ロシア経済トピックス: 2008年2月
失業率のさらなる低下は見込めずか
ロシア連邦国家統計局Rosstatによると、2007年の失業者数は460万人となった(労働力人口の6.1%)。ロシア科学アカデミー国民経済予測機関の研究員であるKorovkin氏は、これはこの10年でもっとも低い数値であると指摘する。Gimpelson氏は、失業率が増加する要素も少ないものの、このまま失業率が低下するとは考えにくいと述べている。両氏は国際労働機関の失業者増加に関する予測(500万人増加)は、ロシアには直接影響しないとしている。何故ならば、ロシアの経済自体及び労働市場が特殊の状況にあるため。Korovkin氏は、ロシア経済における失業者の減少傾向は、一連の社会・経済的要素が相互に影響した結果であると述べる。同氏は、失業率に係る要素として、労働市場の構造的問題、景気の変動、労働力の移動等を挙げている。
経済動向の影響
Uralsibの経済学者Tihomirov氏は、失業率低下にもっとも寄与した要因はロシア経済の成長率の伸びにある、と述べている。一方で、経済成長率は、世界経済の動向に大きく左右される。ロシアが現在の経済成長を維持する上で大きく係わってくるのは輸出による利益と海外投資である。世界的に景気は減速傾向にあり、早くも2008年には輸出による収益が減少する可能性がある。そうなった場合、投資熱は下がり、消費者需要も減少することが予想される。2005年から2007年の予想を超える経済発展に寄与した大きな二つの要因はこの投資熱の高まりと、消費の伸びである。向こう3-5年先の展望として、(2007年8.1%であったGDP成長率は2008年に6.3-6.5%に減少の後)、ロシアの経済成長は、5.5-6%と堅調に発展すると予測している。
リスク
Tihomirov氏は、投資額や消費者需要によってもっとも大きく影響を受ける分野は金融業(債務不履行が増加し、新規クレジットの需要が減少することで)、建設業(収入増加が低速すると担保の条件が悪化)、小売・サービス業(特に富裕層を対象とした分野。旅行など)であると指摘する。同氏は、ロシアの特殊性(社会保障を重視する国策)を考慮に入れて、保健・教育で失業率が増加するとは予測していないが、効率性を高める政策が実施されると失業者が増える可能性も否定できないとしている。
HeadHunter社の社長であるVirovets氏によると、証券市場が下落し、さらにインフレによって物価が上昇すると購買力が低下し、小売及びサービス部門において人事削減の恐れがある。
人口変動の悪影響
Korovkin氏は、失業率の増加を防ぐ方法は、労働力人口の減少であると述べている。2005年、労働力人口は110000人の増加であったのが、2006年には減少し始めた。Rosstat(ロシア連邦国家統計局)、2008年の労働力人口を67万9000人の減少と予測している。2008年には、113万2000人の減少を見込んでいる。
同氏は、もし、失業率が増加するとしたら就労移民の増加はその要因のひとつであると考えている。2007年、FMS(連邦移住管理局)は、海外から213万6000人の就労移住者を登録した。非合法的に入国した就労者の数を挙げることは難しい。ロシア税関当局のデータによると、2007年、2200万人がロシアに入国した。そのうち観光ビザで入国したのは700万人のみである。2008年、就労移民の受入枠は180万人に達した。就労移民の数は、経済的需要次第で30%以内の増減をみせる可能性がある。FMSの広報担当Poltoranin氏は、ロシアの失業率に就労移民が影響を及ぼすことはないと考えている。外国人はロシア人にとってライバルとはなりえないというのが同氏の見解である。外国人の90%は、ロシア人にとっては興味のない職業に就く考えているからである。
Korovkin氏によると、1990年代には、隠れた失業者(労働力人口に数えられてはいるが、賃金を受け取っていない人々)と呼ばれる問題があり、彼らの数は数百万人であった。今日では、隠れた失業者はいなくなり、問題は異なる。同氏は、それを生産効率の問題であると指摘する。
失業率はどれくらい増えるか
Ankor社が2007年後半におけるロシア全体の賃金を分析した資料によると、75%の企業が2008年に従業員の数を増やす計画を立てている。Ankorの社長であるHuhrev氏は、2008年ロシアで失業率が増加するとは考えていない。
Korovkin氏は、短期的な失業率の増加はあり得るとしている。同氏は、近年、失業者の減少が緩やかになり、雇用率の成長もサービス業などの限られた分野に集中し、農業及び工業分野における雇用率は減少していると指摘する。
UralsibのTihomirov氏は、ロシアの失業率は2007年の6.2%から6.5-6.7%に緩やかに増加すると予想している。それは、楽観的な観測である(世界的不況が悪化しない場合)。世界経済の減速が継続する場合、失業率が2008年に6.8-7%、2009-2010年には7-7.5%に増加するとの予測もある。
急上昇する石炭価格
2007年から石炭価格は上昇傾向にあった。
2007年、石炭製品のロシア国内価格が40%以上上昇した。価格上昇の原因のひとつとして、Yuzhkuzbassugolで起きた事故が挙げられる。事故によって、国内市場でコークス炭が大きく不足した。年末には、国内市場におけるコークス炭の現物取引価格が100ドル/トンを超え、その後も価格上昇が続いた。このためロシア国内における2007年の年間平均石炭価格は95ドル/トンに達した。ロシア国外における石炭価格も上昇した。中国では石炭の需要が急速に伸び、生産不足が価格を押し上げる材料となった。
2008年も価格上昇傾向は継続している。
