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ロシア経済トピックス: 2008年3月

ロシアの労働生産性はEU・アメリカと比較して30分の1

ロシア経済貿易発展省は、ロシアの労働生産性はEU・アメリカの30分の1であるというデータを公表した。EUとの業種別比較において、ロシア宇宙ロケット製造業はヨーロッパに遠く及ばない。ロシアでの同部門の一人当たり労働生産性は1万4800ドルであるが、EUは12万6800ドルであり、アメリカは49万3500ドルである。また、ロシア造船業では船舶を製造するのに、韓国での3倍の時間がかかっている。

投資会社Zherich Capital ManagementのアナリストであるMedvedeva氏は、ロシアの労働生産性は業種によって大きな格差があるとし、以下の例を挙げている。自動車製造業アフトワズの生産性は米Ford社の27分の1であるが、一方、通信会社の生産性はヨーロッパ諸国及びアメリカと同等の水準である。逆に、石油・ガス関連企業の生産性はEU・アメリカよりも高く、米エクソンモービルの500万ドル/人、英国石油の300万ドル/人であるのに対し、ルクオイルは800万ドル/人、ノヴァテクは560万ドル/人である。同氏は、市場で高いシェアを占めている石油・通信・ガスの業種が、機械製造業、エネルギー産業等、他業種の低い労働生産性を補完していると考えている。

ロシア経済貿易発展省は、特定の業種における労働生産性の低さを問題視しており、長期的な社会経済発展の指針を策定した。その中には、今後13年間で、労働生産性を平均2.4倍引き上げ、特定の業種(航空機産業・造船業・宇宙ロケット製造業・自動車製造業)に関しては4倍まで引き上げることが明記されている。

投資会社KITFinanceのアナリストであるPolevoy氏は、ロシア経済貿易発展省が策定した指針によって労働生産性は年間10%程度上がると予測している。労働生産性がもっとも上昇したのは2003年であり(7%)、2007年全体における同指数の上昇率は6%であった。同氏は、2007年における労働生産性は比較的高水準となったが、業種によって大きな格差があると指摘した。

Alfa-BankのアナリストであるOrlov氏は、現在のロシアの生産性向上を考える際に、重要な点はロシア経済の多様性にあると考えている。同氏は、「ロシアには生産の近代化を妨げる障害がある。それは、業種がある分野に集中し、大企業が多数あることに関係している。一方、中小企業には近代化を促進するだけの資金がない。こうした障害がなくなれば、ロシアの労働生産性は2.4倍以上上昇するだろう」と指摘する。

他の専門家は、設備投資にもっと積極的になることが必要であると述べている。設備投資によって、労働生産性を維持するだけではなく、上昇させることが可能となるからである。Polevoy氏は、「この1年半ほどの間に増加した設備投資によって、労働生産性の水準は維持された。積極的な設備投資が続けば、労働生産性のもう一段の上昇につながるだろう。労働生産性を上昇させることは、労働人口が次第に減少していく上で重要な問題である。長期的には、賃金上昇率と労働生産性上昇率は同等になり、労働生産性の向上に好影響を与えるだろう。」と考えている。

B.I.N.BANKのアナリストであるBelashov氏も同様の意見を述べている。しかし、同氏は、もう1つの問題点を指摘する。それは、現場の人材が不足していることである。同氏は、「資金的な面には十分に注意が向けられているものの、生産それ自体は注目されておらず、生産性向上のための投資がされていない。実際に生産現場で働いている労働者の多くが、年配者である。それは、若い世代を教育する人がいないためである。生産性を上昇させるためには、この問題点を解決しなければならない。」と考えている。

ロシア経済貿易発展省が策定した指針は、当然、ロシア経済の発展に寄与するだろう。しかし、多くの専門家は全てが計画通りにいくとは考えていない。石油価格の上昇が続けば、経済発展に向けた革新は難しくなる。投資銀行TRUSTのアナリストであるBragin氏は、オイルマネーは立ち遅れている技術革新問題を解決する手段とならないと指摘する。同氏は、「オイルマネーによる余剰な利益は逆効果をもたらす可能性がある。ロシア経済貿易発展省は、技術革新の可能性を大きく見積もりすぎている。」と言及した。

また、Sobinbankの市場分析主任アナリストのRazuvaev氏によると、石油価格高騰によってロシア人の収益は上がっている。同氏は、「数字上ロシア人は働いている以上に高収入を稼いでいる。しかし、実際の労働生産性は低いままである。これはソビエト時代の名残である。労働生産性を上げるには、経済の主要分野において実際の労働市場が必要である。実際の労働市場とは、労働者が自分の能力に見合った収入を得られる市場である。また、国民一人一人に、一生懸命働かない限り、収入を得られないことを認識させなければならない。政府の政策以外に労働生産性を高める方法は、ロシアのWTO加盟であり、このことが効率的な労働市場の形成及び労働生産性の向上に貢献するだろう」と指摘する。

FINAM

 

 

ロシア経済:著しい発展

2007年におけるロシア経済は、経済大国10位中7位となった。この5年間で著しい経済成長を見せ、フランス・ブラジル・イタリアの経済成長を追い越した。これは、3月25日、ロシア経済貿易発展省の大臣であるNabiullina氏が同省の委員会で公表した。

GDPの成長率にもっとも貢献したのは機械製造業を始めとする製造業である。同分野の成長率はGDP成長率をはるかに追い越した。さらに、2007年の投資活動は活発化し、企業資本への投資は21.1%増加した。これは、ソ連崩壊後もっとも高い伸び率となった。

