海沿岸にある都市グダウタにロシアの基地が常駐することになる。

 NATOのロメロ報道官の発言を基に、ドイチェ・ヴェレ(Deutsche Welle)は、NATOがこの協定を違法だと考えていると報じている。また、ロメロ報道官は、NATOとしては、ロシアに対して、カフカース地方の共和国(アブハジア・南オセチア)領内にロシア軍を置かないことを規定した2008年の協定を遵守することを求めると述べている。ロシア政治情勢研究所の専門家であるVoyko氏は、「NATOの反応は当然である。NATO加盟国で、南オセチアとアブハジアの独立を認めている国はない。従って、南オセチアやアブハジアと交友関係を持つことは、NATO加盟国からすると、グルジアの主権を侵す行為なのである。一方、ロシア側は、2008年に取った立場を守ろうとしている。」と説明する。

昨年末には、NATOのラスムーセン新事務総長がモスクワを公式的に訪問した。同事務総長とロシア首脳陣のやり取りは、決して非友好的なものではなかった。ラスムーセン事務局長は、ロシアとの関係強化がNATOの優先課題であるとし、「私は、NATOの優先課題の1つがロシアとの関係強化であることを確認したい。NATOとロシアの関係が、相互の信頼に基づいたものになるよう、全力を尽くす。」と強調した。

先日、ロシアの新たな軍事ドクトリンについてコメントしたロシア安全保障会議のパトルーシェフ議長は、兼ねてより、この軍事ドクトリンは、NATOとNATOの東方拡大に対抗するものであると述べていた。同議長は、「NATOは、ロシアにとって相当な脅威である。」と指摘する。では、ラスムーセンNATO事務局長が述べた相互の信頼に基づく関係の構築はパフォーマンスだったのだろうか。

ロシア政治情勢研究所のVoyko氏は、ロシアのNATO加盟国との関係構築における障害として残っているのは、やはり、アブハジアと南オセチアの独立とNATOの東方拡大だと指摘する。同氏は、「これは、構造的な対立で、その解決は現在のところ先送りされている。実際、それを解決するための政治的意思はない。しかし、一方では、麻薬の密輸や国際テロ等、双方が共同で取り組むべき共通の問題もある。」と述べる。

モスクワ国際関係大学国際問題研究所のPetrov研究員は、現段階で、ロシアとNATOの友好を話題にするのは時期尚早だとしている。同氏は、「アフガン問題における利害の一致という点だが、NATOにとって、アフガン戦争は、2008年8月の南オセチア紛争以降に発生した重要性のはるかに高い問題である。従って、ロシアとしては、NATOに対して提案できることがある。」と述べる。

[米ロ関係の再起動は先送り]

ロシアとNATOの関係と同様の問題がロシアとアメリカの関係にもある。関係の再起動が宣言されたものの、戦略兵器削減条約(START)の継承条約は、まだ締結されていない。この条約は、2009年末までに合意・締結されるはずであった。もっとも、双方共に、条約の締結は間もなくであるとしている。ラヴロフ露外相によると、新たな戦略兵器削減条約では、戦略攻撃兵器のかつてない大幅削減を規定するものになる。同外相は、「現在ジュネーブで行われている協議の結果によって、戦略攻撃兵器は、数10年ぶりの大幅削減となる見通しである。」と述べている。

ロシアとEUの関係にも、最近、改善の兆しが見える。EUの代表からは、再び、EUとロシアのビザ緩和に関する声が聞こえている。また、ロシアのシュヴァロフ副首相も、CIS諸国とロシア、EU各国での統一経済圏創設を提唱して、前向きな姿勢を示している。しかし、現在のところ、統一経済圏の問題についてはもちろん、ビザ緩和の問題についても、具体案が出るところまでは至っていない。ロシア科学アカデミー国際安全保障研究所のFenenko研究員は、EUとのビザ緩和に関する問題は、ロシアにとって、喫緊の課題ではないと指摘する。同氏は、「ロシアとしては、極東地域で効果的な統治を行うために、同地域におけるビザ発給体制を強化することの方が重要である。また、EU加盟国の財政問題が噴出している中で、ロシアと統一経済圏を創設することがEUにとって重要なテーマとはなり得ない。」と述べる。

EUとの協議が具体化しているのは、経済分野に限られている。例えば、最近、フィンランドは、ノース・ストリーム・パイプラインの敷設について、ゴーサインを出し、最終的に承認した。また、ギリシャは、先週、サウス・ストリーム・パイプラインの敷設について反対しないことを表明した。また、ルーマニアもサウス・ストリームへの接続を希望した。ところで、ロシアとEUは、エネルギー供給分野における異常事態の早期通告に関する協定を交わしている。この協定は、ロシアとベラルーシが原油輸出の問題で対立した際に役割を果たした。この問題にあたっては、欧州の政府高官も解決に動いた。

しかし、ロシアとEUのエネルギー協力にも、全く影が見えないわけではない。欧州におけるサウス・ストリーム敷設事業の承認を得たことに満足したロシア政府は、2010年には、この事業がEUの優先プロジェクトリストに加えられるだろうとの認識を示した(シマトコ・エネルギー相の発言)。しかし、現在のところ、そうした動きはなく、優先度としては、ナブッコ・パイプライン(サウス・ストリームの競合)の方が高い。

ロシアとEUの協議は、双方の利益という点から、EU加盟国がサウス・ストリームの敷設を許可するのと引き換えに、ガスプロムに対して、トランジット料金の引き上げを求めて交渉する方向に動いている。現在は、ブルガリア(EU加盟国中、唯一、ロシアのサウス・ストリーム事業を承認していない)とトルコがトランジット料金の引き上げを要望している。

[南米に対する政策]

ロシアは、南米では、良好な関係を築いている。最近では、ロシア石油企業コンソーシアム(ガスプロム、ロスネフチ、ルクオイル、スルグトネフチェガス、TNK-BPが傘下)とベネズエラのペトロレオス・デ・ベネズエラが原油採掘に関する協定を交わした。また、主だった南米諸国は、アブハジアと南オセチアの独立を認めている。

先々週には、ラヴロフ外相の南米外遊が始まった。この外遊で、ラヴロフ外相は、ロシア製の武器や軍事技術を南米諸国に供給する契約を交わした。ロシアと南米諸国の協力関係は、武器の供給と引き換えに、ロシア企業の油田・ガス田開発を許可するという法則に立脚している。

欧米諸国は、ロシアの動きに注目している。現在のロシアと欧米諸国の関係は口約束を拠り所にしていて、文書化はされていない。これから、双方の関係は後退する可能性もあれば、進展する可能性もある。ロシアとアブハジア共和国の協定に対するNATOの反応も、そのことを示唆していると言えるだろう。

FINAM

2010_02_22L


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