2008年2月にかけてコークス炭の現物取引価格は140ドル/トンに達し、一般炭は35-50ドル/トンで取引された。コークス炭の価格は、急激な上昇を示しており、2008年末までには50-70%の価格上昇が見込まれ、平均価格は170-180ドル/トンになると予測される。ただ、一般炭部門の価格上昇はそれほどにはならないとと思われる。2008年、ロシアでは石炭採掘産地の新規開発計画がないため、消費の自然増が4-6%に止まることが望ましい。FINAMは、一般炭の価格上昇は、インフレ率より若干高い15-20%であるだろうと予測する。国外市場におけるエネルギー石炭の価格は、ロシア国内の市場価格にはあまり影響しない。
石炭採掘事業が世界的に問題を抱えていることによって、石炭価格は更新されていくだろう。
近年、石炭生産部門を代表してきたオーストラリア・中国・南アフリカ等の石炭採掘事業が大きな問題に直面している。中国では、積雪のために石炭採掘が中断され、産地によっては気象条件が良くなることを待つしかない状況におかれている。南アフリカでは電力不足のために大手石炭採掘事業者が採掘を中止した。電力供給元である国営企業のEskonは、石炭採掘に必要な電力量のうち供給可能な電力は70-80%であり、今後もこうした状況が改善される見込みはないと発表している。オーストラリアは、2012年まで深刻な水害に苦しんでいる。代表的な石炭採掘事業者は、生産施設が浸水し石炭採掘ができないことを公表した。水害は、石炭採掘のみならず、石炭埋蔵量にも影響を及ぼすことが考えられる。石炭採掘量の大幅な減少によって、消費者の石炭備蓄量にすでに影響が出ている。
2008年当初、明らかとなった石炭採掘量が減少するというニュースは、石炭価格の大きな上昇材料となるだろう。
CIS諸国においても石炭採掘に問題が生じている。
ロシアでは、すでに述べたように、Evraz傘下のYuzhkuzbassugol炭鉱で起きた事故により採掘が中止されている。現在、長期にわたる調査が完了し、Yuzhkuzbassugolの50%が買い取られたことで、炭鉱は再稼動されたが、採掘量が予定の水準に達するのは、今年半ば以降になるとみられる。ウクライナでは、国内全石炭採掘量の3分の1を生産するZasyadko炭鉱で問題が発生している。需要を満たすためには、ロシアからの石炭輸入が必要となるだろう。また、カザフスタンの炭鉱ArcelorMittalTemirtauでも、生産を妨げる大きな事故が発生した。
需要の増加も石炭価格の上昇材料となる。
アメリカ経済の減速が懸念され、石炭に対する需要が低下しているが、発展途上国では石炭を必要とする分野の需要上昇が継続している。中国では2007年鉄鋼生産量が15.7%増加した。中国における鉄鋼生産量は増加の一途であり、需要も増大している。FINAMは、中国における鉄鋼の需要は毎年9%増加していくと予測している。ロシアでは年間6%の増加が見られる。
ロシアでは、採掘量の増産計画が実施されているにもかかわらず、依然需要が供給を上回っている。FINAMの予測する2008年の石炭生産量は3億2100万トンである(2006年比3.8%増)。種類別では、コークス炭の26%、一般炭の74%であろう。コークス炭の不足による影響がもっとも懸念されるのは、脂肪炭の消費者である。2008年、脂肪炭不足量は600万トンに達するだろうとみられる(コークス炭生産量の8%)。ノヴォリペツク製鉄(NLMK)が所有するAltay-Koksは、アメリカから石炭を輸入する契約を結んでいる。他の石炭生産企業も脂肪炭を供給することは難しくなるだろう。ロシア経済における石炭分野は、精鋼分野と同様、国内価格が輸出価格を上回る傾向にある。
FINAMは、今後、石炭採掘企業の時価総額が上昇すると予測している。
主に、コークス炭、或いは混合石炭(コークス炭と一般炭)を生産する企業の時価総額は上昇するだろう。2007年、ラスパドスカヤ石炭(RASP)とBelon(非取扱銘柄)の株価推移は目覚しく、それぞれ252%、143%上昇した。急激な株価上昇にもかかわらず、両社の株価がさらに上昇する余地は残されている。大きく上昇する可能性は、石炭分野の全企業にいえる。ロシアの石炭企業の株式は、世界の石炭業者よりはるかに安価で取引されている。ロシアの石炭企業における2007年の株式利益率(PER)は21.0であるのに対し、世界の石炭企業の株式利益率(PER)は平均して45.5であった(53%の差)。EV/EBITDA倍率は、前者が13.4、後者の平均が31であった(56%の差)。この数字は、ロシアの石炭会社が世界の石炭会社と比較して、平均で半分であることを示している。または、2008年末の財務指数にも大きな上昇が見込まれている。FINAMでは、2008年も2007年と同様に、引き続き石炭分野に対する評価の見直しがなされ、非常に速いテンポになるのではないかと期待している。石炭分野は、ロシアの産業分野において重要な分野であり、投資家は同分野に属する企業により注目すべきであると考える。
石炭の価格上昇を受け、ロシアの冶金工業にも良好な業績が期待できる。
銑鉄製造の主原料としてコークス炭を必要とする製鉄会社の業績は原料価格の動向に大きく左右されるが、FINAMは、2008年における冶金工業の業績は良好であると考える。冶金工業を代表する5社のうち、セヴェルスタリ(CHMF)・Evraz(非取扱銘柄)・メチェル(MTLR)の3社は石炭を自社製品で賄うことができる。ノヴォリペツク製鉄(NLMK)は、子会社であるAltay-Koksで出るコークスの余剰分を売却することで石炭価格の上昇による損失を防いでいる。石炭価格の上昇による影響がもっとも懸念されるのは、マグニトゴルスク製鉄(MAGN)であるが、同社は2007年のうちに固定価格で石炭の供給を受ける長期契約を締結しているため、前述の企業ほどではないにせよ、価格上昇に持ちこたえることができるだろう。2008年、原料価格の上昇によって精鋼製品の価格上昇が見込まれており、その上昇率は少なくとも12%に達すると考えられる。なおかつ、低価で原料を調達できることで、ロシアの冶金工業は追加的な利益を得ることができるだろう。