経済貿易発展省大臣は、2007年における消費者支出も史上最高であったと発表した。消費者支出の伸び率は13.1%であった。消費者支出が伸びた要因の一つは賃金が上がったことである。Nabiullina氏によると、2007年、賃金は16.2%増加した。インフレは急激に進行しているものの、賃金が増加したことで国民の実際の収入が増加し、貧困層が減少した。最低所得を下回る人口は200万人減少した。これは、経済の発展及び社会政策が生んだ一つの肯定的な事例である。しかも、給料上昇は民間企業のみならず、国家公務員、年金受給者、軍人にも及んだ。

Nabiullina氏は、経済貿易発展委員会で国家の枠組みで実施した分野に関する報告を行った。その中で最も重要な要素は、長期的な社会経済の発展に関する概要の立案及びそれに従った2020年までの予測である。この概要は将来における政府の活動方針を決定する主要文書になるとみられる。経済貿易発展大臣は、この概要の中には、現在進捗中のものもあり、経済成長の維持を図る機能を果たすべき新機構の一部はすでに出来上がっていると述べている。2007年には、投資ファンド、開発銀行、経済特区、ベンチャー企業等が誕生した。

2007年、経済貿易発展省は経済特区管理局と共同で新技術導入型の経済特区を4つ、工業生産型の経済特区を2つ創設した。そこには54の業者が登録されている。また、現在、観光型の経済特区を創設する事業も着手されている。Nabiullina氏は、「これらの経済特区は、具体的な投資計画に基づいた法的な整備及び手続きなどの簡素化が実施されなければならない。現在、これらの特区でいくつかの問題が発生している。こうしたことから、今後、政府はこれらの特区における業務の効率化を上げることに力を注ぐだろう。」と述べている。

また、2007年、経済貿易発展省は投資ファンドのためのプロジェクトを選抜する事業を立ち上げた。現在まで、6つの投資協定が締結され、20の投資プロジェクトが選考された。これらのプロジェクトにおける投資の総額は1兆ルーブルを超える。そのうち投資ファンドから充てられるのは3分の1のみである。その残りは、民間企業より投資される。

Nabiullina氏は、ロシアの社会経済発展に対するリスク及び問題を考察し、今後の経済貿易発展省の優先順位について言及した。最初に挙げられたのは、市場の競争力を強化することである。同氏は、「市場の競争力を強化するには、新規産業設立が自由でなければならない。これに関連して、資本可動性を高めることが中期的課題としてもっとも重要になってくる。これは、金融市場の発展及び銀行貸付の強化、土地・不動産市場の効率的な形成を意味している。」と考えている。また、専門家は事業の開始及び運営を妨げる行政側の制約を軽くすべきだと考えている。その中には、土地の取得に関する問題を解決すること及び中小企業の発展を促進していくことが含まれている。

その他の優先課題としては、事業革新に対する国家援助、国際ビジネスを行うロシア企業の支援、専門化育成などが挙げられる。Nabiullina氏は、これらの優先課題は長期的なものである。

ロシア経済貿易発展省は、ロシアの発展に必要な主要な課題を審議し提案する特別機関である。Nabiullina氏は、「経済貿易発展省の行う事業に対しては政府から大きな責任が課されている。経済貿易発展省は発展のための課題を提示するのみならず、それを首尾よく解決しなければならない。」と結論付けた。

FINAM


 

ロシア政府、鉱物資源採掘税の軽減を検討

ロシア財務省は、2009年からの石油関連企業に対する鉱物資源採掘税の軽減に関する提案を今週末までに政府に提出する予定である。これは、クドリン財務大臣が経済発展省の委員会で明らかにした。また、クドリン財務大臣は2010年までガス関連企業に対する鉱物資源採掘税の増税は行わない方針であると述べた。

鉱物資源採掘税の軽減は、課税計算基準の変更によって実施される。現行の鉱物資源採掘税の非課税対象は、Urals石油価格1バレルあたり9ドルまでである。今回の提案は非課税対象を1バレルあたり15ドルまで拡大する内容となっている。現在の石油価格の水準で計算すると、石油関連企業の節約金総額は年間42億ドルになる見込みであるとSobinbankのアナリストは予測。

以前より、石油会社に対する税金負担が軽減される可能性を示唆した情報に、市場は動揺してきた。2002年、2003年、2004年、ロシアの石油会社は石油採掘量をそれぞれ9%、11.2%、8.9%増加させてきた。一方、2005年、2006年は2.4%及び2.1%と小幅な増加となった。今後、採掘量の減少も見込まれるため、鉱物資源採掘税の軽減は適切な措置であると考えられる。

UniCredit Atonのアナリストによると、現在石油関連企業に課されている鉱物資源採掘税はおよそ500億ドルに達している。鉱物資源採掘税が軽減されれば、負担は年間に8%減少する見通しである。また、生産効率の低い産地の開発が実施され、生産量の増加が促進されるだろう。

OtkrytieのアナリストであるMilchakova氏は、鉱物資源採掘税の軽減が、もっとも有益に作用する企業としてスルグトネフチェガス及びルクオイルを挙げている。上記企業の収益率は石油関連企業の中で最も低く、鉱物資源採掘税の優遇を受けていない。また、同氏によると、鉱物資源採掘税が軽減されなくても、税制上、他の優遇を受けているタトネフチ及びロスネフチも、前述の企業ほどではないが、収益率を上げることができるだろうと述べている。

鉱物資源採掘税の見直しによって、全ての石油関連企業が利益を得ることは、ある特定の企業ではなく、石油関連企業全体に対する負担の緩和を決定した政府の姿勢を示している。
クドリン財務大臣は、「石油関連企業はロシアの発展に大いに貢献してきた。政府も石油関連企業に援護しなくてはならない。」と述べている。

