ロシア経済トピックス: 2007年6月
ロシア預託証券(RDR)始動へ
2007年6月28日
ロシア預託証券(RDR-Russia Depositary Receipts)がいよいよ取引開始となるもようだ。ロシアの有力紙Vedomosti紙によると、ロシア最大の食料スーパー・チェーンを運営するX5グループ(本社:オランダ)がその第一号となる見通しである。同社は現在、ロンドンにGDRを上場している。同社CFOによると10月にも追加売り出しをロンドンとモスクワで行い、10億ドルを調達する予定。
RDRは今年になって施行された新制度で、仕組みとしては米国のADRに模している。ロシアで営業活動を行う外国企業や独立国家共同体(CIS)諸国企業にとって大きな資金調達手段となり、またロシアの投資家にとって投資先が増えることになることで、ロシア証券市場の活性化を促すことが期待される。
米系証券、相次いでロシア株の投資判断を上方修正
2007年6月15日
6月12日、ベア・スターンズ証券が、ロシア株の投資判断を"under weight"から"market weight"に引き上げた。これは国際分散投資におけるロシア株の組み入れ比率を国際株式指数並みに引き上げることを意味する。同社では、グローバルな投資家のセンティメントは今年に入ってからロシアに対してかなり悲観的だったものの、ロシア経済の成長は引き続き堅調で、割安なバリュエーションに注目が集まるようになった、としている。
同社によれば、予想収益に対して新興諸国の株価は平均13倍、また欧州・中東・アフリカ諸国の平均は11倍であるのに対し、ロシア株は9.9倍でしかない。ロシア株指数で大きな比重を占める石油・天然ガス関連企業の見通しからではなく、ロシア国内の要因を、投資判断引き上げの理由にあげている。注目するのはロシア最大の携帯電話会社モバイル・テレシステムズ(MTSI)、世界第二位の石油・天然ガス事業者向けパイプメーカーTMK(TRMK)などである。これらの銘柄は以前から"注目銘柄リスト"に入っており、この点での変更はない。
同社によれば、ロシアに投資するファンドの資産は年初から6月6日まで39%減少していた。MICEXでは外国人投資家が年初から5月まで1ヶ月平均65億ドルの売り越しになっている。一方ロシアのGDPは2007年第1四半期には7.7%の成長をとげており、ロシア財務省は2007年に7%成長、翌2008年には6.2%成長を予測している。
とみている。2007年第1四半期の企業収益(金融を除く)は16%上昇の377億ドルであった。中でも建設業は年率1220%増を記録し、ついで、輸送関連が同68%増、不動産業が同53%増となっている。
同社は今年1月4日付けで、割高なバリュエーション、石油価格の低下、政治リスクを理由にロシア株の投資判断を引き下げていた。
6月14日には、モルガン・スタンレー証券が、ロシア株の投資判断を"Under weight"から"Equal Weight"に引き上げた。同社では政治や企業統治のリスクを考慮しても、ロシア株を買うべき水準まで株価が低下している、と見ている。MICEX指数は大型IPOに向けた投資家による換金売りや、プーチン大統領による経済界に対する影響力強化を嫌気して4月16日から5月30日にかけて15%下落していた。同社のストラテジストによると、ロシア株は他の新興諸国株に比べ収益面で割安で、今年に入ってからアンダー・パフォームが続いていたものの、買いを入れるいいタイミングとなった、としている。またMSCIロシア株指数は、同エマージング指数に比べ12ヶ月業績ベースで23%割安である。ロシア企業は他の新興諸国に比べ配当利率が低いことも割安になる理由の一つ、としている。同社では、ベア・スターンズ証券と同様に石油・天然ガス会社よりもロシア国内の要因に注目している。推奨銘柄もロシア最大の携帯電話会社モバイル・テレシステムズ(MTSI)である。
スタンダード・アンド・プアーズ社がロシアの銀行格付けを引上げ
2007年6月5日
国際格付機関スタンダード・アンド・プアーズ社は5年ぶりにロシアの銀行格付けを引き上げました。格付けには1〜10グループまであり、現在ロシアの銀行機関は「より信頼出来る」と分類される第8グループに入りました。最も高い格付けは第1グループです。スタンダード・アンド・プアーズ社の信用分析アナリストであるエカテリーナ・トロフーモワによると、経済の安定した高い成長や、ロシアの前向きなマクロ経済の変化が評価見直しの根拠となったと述べました。また、信用調査機関は景気後退時のロシアの金融システムにおける、不良資産予測見通しを50-70%から35-50%へ改訂しました。ロシアのマクロ経済環境の改善を反映して、銀行部門における貸倒引当金が低下すればするほど、より一段と銀行の利益率を上げ、また経営多角化を後押しているということによります。金融部門で、特に信用格付けの高い銀行の投機的事業及び経営多角化に対して貸倒引当金の低額化を後押しした形となりました。ロシアは現在、アルゼンチン、エジプト、インドネシア、カザフスタン、フィリピン、ルーマニアと同じ格付けグループに属します。ロシアにおいて銀行の数が過多であることは明白な事実です。換言すればあまり健全ではない構造であります。」とのトロフーモワの論評です。スタンダード・アンド・プアーズ社ではロシア中央銀行が600社まで銀行数を削減するのには現在のペースでいくと10年間を要するであろうと予測しています。
「それは銀行改革が続いていると言うには長すぎる時間です。」とトロフーモワは述べています。ロシア中央銀行によると、2007年1月1日の時点でロシアには1143の銀行と46の非銀行系営利団体がありました。2004年の始めには、資本金500万ユーロ以上の消費者金融が462社ありました。その数は今年1月1日までに676社に、4月1日までに697社に増加しました。「ロシア中央銀行は、最近営業許可の取消速度を減速しました。」との大手銀行の情報筋の論評です。
それには2つの理由があります。 一つは違反者を見つける事がより難しくなった事です。もう一つは決して深刻に銀行の数を減らそうとしなかったためです。「約1200もの多くの銀行がロシアにあると言うとき、彼らは5000以上の銀行がアメリカ合衆国にあり、強制的に銀行の数を減らそうとは誰もしていないという事実を忘れている。」とエジュケーション銀行のアレクサンダー・アクロフ副会長の言葉です。