FINAMの予測では、ロシア企業は追加的な利益を得るばかりか、国外の競合企業よりも有利に新市場で競争ができるだろう。
ロシアの働く女性
働く女性の3分の1以上が、専業主婦には絶対になりたくないと考えている。その他の女性の多くが、退職して主婦専業になるには月に10万ルーブル(約45万円)以上が必要だと考えている。
マーケティング会社のSynovateは、ロシア16の都市で680人の女性にアンケートをとった。それによると、仕事を辞めたくないと回答したのは全体の36.8%であった。社会政策研究所のMaleva氏は、旧ソ連時代から、ロシア女性の就業意欲は高く、アメリカ・ヨーロッパと類似した社会モデルが形成されてきたと指摘する。
25-34歳の女性は、収入の大小にかかわらず、就業を希望する割合がもっとも多く(50.7%)、就業を断念する際に必要とする金額も月に120714ルーブル(約54万円)ともっとも大きかった。Maleva氏は、もし、少子化対策等の国策によって、家庭に入る女性が増加すれば、労働市場は大きな損害を被るだろうと予測している。
アンケートの結果 (単位:ルーブル)
どのくらいの収入があれば専業主婦になるか
4万以下 7.1%
4万~8万 25.6%
8万~12万 12.4%
12万~16万 5.9%
16万~20万 3.2%
20万以上 9.1%
収入の大小にかかわらず就業を希望 36.8%
ヴェドモスティ誌
2007年、ロシアはヨーロッパにおけるIPOでトップ
2月26日、コンサルティング会社PBN Companyがヨーロッパ諸国を対象にした調査報告書「IPO Pioneers」を発表した。それによると、2007年に実施されたIPOによる資金調達総額でロシア企業の占める割合がトップであった。
ロシア企業は、ロシア全体として294億ドルの資金を調達した。その額は、他のヨーロッパ諸国の調達額を超えている。イギリスは220億ドル(113億ポンド)、ドイツは110億ドル、イタリアは58億ドル、フランスは49億ドルであった。2007年は、アメリカのサブプライム問題の影響を受けて世界経済が減速したにもかかわらず、ロシア・ウクライナ・カザフスタンの企業によるIPOは記録的なものとなった。
PBN Companyの責任者であるNekarsulmer氏は、次のように指摘する。2007年、ロシア企業は国際的な企業に成長したことを世界の株式市場で示してみせた。ロシア企業の発展は、市場が成長し経済が成熟してきたことの証明である。成長するロシア企業は、経済の減速に揺らぐ世界市場動向の悪影響を受けることなく、新たな投資先を模索している投資家にとって安全地帯となることができた。数年前には、想像もできなかった成果である。また同氏は、CIS諸国の市場が成熟過程にあることの兆候として、IPOで調達した資金の80%が再投資に充てられていることを指摘するとともに、それまでのIPOの実施は投下資本を回収する手段であったと付け加えた。
PBNCompanyの調査報告書には、2007年にロシアとCIS諸国の企業が実施した全てのIPOに関する分析がなされている。それによると、IPO実施によって調達された資金は全体で343億ドルである。また、同年のIPOによる主な実績は次のとおりである。
① CIS諸国におけるIPO数が増加
2005年:16社、2006年:23社、2007年:33社
② IPO実施によって調達した資金の平均額が増加
2005年:3億8000万ドル、2006年:9億1700万ドル、2007年:10億ドル以上
③ ズベルバンクとVTB(外貿銀行)のIPOは2007年で最大規模。
ズベルバンク88億ドル、VTB80億ドルを調達
④ CIS諸国の金融構造が安定している
CIS諸国における12の企業が、世界金融市場で流動性の低下が認められるようになった2007年8月以降にIPOを実施し、2007年全体として調達した資金の23%に相当する80億ドルを調達した。これは、ヴィムペル・コミュニケーションズがはじめて株式公開・売出しをした1996年から2005年までの10年間で取得した資金より24%多い額である。
⑤ 金融関連企業が増加
調達した資金全体の52%が金融関連企業によるもの。
⑥ 国内証券取引所上場企業が、国外取引所上場企業よりも時価総額の伸び率で上回る。
国内市場に上場済みロシア企業全体の時価総額は2007年末まで16%増加。一方、ロンドン証券取引所AIMに上場しているCIS諸国企業の時価総額は1%減。ロンドン証券取引所MainMarketに上場しているCIS諸国企業の時価総額は5%上昇した。
⑦ 調達資金の内で、再投資される資金の割合が増加
2005年:46%、2006年:35%、2007年:81%
このデータによって、IPOによって調達された資金の利用方法が大きく変化したことがわかる。
Nekarsulmer氏は、次のように言及している。こうした傾向はロシアに限ったことではない。2007年、ウクライナの証券取引所が中国に次ぐ成果をあげており、世界市場が未だ不安定な2008年当初も順調な滑り出しをみせている。カザフスタンの企業も2007年にIPOによって38億ドルを調達しており、2008年にはさらに増加すると考えられる。
同氏の予測によると、急激に発展している政府系企業が投資のための資金調達に意欲的である。このため、今後3年以内に、ロシア及びCIS諸国の85以上の企業が新規株式公開・売出しを実施する用意があると考えている。
ヴェドモスティ誌
外資の割合が増加