クドリン財務大臣の言葉はまもなく現実化されるだろう。AntantaPioglobalのアナリストであるKhayrullin氏は、鉱物資源採掘税の改正によって、石油関連企業の目標株価は5-10%上昇すると予測している。

国内企業に対する支援策は、石油事業における鉱物資源採掘税の軽減のみではない。財務省は、ガスプロムの投資計画に関連して、2010年までガス事業における鉱物資源採掘税の増税を実施しない方針を明らかにした。

ガス事業者に対する鉱物資源採掘税は2006年から1000立方メートルあたり147ルーブルと設定されている。現在、この税金負担について、各省庁が激しい議論を戦わせている。投資家側からすると、鉱物資源採掘税の増税リスクは、ポートフォリオに入れるガス関連企業銘柄の割合を抑える要因となっていた。ガス関連企業に対する鉱物資源採掘税の増税を積極的に支持していた人物としては、Shatalov副財務大臣が挙げられる。同氏は、ロシア市場におけるガス価格の高騰を背景としたガス関連会社の収益増を公共のために利用することが望ましいとして、ガス関連企業に対する鉱物資源採掘税の大幅な増税を2010年に実施すると発言していた(400%増、735ルーブル/1000立方メートル)。Alfa-BankのアナリストであるSmit氏は、こうした規模の増税が課された場合、ガスプロムに対する評価は11%減の22ドル/株から20ドル/株になっただろうと予測している。

一方、Shatalov副財務大臣と意見を異にしていたのは、経済発展貿易省のNabiullinaya大臣である。Nabiullinaya大臣は、ガス関連企業に対する増税の必要性はないと言明してきた。同氏は、ガス関連企業の収益増は、ガスに対する需要の増加に応え、年々難しくなっていくガス採掘を効率的に実施するための再投資に充てるべきだと主張した。結果として議論は2011年以降に持ち越されることとなった。Sobinbankのアナリストによると、増税が回避されたことは、ガスプロムのみならずノヴァテクにとってもプラスである。

税制改革に言及したことは、ガス関連企業に対して政府が妥協したことを示している。ガス関連企業には、優遇措置のある税制が用いられてきた。それを考慮に入れて、石油関連企業に対する鉱物資源採掘税の減税が決定されたということも考えられる。Khayrullin氏は、「石油関連企業に対する減税及びガス関連企業に対する現行の税制据え置きは、政府が石油・ガス関連企業を大きな資金源とみなさなくなったことを示している。投資家は、政府のこうした姿勢を敬遠してきた(2007年末から石油・ガス関連企業のRTS指数は7%下落し、全体として16%市場)。
減税傾向が今後も続く可能性はある。現在、白油製品の輸出関税及び物品税の軽減が活発に審議されている。」と言及した。


FINAM

海外投資家から注目されるロシアの銀行業界

世界的不況の中、ロシアの金融業界において、M&Aが非常に活発に行われている。分析機関M&A-Intelligenceが発行している情報誌「合併・買収」のデータによると、2007年に実施されたロシア金融部門のM&Aによる総取引額は、44億9000万ドルに達した(支配株取得を目的とした取引額が500万ドル超の取引のみ)。これは、2006年の総取引額(25億3000万ドル)と比較して77%増となった。

また、ロシア銀行のSuhov氏は、世界的に流動性が低下している中で、ロシアの銀行部門は海外投資家にとって魅力的な投資先である。近い将来、ロシアの銀行資産における海外資本の割合は現在の22-25%から30%に増加するだろうと予測している。

分析機関M&A-Intelligenceのアナリストによると、従来、ロシアのM&A取引に占める金融部門の割合は高いと指摘する。しかし、2006年における同比率が6%であったのに対し、2007年には全取引(1246億ドル)の3.6%に低下したのである。たが、同比率が低下したにも関わらず、金融業界が全体的に大きくなり、積極的にM&Aを模索していることで補填されている。このため、ロシアの金融業界におけるM&Aの規模は毎年2倍ずつ増加している。2003年における金融業界のM&Aの取引額は5億5700万ドルであったため、この4年間で金融業界のM&A取引額は8倍に増加したことになる。それに伴い、ロシアにおけるM&A市場の規模も2006年比2倍以上の1207億ドルとなった。

専門家は、2007年の特徴として、保険業界のM&Aが大きく増加したと指摘する。同部門の総取引額は26億5000万ドルとなった。総取引額が1億2720万ドルであった2006年と比較すると20倍の伸びである。このような伸びの理由としては、Allianzグループが保険会社Pocho株49.2%を7億5000万ドルで取得した取引を始めとする、大きな外国企業によるロシア企業の買収が実施されたことが挙げられる。2007年、保険業界に対する投資全体のうち外国人投資家の割合はおよそ3分の1であった(31%)。金融業界全体での外国人投資家の割合は8%であった。

2008年も引き続き金融業界におけるM&Aは増加し続けると予測されている。格付け機関Expertの金融機関格付け部門部長であるSamiev氏は、保険業界で30-45、銀行業界で40-60(大手銀行は9-11)、リース事業で10-12の取引があると考えている。

また、専門家によると、もっとも大きな伸びが期待できる業界は、法体制の変更が期待される保険業界である。連邦反独占局の金融市場統括部長であるBondarev氏が公表したところによると、2008年10月に連邦反独占局は、反独占法に触れずに、保険業と銀行業が共同事業を実施することが可能となるような法案の採択を求める可能性がある。また、Bondarev氏は、3月末に連邦反独占局及び連邦保険事業監督機関の専門家による会議が行われ、そこで保険事業に関する規定が策定される見通しであると述べた。それによって、銀行側の主導で保険会社を選定することが可能となる見通しである。


 

原油価格高騰は石油会社に利益をもたらすか

原油価格は、日毎高値を更新し続けている。多くの専門家は、今後、原油価格が100ドル/バレル以下の水準に戻ることはないだろうと予測している。Brent石油の価格は、史上最高値を記録し、2008年当初から、専門家の予測をはるかに上回る95ドル/バレルに達した。

石油価格が上昇し、高値がついていることは、ロシア石油企業にとってプラスである。しかし、ここで注意しておかなければいけないことは、価格上昇による増収の大部分が税金として(鉱物資源採掘税・輸出関税)政府に徴収されることである。つまり、石油価格の上昇と共に税金負担も大きくなる。AntantaPioglobalのアナリストであるKhayrullin氏の試算によると、石油価格を100ドルとした場合、そのうち73ドルが鉱物資源採掘税・輸出関税としての課税分となり、石油会社の取得分は27ドルのみとなる。

石油会社側は、石油製品の品質による課税体系の導入を政府に対して求めている。現在の輸出関税率は、Uralsの平均価格を基に、2ヶ月毎に政府が見直しをしている。2008年1-2月のUralsの平均価格を参考に輸出関税の見直しがなされた結果、2008年4月からの輸出関税は1トン当たり6.3ドル引き上げられ、340.1ドルとなる。また、ライト油は4.2ドル、ダーク油は2.3ドル引き上げられ、それぞれ1トン当たり241.4ドル及び130.1ドルの輸出関税が課されることになる。Sobinbankのアナリストによると、現在の課税システムでは、石油精製会社の設備投資及び精錬度の高い製品の出荷を促進するものではなく、重油、或いは原油精製の過程で生成される石油コークス・瀝青油などの残留物出荷量の増加を促す仕組みになっていると指摘する。

石油価格の高騰によって利益を享受しているのは、主にガス関連企業である。また、事業の中に占める石油精製の割合が高い石油関連企業も、比較的税負担が軽いため、少なからず利益を得ている。モスクワ銀行の専門家であるVedeneev氏は、石油価格の高騰で恩恵を受けている企業の中に、生産規模が大きくグローバルな取引が可能な石油会社を入れても良いと考える。ガスプロム及びルクオイルがこうした企業に数えられるだろう。

ロシアの石油関連企業の株式を評価する際、専門家は、最近、生じているマイナスの要素に注意を向けている。採掘量の低下もそのうちの一つである。2003年における年間採掘増加率は11%であったが、その後は減少傾向にある。Khayrullin氏によると、2008年における採掘量は減り、将来的にも減少は避けられないとみている。

ロシアの石油関連企業の今後について考える際に重要となるのは、どの通貨で石油が取引されるかということである。Vedeneev氏によると、米ドルでの取引の場合、石油価格が今後、低下する可能性がある。何故ならば、ドル安の傾向が止まり、ドル高へ反転することが考えられるためである。つまり、最近の石油高騰は、石油そのものの価格が上昇しただけではなく、ドル安になったためだと考えられるからである。

UNICREDIT ATONの専門家によると、石油市場で好景気が続く場合、ロシア石油ガス関連企業は良い影響を受けるとしている。ガスプロムはその一社である。一方、石油価格高騰による好影響を受けないのはロスネフチとされている。

一方で、Vedeneev氏は、石油の長期的価格の予測変更は、現在懸念されている物価上昇率の動向により左右され、世界市場における石油価格の高騰によって、石油関連企業の企業価値が著しく上がるものではないとしている。

アナリスト予測:投資は減退傾向に

ロシア金融市場は世界経済の動向に影響を受けている。3月17日、高位流動性銘柄の多くが3%以上値を下げた。専門家は、投資家の買い意欲減少により、今週も売り傾向が続くだろうと予測している。大手投資銀行Lehman Brothers、Goldman Sachs、Morgan Stanleyの業績発表及びアメリカFRBによる政策金利の動向が、市場関係者を緊迫させている。投資会社UTRADE-RUのアナリストKubagishev氏は、米連邦準備制度理事会(FRB)による追加利下げの予測は0.5-0.75の大幅なもので、ロシア証券市場に対する一時的な下支えとなろうが、その効果は非常に限定的であるとみている。

投資会社Zheric Capital Managementの主任アナリストであるPodlevskiy氏は、「これまでに実施された利下げ及び市場の流動性向上のための対応策が、原料価格にかつてない高値をもたらしている。金相場は3月17日に1000ドル/オンスの大台を超え、一時1025ドル/オンスまで跳ね上がった。食料価格の値上がりも必至である。原油相場は100ドル/バレル超の史上最高値を更新し続け、110ドルに達する勢いである。同氏によると、世界金融市場が多少なりとも落ち着きを取り戻し上昇基調になれば、ロシア市場も活況となるだろう。しかし、現状は動揺する金融市場を背景に投資家の投資意欲は減退している。まずは、金融危機を乗り越えなければならない。ロシア市場がさらなる株価下落に見舞われるか否かが明らかになるのはその後である。」と述べる。

また、投資銀行KIT FinanceのアナリストであるCherepanov氏は、ロシア証券市場への買い注文が減少している要因として、国際証券取引の動向が大きな影響を及ぼしていると指摘する。今後、引き続き縮小均衡が予想される世界金融市場はロシア証券取引にも悪影響を及ぼすだろう。同氏によると、現在注目したい企業は、ガスプロム・ネフチ、ルクオイル、ロスネフチを始めとする原油加工を専門とする企業であり、その理由として、現在、石油企業と政府は石油精製量を増加させるために石油製品の輸出関税制度の変更に関して議論を行っていることを挙げている。