ロシア中央銀行の資料によると、2007年1月から2008年1月までの1年間でロシア銀行の資本における外国人投資家の占める割合は15.9%から25.08%に増加した。実際には、ロシア居住者のオフショア分を除くと割合が22.8%である(前年は14.8%)。
2007年、外国人によるロシアの銀行資本への投資は、大きく増加した。2008年1月、その額は前年1月の時点から203.9%増の1835億ルーブルに達した。成長率がもっとも高かったのは2005年の210.4%である。しかし、投資額は低かった。2005年に260億ルーブルで、2007年には935億ルーブルであった。
外国資本が入っているロシアの銀行数も49行から202行と記録的な増加をみせた。外国資本100%の銀行も12行から62行に増加した。6行は外国資本がゼロから創設した銀行である(トヨタ銀行・キプロス銀行・ダイムラークライスラーロシア銀行・ABM銀行・中国工商銀行・ウリィ銀行)。また、6行は銀行株式の100%を外国投資家が購入し、設立された(TretiyRim・TKS bank・Promsviazbank・Starbank・Absoliut bank)。外国資本率が50%以上、100%未満の銀行は10行から23行に増加した。
Bank of Khanty-Mansiyskの副頭取であるMekhryakof氏は、金融界は、外国資本の割合が急激に増加してきたことに不安を感じているが、新しい銀行を認可し、購入の許可を行っている以上、中央銀行ではこうした状況をコントロールすることができると考えているようだと話している。
ロシア下院金融委員会委員のMedvedevは、次のように述べている。昨年、中央銀行は2回ロシアの銀行の売却を禁じた。銀行と銀行業務に関する法律は、中央銀行に外資の割合を制限する権限を与えているが、12年間、こうした法律の条文が実際に利用されたことはない。もしロシアがWTOに加盟したら、こうした制限などは必要なくなる。外資出資比率を50%までとする協定が有効となり、加盟から数年の後には外資100%企業の設立が認められる。
しかし、同氏は外資系銀行が100%に近づくほど増加するとは考えていない。地方には、特殊な銀行業務があり、外資がそれをすぐに自分のものにできるとは思えないからである。
2007年2月に中央銀行の総裁Ulyukaev氏は、インタビューの中で次のように述べている。外資にとって馴染みやすく、また買収する準備ができている銀行はそれほど多くはない。せいぜい、20から30行だろう。そうであれば、外資がロシアの銀行の50%以上を取得することは不可能だろう。
Citigroup、ロシアでの事業展開
Citigroupが、ヨーロッパ、アジア、南米における営業効率の悪いグループ企業を売却或は閉鎖し、ロシアなどの成長余力のある市場で事業を展開していく予定。
同グループは、シティファイナンシャル日本法人のCFJ株式会社を売却する方針。すでに支店数が縮小している。324あった支店を51支店まで削減。
メキシコにおいては、少なくとも消費者金融会社の一部を売却したい意向。何故なら、債務者からの返済率が悪いため。
イギリスにおいては、50支店を売却する予定。07年支出削減の枠内で同グループは支店数を半数に縮小した。
上記計画は、少しでも損失を抑えるためには必要不可欠である。売却や閉鎖が実施されたとしても、Citigroupのグループ企業数がそれほど減少することはない。現在同グループには、融資事業に携わる企業2200社と銀行の支店3300店が存在。
12月に就任した会長兼CEOのヴィクラム・パンディット氏によってグループの再編が開始された。1月同氏は、グループの発展戦略計画に含まれない非中核事業からの撤退を表明。今後は、タイやロシア、近東などの競争が過度に激しくなく且つ中間層が増加している市場へ資本を投入する予定。
ヴェドモスティ誌
国際資本とロシアのインフラ投資
近年、発展途上国のインフラ整備に対する投資が増加している。それを受け、インフラ整備に投資するファンドの数も増え、この2年、投資家の注目を浴びている。
アメリカのサブプライム問題とそれに伴う連邦準備制度理事会(FRB)による政策金利の引き下げは、ドル安だけではなく、ドル離れを招いた。より有望な投資先を探した結果、国際資本は、発展途上国の市場に流れ込み、各諸国のインフラ投資に対する関心が高まった。
2007年、多くの資本がBRICs諸国における企業のIPO(07年BRICs諸国におけるIPOの規模は、世界の約50%に達した)に流れた。しかし、この傾向が変わろうとしている。なぜならば、株価変動の激化にともない、株式投資のリスクの高まりを背景に投資先が減ったためである。
アナリストの最近の報告によると、投資家にとって明瞭かつ利益を生む投資として不動産・インフラ事業・直接投資があげられている。インフラ事業は、その中でも非常に魅力的な投資先であると評価されている。なぜなら、長期にわたる資産運用が可能で安定かつ予測可能な配当金が期待できるからである。同報告によると、この3年の間に約40%の投資ファンド運用者がポートフォリオの多様化を図り、インフラへの投資を含んだ長期運用可能な投資先を組み入れている。世界証券市場の不安定な状況を反映して、こうした傾向が、この先も続くだろうと思われる。例えば、Macquarie Groupは、Renaissance capitalと共同でロシアインフラ整備に投資する投資ファンドの設立を発表した。Macquarie Group代表のクレイグ氏は、インフラ投資の特徴について、競争が少なく、社会貢献ができ、安定かつ予測可能な配当金が期待できるとしている。