AllianzPOCHOの投資部門責任者のBekenev氏は、今週、ロシア株の指数は今年2月に記録した水準まで下がるだろうと予測している。また、アメリカ及び世界の金融システムにおける流動性危機に連鎖した経済の混乱に対して米連邦準備制度理事会(FRB)が打ち出した一連の措置が不十分であると分かれば、下げ幅はより大きくなる可能性があるとしている。同氏は、金属工業を中心とするこれまで上昇してきた業種の銘柄及び金融部門の銘柄が先進諸国における金融機関関連銘柄と同じような様相を呈することをもっとも懸念している。

一方、投資銀行PromsvyazbankのKiryanov氏は、注目銘柄としてマグニトゴルスク製鉄株を挙げ、セヴェルスタリ株については575-580ルーブル/株での購入が望ましいとしている。また、第5卸売電力株については、市場の動向を見て購入を判断すべきとしている。同氏は一つの基準をMICEX指数であると考えている(1500-1520の範囲)。指数がその範囲に止まれば、第5卸売電力株を含め下落率の大きい銘柄の購入を考えても良いだろう。

 

食料価格の高騰とロシア農業の問題点

3月14日、ズブコフ首相はサンクトペテルブルグで農業教育機関の指導者と会議を行い、ロシア市場で高品質な食料生産の自給率を上げる必要があると述べた。

ズブコフ首相は、世界的に食料価格が上昇している理由として、バイオ燃料の生産増加にともなう農産物への需要増及び中国・インドを始めとする新興国における人口増加を挙げた。このため、農産物に対する需要は世界的に高まり、その影響はロシアにも及んでいる。ズブコフ首相は、食料の多くを輸入に頼っているロシアの現状を憂慮し、早急に解決しなければならない大きな問題であることを指摘した。

国内農業の厳しい現状を打開するための対策が後手に回っていることに関して、Gordeev農務大臣は輸入増大が招いた結果であるとの答弁に終始した。ロシア下院金融委員会副委員長のPavel Medvedev氏は、食料の輸入を遮断するべき時に手を打たなかったという点では国家にも責任があり、また、ヨーロッパの食料価格上昇の予測はそれほど難しいことではなかった。その理由は、ヨーロッパでは、以前から食料価格の高騰が問題視されていたからである、と発言。

ロシア金融協会の代表を務めるNechaev氏によると、問題はロシア経済が寡占化されており、また、農家にとって生産効率を高めるような環境ではなかったこと。さらに、農家は、様々な障壁或いは課税等で行政側から多くの負担を強いられており、小・中規模農家の状況は20世紀初頭より悪化し、生産増加の見込みはまったく薄い状況だとしている

一方で、Gordeev農務大臣は1990年代における一連の農業改革に問題があったとする。当時の改革が誤りであったことは明らかであるが、それ以降10年が経過した現在においても、ロシア政府は打開策を打てないでいる。このため、2008-2012年に、国内農業の再生を目指して様々な施策が実行される予定であり、そのうちのひとつが、過去5年間に計上された予算の3倍に当たる5500億ルーブル以上を予算として計上する。ズブコフ首相によると、国家予算に占める農業支援の割合は5年前の0.8%でから、現在は1.5%まで拡大しているという。

豊作が安定した収入の保証とならないことも現実的な問題点である。2007年秋、農務省は、国内の穀物生産高は食料及び牧畜用飼料の需要を十分に満たし、輸出用の備蓄もあると保障した。しかし、パンの価格は上昇を続けている。

ズブコフ首相は、農業の生産性を向上させるために、農業に通じた人材を養成し、農村へ派遣して問題の解決にあたることが必要であると述べている。一方、強制的な人員配置では問題を解決できないとしている。

農産物に関するロシア上院政策委員会副委員長のLisovsky氏は、農業発展のために計上された予算は2倍どころか、たった20%引き上げられたに過ぎないと指摘する。同氏は、「毎年100億ルーブルを上乗せしていく計画はあるものの、それでは少なすぎる。農業従事者の都市部流出を防ぐためには、保育所・商業施設・保養所等の社会福祉が保障されていなければならない。この予算では、まったく不十分である。」と述べた。

また、Lisovsky氏によると、ロシア農業におけるもっとも大きな問題点は、食料品に対する規制が緩いことである。他国政府により助成を受けて生産された食料品の輸入は毎年増加し、その影響でロシア国内の農業に悪影響がでている。もし、食料品の輸入を制限する政策が取られなければ、ロシア農業が復興することはないだろう。

食料品の規制が導入されれば、5年以内にロシア国内の自給率が高まり輸入への依存度が低下するだろう。このため、輸入規制は前提条件である。Lisovsky氏は、「今後5年間で食料の輸入比率を20%以下に抑える計画を立てることが必要である。そうすれば、規制も現実味を帯びてくる。このような計画が遂行されなければ、今後5年で農業再生への道は遠ざかり、多くの施策も水泡に帰すだろう。現在、養鶏・養豚を営む業者の30%以上は経営破たんに陥っており、今後2-3週間のうちに政府が何らかの支援策を取らなければ、経営破たんはさらに拡大するだろう。今や、状況は非常に深刻化している。世界の他の国々では、高騰した飼料を補償する取り組みがなされている。また、ヨーロッパ諸国を始めとする国々では豚肉輸出に助成金が導入された。しかし、その一方で、ロシアの農家に悪影響を与えている。ロシア政府は今のところ対応策を打ち出していない。ロシアの小・中規模農家に余力は残されておらず、荒廃の瀬戸際に立たされている。」と強調した。


 

ロシア、WTO加盟なるか

2009年1月、ロシアは世界貿易機関(WTO)の正式な加盟国となる予定である。ロシアのWTO加盟に関する情報機関の責任者であるPortansky氏は、順調に行けば、2009年1月にWTOの加盟国になると公表した。ロシアは1992年からWTOへの加盟を申請してきたが、厳しい先進国との競争に対応できるだけの競争力がまだ備わっていないことを理由に、多くの専門家は時期尚早との見方をとっていた。しかし、ロシアのWTO加盟によって、ロシアは世界の市場における様々な規制から自国の輸出品を保護することが可能になるというプラスの面も指摘されている。投資会社SOVLINKのアナリストであるBelenkaya氏は、支出の削減及び生産能力向上によって、国内外市場でのロシア製品の競争力は増していくだろうと述べている。

一方、他の専門家は、WTO加盟によって、ロシア企業が国内市場のシェアを失う恐れがある危険性を指摘している。より高品質かつ安価な外国製品がたくさんロシア国内に流入すれば、ロシア企業の市場占有率に影響が出ることも考えられる。Sobinbankで市場分析を担当しているRazuvaev氏によると、WTO加盟はロシア政府の大きな目標である。もちろん、計画経済が破綻後、すぐWTOに加盟することは論理的ではなかった。しかし、改革は1992年から実施され、WTOへの加盟はロシアにとって大きな転機である。すべての企業が新しい条件の下で生き残れるわけではないだろう。しかし、国際的な競争に立ち遅れてしまうような競争力のない企業をロシアは必要としていない。

現在、多くの専門家は、ロシアが1年後にWTO加盟国となることについて疑いを抱いている。投資会社AntantaPioglobalの主任アナリストIvanin氏も、そのうちの一人で、WTO加盟の申請(1992年から実施)をする度に、加盟が数年持ち越しとなっていることを指摘している。

現在、ロシアは、主要貿易国であるアメリカ・ヨーロッパ諸国・日本とWTO加盟に関する協議を完了している。しかし、Belenkaya氏は、これに関してまだ道半ばであると考えている。同氏は、ロシアと近隣諸国(グルジア・ウクライナ)が政治的に難しい局面にあることによってWTO加盟の時期がずれこむ可能性もあるとしている。ロシアがWTOの加盟国となることに関して真っ向から反対する国はない。しかし、近隣諸国のうち数カ国が、一方でより有利な条件での対露貿易を目論み、もう一方でロシアと先進国との政治的関係に水を差そうとする可能性は否定できない。

今日までにロシア政府は60カ国以上とWTO加盟に関する協議を行ってきた。その中で、WTO加盟の障害となるような問題点を言及した国はなかった。しかし、ロシアはサウジアラビア・アラブ諸国・グルジアとの間に軋轢を抱えたままである。

政治研究センターの主任アナリストであるStanovoy氏は、グルジアがロシアのWTO加盟に異議を唱えることはなく、WTO加盟は順調にいくだろうと考えている。また、Portansky氏もグルジアとの関係について特に問題はないと考えている。同氏は、グルジアとの関係でWTO加盟のため解決しなければいけない点は、アブハジア自治共和国及び南オセチア自治州における通関上の問題の解決のみであり、近いうちにグルジアと合意に達することができると予測している。一方、アラブ諸国及びサウジアラビアとの問題点は、Portansky氏によると、数週間のうちに解消されるだろうと述べている。

多くの専門家は、WTO加盟のもっとも大きな障害はウクライナであると見ている。当初、ウクライナのWTO加盟はロシアの加盟と同時に予定されていた。しかし、2008年2月、ジュネーブでウクライナのWTO加盟が承認された。Portansky氏は、ウクライナがロシアのWTO加盟を阻止する可能性を除外してはいないが、ウクライナのユシチェンコ大統領及びティモシェンコ首相がロシアのWTO加盟を妨害することはないと言明している以上、そうした恐れはないだろうと考えている。しかし、Belenkaya氏は、天然ガスに関する問題が持ち上がったことでウクライナ首脳の立場が変わる可能性を指摘する。

専門家は、ウクライナ・グルジア・サウジアラビアがロシアのWTO加盟に厳しい立場を取る背景には、同国の指導者層以外の思惑も絡んでいるものと考えている。これらの国が、より影響力のあるWTO加盟国(アメリカ・EU)の助言を受けて、ロシアの加盟国入りを阻害することも十分にあり得る。こうしたことから考えると、ロシアがWTOに加盟するための最終的な条件及び期日は、ロシアと先進国との協議に左右される。

Razuvaev氏は、次のように結論した。ウクライナが頑強にロシアのWTO加盟を阻害することはないだろう。そして、ロシアは2009年初頭にWTO加盟を果たすことができるものと思われる。しかし、西側諸国の金融情勢は悪化している。1年後にどのような状況になっているか予測するのは難しい。いずれにせよ、ロシアには競争力のある企業が多数ある。WTOの加盟国とならなくても、世界市場を相手に競争していくことは可能である。

2007年新興国への資金流入額が7820億ドルへ

2007年、新興国13カ国への個人による貸付・投資額が7820億ドルに達した。しかし、2008年は多少減少するのではないかと思われる。

IIF(国際金融研究所)の試算によると、2007年、新興国への個人投資額が37%増の7820億ドルに達した。新興国30カ国に流入した直接投資は1.5倍に増加し、銀行による貸付は26%増加した。

アメリカで政策金利が引き下げられたことにより、投資資金がより収益性の高い市場に移動した。国際金融研究所の報告書では、新興国への投資増の背景として、資源価格の高騰、収益及び各国の通貨価値の上昇を挙げている。