現在、ロシアにおけるインフラ整備の問題が注目されている。ロシア経済の著しい発展と国家収入の増加、国家及び民間企業の関係を明確にする法律の整備などを背景に、インフラ整備への投資額が増加している。すなわち、ロシアのインフラ事業は国際資本の投資先として挙げられている。Macquarie、Renaissance capital、DeutscheBank、Troika dialog、UFJ AssetManagement、Renessans Asset Managementはすでにインフラ投資を専門とするファンドを設立、或いはその可能性を探っている。
更に、2020年までに国家による1兆ドルの資金がインフラ整備に投資されるであろうという予測は、現実的なものとして受け止められている。07年11月にロンドンで行われた会見で、ロシア運輸省のインフラ整備に関する同省予測が発表された。それによると、2015年まで、ロシア交通網のインフラ整備に約6000億ドルの投資が必要であり、その内、約50%が国家予算から投資されるとのこと。
運輸投資フォーラムIJTransportForum2008におけるCredit Suisse報告書によるとインフラに対する投資ファンドの資産は、非常に大きい。ある概算では3000億ドルに達している。
今後、法体系の整備と国内インフラ整備に対する金融・行政両面からの後押しは、ロシアの主要課題となるだろう。こうした動きはすでに始まっている。使用権利・海港・有料道路に関する法律が制定され、投資ファンドに関する法律が改正され、インフラ整備を専門とする初の投資ファンドも発足。その他にも、政府によっていくつかのプロジェクトに対する投資家募集が開始。準備は着々と進んでいるが、どれだけの国内外の個人及び法人投資家が(インフラ整備を専門とするファンドを通し)ロシアのインフラ整備に投資してくれるかが問題である。
ロシア株式市場にチャンス到来?
1.海外株式市場の下落:パニックに陥る必要はない
米景気後退懸念を背景に、1月中旬より世界の株式市場で売りが殺到し、BRICs諸国の株価指数は値下がり率上位となった。このため、ロシア市場でもRTS指数が年初来14%程度下落した。
米国経済の減速や投資家による米景気後退への懸念がそうした株価動向のきっかけとなった。このような状況下、連邦準備制度理事会(FRB)はサブプライム危機による経済への悪影響を緩和し、米景気減速に歯止めをかけるため、金融緩和策(市場の予想通りとなれば、インフレ率-年率2.4%-を下回る水準まで政策金利を引下げる可能性がある)を取る意向を表明。
B. FINAMによる今後の見通し
1. FINAMの予測では、2008年、米国経済は景気後退入りの危機を回避する可能性が高いと判断する。
- 過去の景気後退期に顕著な米製造業の景況感悪化が見られない。例えば12月の米設備投資の先行指標である米耐久財受注が前月比5.2%増加し、2007年7月以来の大幅上昇となり、今後の景況感改善を期待させる。
- 米非製造業の景況指数が好不況の境目である50を大きく割り込んだ(44.6)反面、製造業の景況指数は50を維持している(50.7)。
- 新興国市場の需要が堅調である上、ドル安の追い風で米輸出産業にとって好条件がそろっている。
- 大胆な金融緩和策と財政出動により2008年後半以降の景気回復が期待されている。
2. 米経済が景気後退に陥ったにしても、中期的にはロシア経済やロシア企業の業績に及ぼす悪影響は限定的であると考える。
その理由は、下記のとおり。
- 米国はロシアの主要な貿易相手国ではない
多くの投資家の認識と異なり、ロシア対外貿易において米ロ貿易が占める割合は何と4%弱に過ぎない。このため、米国からの需要が低下しても、中期的にロシアの輸出に大きな影響を与えることはない。 - 天然資源(石油・天然ガス)の価格がロシア経済の安定した成長を支える。
米国が景気後退に陥った場合、投資家は株式以外の投資先を探すこととなろう。その場合、商品市場は1つの投資先として考えられる。商品市場への資金流入が起きた場合、原油・天然ガス・鉱物資源などロシアの主要輸出品の国際価格が上昇することが予想される。 - 近年、内需で急成長を遂げる新興国が世界経済を牽引。
21世紀初頭より、GDPの平均年間成長率が2%程度である先進諸国に対して新興国の年間平均成長率は5.4%である。世界銀行によれば、2007年における世界経済成長率に占める新興国の割合が初めて先進国を上回り、55%となると予想している。
3. FINAMでは、ロシア株式市場の下落は海外株式市場で広がった景況感悪化によってもたらされたものと考える。
つまり、現時点でのロシア株式市場が国内要因の問題を抱えている訳ではない。他の新興国と比べると、ロシア株式市場は大きな潜在力を有する。しかし、米国における景気後退が長期化すれば、ロシア経済はその悪影響を避けられないだろう。
短期的な観点では、米国経済の減速がロシア企業の業績に及ぼす影響は限定的である。長期的には、連邦準備制度理事会(FRB)による利下げと米政府による財政出動が適宜に実施されることで、米経済の減速傾向に歯止めがかかることになろう。
4. 現時点における多くのロシア企業の株価水準は魅力的であり、FINAMの評価は「買い」。FINAMでは、最も有望な投資先として、内需関連を中心に以下の銘柄を挙げる。
C. 参考銘柄一覧
下記の銘柄一覧には、海外市場の影響で株価が大きく下落したものの、ファンダメンタルズ的に業績拡大が期待される銘柄を記した。
これらの銘柄の下落局面こそ、投資チャンス到来であると考える。
| 銘柄 | ティッカー | 1月末終値 ルーブル |
変化率 2007年末 比(%) |
目標価格 ルーブル |
成長可能性 (%) |
長所 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| ズベルバンク | SBER | 87.98 | -14.00 | 126.42 | 43.69 | ロシア銀行界で最も広域の支店網(2万店以上)を誇る。個人預金残高の50%強を占め、ロシア国内で安定した資金調達源を有する。 |