英王立国際問題研究所のRossi氏は、2007年、新興国への資金流入が大幅に増加したと指摘する。アメリカの経済停滞を背景に、新興国の市場は活力を増した。総合金融機関INGで新興国投資を担当するSpigel氏によると、投資家の間で最も信任を得た市場は、貿易収支が黒字の国であると言及した。

また、新興国は投資の面でも、より積極的であった。新興国の外貨準備高は9500億ドル増の3兆7000億ドルとなった。債務総額を上回った。新興国による2007年の投資総額は13億5000万ドルに達し、先進国の金融機関にとって大きな資金源となった。

国際金融研究所によると、2007年、ロシアはシンジケートローンによる資金調達が756億ドルと最も多かった。外国への債券売却も269億ドルに達し、世界一となった。

INGのアナリストであるAndrianov氏によると、現在、債券投資家がサブプライムローン問題を抱えているため、借り手側の債券発行意欲が減少しているという。2007年3月から2007年8月までの6ヶ月における30カ国の債券発行額は890億ドルであったのに対し、2007年8月から2008年2月までの6ヶ月間に30の国が発行した債券総額は410億ドルであった。ブラジルの企業は2007年8月以降、外国債券の発行を停止している。2007年後半に、東ヨーロッパでのユーロ債の発行も停止されている。上記の国におけるシンジケートローン調達は2008年に減少すると見込まれる。

しかし、国際金融研究所は、金融市場の停滞が、即、資金流入の低下に結びつくとは考えておらず、2008年、新興国には7300億ドルの資金が流入するだろうとの予測を立てている(銀行の貸付は減少)。Citigroupの副頭取及び国際金融研究所の副議長を務めるRoudz氏は、新興国の経済政策に対する投資家からの信頼は増すだろうと指摘する。2005-2006年、新興国の債務は1290億ドル減少した。Spigen氏は、アメリカのサブプライム問題に端を発した金融状況の悪化が1年以上にわたって尾を引かない限り、2008年に新興国に対する資金流入が減ることはないだろうとしている。

 BloombergのPol氏は、他の新興国から外貨で資金調達ができる新興国は、以前のように世界経済の動向に左右されにくくなってきていると述べている。また、Roudz氏は、アジア及びラテンアメリカ諸国に対する資金流入は増加し続けるが、大きく赤字を出している東ヨーロッパ諸国(ブルガリアはGDPの25%)への資金流入は停滞するだろうと予測している。

記録的な資産流入
          2002     2006     2007   2008(予測)
個人資産      1131億    5682億    7824億    7308億 
直接投資      1295億    1674億    2556億    2862億
有価証券投資      8億     533億     435億     392億
銀行の取り分    -243億  2兆1170億    2664億   2017億
企業の取り分     71億    1360億    2169億    2037億
対外債務    2兆580億  2兆8817億  3兆5103億 3兆8594億  

ロシア冶金工業部門発展の基調

近年、鉄鋼・非鉄金属の生産会社である冶金工業業界が、国内外投資家の注目の的となっている。製産構造の変革、国外メーカーに比較して有利な環境、経済発展を背景とした国内需要の増加、事業の統合、業務拡大、生産設備の近代化、政府の支援といった要素は、同部門に対する投資の増加を促進している。

冶金部門は、生産に対して資本投下率が高く、自己資本の額に収益が左右されるという特性がある。構造改革は、そうした特殊性に対応するために必要不可欠であった。1990年代に実施された冶金工場の民営化によって、冶金関連企業は新たな資源や発電・生産施設を取得し、その結果、セヴェルスタリ(CHMF)、ノヴォリペツク製鉄(NLMK)、メチェル(MTLR)、Metalloinvest、Evraz Group、ノリリスク・ニッケル(GMKN)、UC Rusalに代表される垂直統合型の大企業が形成された。垂直統合型の企業形態が取られたことによって、鉄鉱石・石炭の採掘から金属加工品の生産、金属製品の出荷、二次原料の活用に至るまで一連のサイクルを統括することが可能となり、冶金関連企業は事業の効率を大きく高めることができた。

中国・インドのような発展途上国で現在進んでいる工業化の過程で、金属製品に対する需要が増すことは明らかである。それは、世界の市場で金属価格が上昇する要因となっている。世界市場における金属製品の代表的な供給元であり、尚且つ原料資源を保有しているロシア企業は、原料価格の上昇にも製品価格の上昇にも動じることはないだろう。垂直統合型の企業は、こうした状況でもっとも有利である。

鉄鉱石の産地に恵まれていることによって、ロシアの冶金工業は世界の市場で堅固な地位を築いてきた。製品別では、ニッケル生産で1位、アルミ・チタンの生産で2位、金属製品の輸出量で3位、鉄鋼生産で4位を誇っている。ノリリスク・ニッケルはパラジウムとニッケルの生産、UC Rusalはアルミの分野で世界を代表する企業である。

2000年当初からの目覚しいロシア経済の発展が、冶金工業部門の製品に対する国内需要増を引き起こした。鉄鋼製品における国内消費の40%を占めている機械製造業の成長は、最新技術による製品の生産を後押しした。金属製品に対する需要が多い産業として、建設業・自動車製造業の他に、天然資源価格が高まることを背景にパイプライン敷設を進めている石油・ガス部門が挙げられる。政府が積極的に援助しているインフラ整備の実現には金属製品の利用が不可欠であり、冶金工業部門の企業は、安定した製品受注とそれに伴う資産の増加が期待できる。

銑鉄・鉄鋼国際研究機関の評価によると、2000-2007年、ロシアの鉄鋼消費は67%増加した。ロシア政府は、2007-2015年におけるロシアの鉄鋼圧延材の生産量増加率を123%、同期間における消費量の増加率を142%と予測している。アルミに関する予測は、それぞれ144%、178%である。2015年までに、国内建設会社が使用する90%以上の建設用部品が冶金工業部門によって供給されると予想。