| VTB(外貿銀行) | VTBR | 0.0990 | -20.77 | 0.1246 | 25.86 | 小売業向けの貸付高が伸びている。ロシア国内で安定した資金調達源を有する。 |
| ルクオイル | LKOH | 1661.17 | -19.84 | 2443 | 47.07 | 石油事業のほか天然ガス事業と電力事業を併せ持つ総合エネルギー企業。エネルギー価格が高水準で推移。 |
| ガスプロム | GAZP | 290.91 | -15.13 | 見直し中 | 見直し中 | エネルギー価格が高水準で推移。石油産業に比べ、税制上の優遇を受けている。2011年までに事業者向け国内天然ガス市場が完全に自由化。天然ガス配給インフラの整備・拡大。海外事業へ積極的に進出。 |
| 第2地域電力 | TGKB | 0.0199 | -17.43 | 0.0314 | 57.90 | 募集・売出しを控えている。10社以上の戦略的投資家が現れる可能性。 |
| ゴーリキー自動車工場 | GAZA | 3900 | -4.88 | 4993 | 28.03 | 自動車生産分野において上位。(取扱はRTS取引所でのみ) |
| マグニト | MGNT | 1141.88 | -10.12 | 1381 | 20.95 | 売上高の伸び率が高い(50%程度)。小売事業の高成長性。ロンドン証券取引所でSPO(授権資本の15%)を実施する計画があり流動性向上が期待される。 |
| カリーナ・コンツェルン | KLNA | 737.57 | -25.78 | 1364 | 84.94 | 収益の低い家庭用化学商品部門から撤退。付加価値の高い商品部門を拡大。 |
2007年第3四半期、工業生産成長率・インフレ率においてG8の内、ロシアがトップ
2月13日にタス通信が報じたところによると、ロシアの2007年第3四半期における国内総生産(GDP)成長率は、G8(主要8ヶ国)の中でトップをとなった。GDP成長率は、2006年同期と比較して7,6%増加した。
これは、IMF(国際通貨基金)、OECD(経済協力開発機構)が公表したデータとIMFの特別データ公表基準(SDDS)に基づいて各国家統計局が出している現行のデータにより、ロシアのRosstat(ロシア連邦国家統計局)が発表した情報である。
2007年第3四半期のGDP成長率で2位だったのはイギリスの3,3%増。3位はカナダの2,9%、続いて、アメリカの2,8%、ドイツの2,4%、フランスの2,2%、日本の2%、イタリアの1,9%増となっている。
また、ロシアは工業生産成長率でもG8中、トップをなった。工業生産成長率は、対前比6,3%増であった。2位はドイツで5,8%、3位は日本の2,8%、続いてアメリカが1,9%、フランスが1,8%、イギリスとイタリアが0,4%の成長率であった。カナダの工業生産についてのデータは公表されていない。
一方、2007年、ロシアのインフレ率は11,9%に達し、これもG8の中でダントツ。2位はアメリカで4,1%、3位はドイツ、続いてフランスとイタリアが2,6%、カナダが2,4%、イギリスが2,1%、日本が0,7%であった。1位と2位の数値には大きな隔たりがある。
2007年12月の失業率では、G8の中でドイツが1位であり、労働力人口に占める完全失業者の割合は8,1%であった。2位はフランスの7,8%、3位はカナダで6%、ロシアは4位の5,7%であった。また、アメリカの失業率は5%、日本は3,5%となっている。2007年12月におけるイギリスとイタリアの失業率に関するデータは公表されなかった。
MICEXが、2008年の出来高25%増加を計画
モスクワ銀行間通貨取引所(MICEX)は、2008年の出来高を25%増加させ、54兆ルーブルにまで拡大する計画を立てている。アメリカ経済発展減速懸念が世界的な株式市場の下落を招いている中、ロシアの株式市場で取引をする投資家の気分が盛り上がりを見せており、MICEXは、それが、今後の成長を可能にするだろうと期待している。MICEXの最高責任者であるRybnukov氏は、流通市場における取引拡大とロシア人投資家の市場に対する関心を高めることで、そうした水準に達することができるだろうと述べ、今年も発展し続け、新機軸を打ち出すことを約束した。
専門家は、2008年の出来高増加に関するMICEXの観測が実現可能であるという意見で一致している。East Kommertsの営業部長であるPermyakov氏は、世界的に急激な株価の変動が起きていることによって、MICEXでの取引を含む総出来高は増加しているが、その急激な株価変動が世界的株式市場の問題でもあると指摘する。
VTB Asset Management分析部の責任者であるIlyushin氏は、出来高25%増加計画は、超過遂行できるだろうと楽観的な予測を立てている。同氏は、2007年のMICEXの出来高は、2倍以上になったことを挙げ、出来高を確保するための一定の要素は、いくらか弱まりはするものの、2008年もそのまま作用し続けるだろうと述べている。また、今年の第1四半期には、大きな株価変動とアメリカ経済の景気後退に対する懸念が引き起こす緊張によって記録的な出来高が生まれるだろうと専門家は予測している。
しかし、ロシア人投資家が取引所へ参入するのは、ロシア国内における株式市場が穏やかになった後であろう。Arbat Kapitalの分析部部長であるFundobniy氏は、年頭からロシア市場が15%以上値下がりを起こしたことは投資家にとってマイナス要素であり、積極的な市場参加は控えるだろうとしている。専門家によると、市場の安定した成長は、2008年の後半からと見込まれている。従って、この時期に、ロシア人投資家が活発に投資する事がMICEXの出来高増加につながるだろう。
Ekonatsbankの経営責任者であるGrafov氏による2008年の景況予測は、やや悲観的である。同氏は、第一に、ロシア国内の経済的諸問題(インフレ、景気後退、金融危機)の解決策がいまだ見えないこと、次に、世界的な金融危機を克服できておらず、それが、投資家の市場参入やロシア金融市場に直接影響を及ぼしていることを挙げ、アジアを含んだ海外の市場に左右される要素も多々あるとしている。
2007年におけるMICEXの総出来高は、2.1倍に増加し、43.5兆ルーブル(1兆7100億ドル)に達した。同年における1日平均の出来高は、1750億ルーブル(62億ドル)であった。ロシア有価証券市場でMICEXの占める割合は約70%である。Rybnikov氏が述べたところによると、昨年のMICEXにおける外国人投資家の割合は、2倍に増加し全体の30%を占めた。また、市場で取引された有価証券は、27%増加し、市場取引を許可された発行体は、29%増加した。一方で、機関投資家の割合が増加すると同時に、市場で取引をする個人投資家の数は次第に減少している。
2007年の主要銀行の融資額は60%以上増加
2006年、ロシアの銀行の個人顧客への融資額は75%増加したが、2007年前半の時点ですでに、一昨年のような結果が導かれるには厳しい状況にあることがわかった。前半の6ヶ月で融資額は24%の伸びとなった。それは、世界的な不況が懸念され、国内外の銀行が資金調達しづらくなった為。しかし、それにも関わらず、2007年の後半の業績は、前半より改善した。インターファクス通信によると、主要100銀行による個人顧客への融資額は、2007年で1.6兆ルーブルから2.6兆ルーブルに60.5%増加した。(後半6ヶ月の増加率は29%)
去年もっとも融資額を伸ばした銀行は外国貿易銀行リテールサービス(VTB24)である。同銀行の個人への融資額は、3.5倍に増大し、ズベルバンクに次ぐ位置につけた。また、Renaissance capital は3倍以上に融資額を伸ばした。
一方、2006年に融資額が大きかった3行の融資額は伸びなかった。Russkiy Standartは、融資額が減少したことについて、去年の第4半期に債権の証券化(約300億ルーブル)を行ったためと説明した。しかし、銀行全体の業績にこの300億ルーブルを付け加えたとしても、やはり1年間の融資額の成長率は5%以内と控えめであった。
Renaissance capital の取締役であるレフチェンコ氏は、支店数の拡大に伴う安定的な成長が融資額増加の理由であると述べている。同氏によると、個人顧客への融資の枠内、もっとも伸びたのはクレジットカード、特別ローン、また自動車ローンである。
VTB24の取締役であるルデンコ氏は、融資額は、担保融資、多目的ローンによって成長してきたと述べている。同氏は、VTB24が個人顧客への融資に大きな関心を寄せており、2008年の融資額倍増を期待している。
単位:10億ルーブル
銀行名 8年1月1日 07年1月1日 変化率%
ズベルバンク 947.5 694.7 36.4
VTB24 143.5 41.5 246.0
Russkiy Standart 134.0 160.6 -16.6
ロスバンク 97.1 77.0 25.2
モスクワ銀行 69.2 33.2 108.4
Rajffajzenbank 65.2 27.5 137.5
Uralsib 61.9 35.8 73.0
Ursa bank 61.0 26.9 126.7
HKF 51.3 30.7 67.5
Alfa-bank 47.7 21.3 124.2
Yunikredit 47.0 22.3 110.6
Rosselhozbank 44.3 20.8 112.9
Rusfinans bank 43.9 16.3 169.4
Renaissance capital 39.4 12.7 210.2
Transkreditbank 35.0 17.2 103.3
MDM 34.0 17.4 95.1
Gazprombank 33.2 20.8 59.2
Promsvyazbank 32.0 12.3 159.3
KIT Finans 31.5 7.5 318.0
Investsbank 28.9 15.1 91.1
合計: 2606.5 1624 60%
ヴェドモスティ誌
投資信託に流れる資金が増加
世界的に株安が続いている時期に、個人投資家は、下落したロシア企業株に資金を投入した。2008 年1 月の結果によると、オープン・エンド型投資信託に投資された資金が約50億ルーブル(およそ225億円)に達した。これは、過去2年間のうち、もっとも良い業績である。
ロシア経営者連盟のデータによると、2008年最初の1ヶ月でオープン・エンド型投資信託に流れた個人投資家の資金は、49億8,000万ルーブルに上った。アセットマネジメント会社の中、上位を占めたのはAlfa-kapitalであり、入金額は12億9,000万ルーブルを超過した。アセットマネジメント会社のRegion gazfinansとPioner Investment Managementが2位と3位になり、7億7,000万ルーブルと5億4,000万ルーブル、それぞれ調達した。
1月は、アセットマネジメント会社にとって転換期であった。それまで、個人投資家は、4ヶ月間にわたって投資信託を売却し、資金を引き出していた。1月に投資された資金の大部分は、ロシア市場を含め、世界的株安が目立った1月16日から23日までの7営業日の間である。この7日間でMICEX指数とRTS指数は、それぞれ18.7%と19.2%下落した。この間、ロシア統一電力システム(EESR)は18.7%、ズベルバンク(SBER)は11%、ガスプロム(GASP)は13.6%、ノリリスク・ニッケル(GMKN)は14.5%それぞれ下落した。
ロシア企業の株価下落は、投資信託の投資家にとって大きな好機となり、株式投資信託ファンドが入金額でトップを占めた。最も多額の入金があったのは投資信託ファンド「Alfa-kapital株式」(Alfa-kapital運用会社)で10億3000万ルーブルであった。Investが管理する投資信託ファンド「Petr Stolypin」は4億3810万ルーブル、投資信託ファンド「Dobrynya Nikitich」(Troika Dialog運用会社)は3億2510万ルーブルであった。
専門家の意見によると、投資信託への資金増加は、いくつかの要素に影響されて起こった。Gasprombankの副総裁Milyukov氏は、一年の始まりは、年末に受け取ったボーナス等の余剰金が多い時期であると述べている。2007年1月の投資信託への投資額は、45億ルーブルであった。2006年の1月は、28億ルーブルであった。UFGアセットマネジメントで集団投資家部部長のRyabov氏は、多くの投資家が、ボーナスで得た多額の資金を投資信託に預け入れるために、特別に1月が来るのを待っていたと述べている。
一方で、アセットマネジメント会社の専門家は、1月の業績の説明として、ロシアの個人投資家の間でも資金の正しい運用に関する認識が形成されてきたことをあげている。市場関係者によると、世界的株安がそれを証明している。Bank Moskvaアセットマネジメントの最高責任者であるKasyanova氏は、下落傾向にある市場では投資家は資金を投資信託に預け、上昇傾向にある市場では利益を得るために持ち株を販売する。直近の株安の際、ロシア人投資家はこうした原則に従ったのであると語った。
Troika Dialogの副総裁であるZvezdochkin氏は、1月の市場が2006年末の指数にまで落ち込んだことは、投資家にとって非常に魅力的であり、彼らは、この状況を投資信託で投資する非常に良い機会だと捉え、かつてない資金を投資したと結論付けた。
いまだ、世界の市場が復興していない状況で、投資家は正しく資金を運用するために投資信託に資金を預け続けるだろう。Ryabov氏は、アメリカの経済状況とそれに関連した種々の問題は、投資信託への資金流入を助長するのみであると考えている。また、Milyukov氏は、市場が完全に復興すれば、資金は流出するだろうが、それは、さほど大きくはならないとしている。投資家は、ロシア証券市場が健全であることをよく認識しているからである。また、投資信託による収入は、銀行預金利子よりも高い事は確実であり、高いインフレ率が懸念されている背景で、投資信託へ資金はこれからも増えるだろうと述べている。
ロシア、日本の資産を検討
日経新聞のインタビューで、ロシアのクドリン財務大臣が語ったところによると、ロシアの政府系フォンドは、日本の株式投資における可能性を探っている。その際、同フォンドは、個々の企業が所有する株の5%以上を取得することは目指していない。現在、米ドル・ユーロ・英ポンドの3通貨建てのみの投資が可能である。
ロシア財務省は、先週、安定化フォンドの資金(1570億ドル)を予備資金ファンド(1250億ドル)と国民福祉ファンド(320億ドル)に分割した。後者の投資戦略は、10月1日までに決定される予定。
メトロポールのコンサルタントであるチェルノレスカヤ氏は、日本の株式を利用して国民福祉フォンドの投資先を多様化することは、良いアイディアだと考えている。同氏は、ユーロ高が日本の生産活動、並びに輸出の成長速度を助長していると見ている。また、同氏の意見では、自動車製造業、精密機械工業等、優れたテクノロジーを持つ分野が最も魅力的であり、日本はアメリカの不況に大きく左右されることのない数少ない国であると述べている。
ところで、ゴールドマン・サックスのアナリストは、1月の報告の中で、日本の経済について輸出の成長が低速気味であることと消費者支出の低下を指摘し、景気の先行きは早くも落ち込みつつあると書いている。Reutersの予測によると、第4四半期における日本の経済成長は0.3%で、年間にすると1.3%の成長を見込んでいる。0.4%の成長率であり、年間として1.5%の成長を予測していた第3四半期と比較して、衰退傾向にある。
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07年ロシア経済成長率
07年のロシア経済成長率は8.1%増加したとRosstatが報告。
以前、経済発展貿易省がGDP成長率を7.7-7.8%と予想。この修正は、第4四半期のデータが影響しているとHSBCのモロゾフ氏は考える。
昨年のGDPの増加は、企業資本への投資が21%増加したことと、消費者支出が13.1%増加したことによりもたらされたとCitygroupのチャイキン氏は考える。
Rosstatのデータによると、額面GDPは32兆9000億ルーブル。その内、44.8%が人件費、18.9%が純税額(税金から社会保障給付金などを支払った後の金額)、36.3%が売上高総利益と総収入となっている。
輸出は7.4%増加し、輸入は30.4%増加した。純輸出の減少により、経済全体の成長速度が減速しているとChaikin氏は述べている。
経済発展貿易省は、2008年GDPが6.6%増加すると予想する。このような保守的な評価は、世界的な流動性の危機によるものであり、それにより投資が減少する可能性があるとモロゾフ氏は考える。チャイキン氏以下の通り予想する。GDP成長率は6.5%、投資成長率は16%、消費者支出の成長率は9.5%。消費増加速度の減速により輸入と輸出における差が少なくなるだろうとChaikin氏は強調している。
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