現在、冶金工業部門で事業の統合と製品の多様化が進められている。こうした流れは世界的傾向であるが、冶金工業部門における合併・統合の特徴は規模が大きいことである。生産に対する資本投下率が大きい冶金工業部門では、合併・統合に対して比較的閉鎖的な環境が形成されている。そのため、新しい企業が市場に進出することは難しく、競争は限定されており、既存企業の価値が高い。

冶金工業企業は資産を増やすことによって、製品の生産量を増加し市場における地位を拡大してきた。2007年3月に実施されたRusalとSUALの合併とUCRusal傘下にGlencoleのアルミナ工場が入ったことは、世界市場におけるシェアの拡大に貢献した。現在、アルミニウム市場では12%、アルミナ市場では15%のシェアを所有している。同社は19カ国において営業活動を行っている。また、最近では、ノヴォリペツク製鉄のMaxy-Groupの支配株(50%+1株)を取得するという計画が注目される。

鉄鉱石の価格が世界的に上昇する中、鉄鋼関連企業は、鉄鋼生産に必要な資産を取得する際、企業内に全ての生産ラインを設置することを念頭に置いている。特に、Yakutugol及びElgalugolを取得したメチェルは、市場における地位が大きく高まった。こうした状況の下、マグニトゴルスク製鉄は、鉄鉱石・石炭資産の取得に大きな関心を寄せているものと思われる。現在、マグニトゴルスク製鉄は、生産に必要な資源を所有していない唯一の製鉄会社であるためである。

世界的に合併・統合が盛んであることを受けて、ロシアの企業は地理的拡大を模索している。特に、2007年、EvrazGroupは北米市場で1月にOregon Steelを12月にはClaymont Steelを買収するという大きな取引を成功させた。また、ノリリスク・ニッケルは、米OM Group及び加Lion Oreを取得し、海外への業務拡大に成功した。

大規模な合併・統合は投資家の関心を集め、株価上昇の材料となる。2007年末-2008年初め、ノリリスク・ニッケルの資産をめぐるMetalloinvestとUS Rusalの競争があった為、ノリリスク・ニッケル株の上昇が見られた。

世界市場でロシア冶金工業の位置をより強固にするためには、事業の再編及び近代化が必要である。また、質の高い製品を供給するための設備建設も求められているが、冶金製造部門特有の問題として、新規事業に投下する資本が大きいために回収に時間を要することが挙げられる。しかし、競争力を増していくには、生産設備の技術革新に投資しなければならないことは明らかである。

近年、技術革新に対する投資を進めているのはマグニトゴルスク製鉄(572億ルーブル:2006-2010年の期間)及びノヴォリペツク製鉄(1144億ルーブル:2007-2011年の期間)である。Oskolskiy elektrometallurgicheskiy kombinat及びチェリャビンスク鋼管は、生産施設の近代化に積極的である。

冶金工業部門は、政府の援助を受けている。2007年夏、ロシア政府は2015年までの冶金工業発展戦略を採択した。ロシア工業生産における冶金工業部門の占める割合は17.3%である。輸出に占める同部門の割合は14.2%である。金属生産には国内で消費される電力量の約3分の1、貨物輸送の5分の1が必要である。現在、全冶金工業関連企業の時価総額は1640億ドルに達する。政府によると、この金額は、2016年までに46%増の2400億ドルに達する見込みである。

冶金工業部門は国内経済の発展に大きく貢献することから、政府は、生産施設の近代化や製品の競争力向上を図る同部門の投資計画に援助を行っている。2007-2015年には、鉄鋼分野に対しては1兆1560億ルーブル、非鉄分野に対しては6670億ルーブルに及ぶ政府の支援が計画されている。

こうした状況は、冶金工業部門への投資を促進している。2007年、冶金工業関連企業に対する投資は証券市場を牽引する役割を果たし(証券市場ベスト3部門入りした)、今後もより一段と成長する可能性を残している。1年で金属関連銘柄を含むMICEX金属指数は46%上昇し、金属採掘関連銘柄を含むRTS金属採掘指数は54%上昇した。

冶金工業部門が抱えているリスクとしては、同部門の成長と経済の成長が同調していることに注意を払う必要がある。現在、世界経済が停滞していることは、経済の成長を基盤に発展する同部門の成長を妨げる要因となっている。しかし、一方で中国やインドにおける経済発展が勢いを緩める気配はなく、アメリカの不況が世界の金属及び金属製品に対する需要に及ぼす影響も限定的である。ロシアの冶金工業関連企業に関しては、世界市場で金属需要の増加に停滞があったとしても、建設業及びインフラ整備事業の発展によって国内需要が劇的に増加することが見込まれており、埋め合わせが可能であると考える。

FINAM

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ゴールドマン・サックスはロシア不動産へ投資

不動産投資額が230億ドルを超えるゴールドマン・サックスは、ロシアの開発プロジェクトに対する投資を開始した。コメルサント紙によると、ゴールドマン・サックスは、BRICs諸国(ブラジル・ロシア・インド・中国)の不動産投資を専門とした40億ドル規模の不動産投資フォンドを設立する。ロシア国内不動産市場では、他の投資機関による投資は減少傾向にあるが、ゴールドマン・サックスが40億ドルのうち半分をロシア不動産に充てる予定である。

ゴールドマン・サックスが、BRICs諸国の不動産投資専門の投資フォンドを設立するというコメルサント紙の報道は、一部の投資銀行から得た情報に基づいている。ファンドの規模は40億ドル、現在そのうち約25億ドルが集まっており、投資プロジェクトの選別がなされているとしている。ゴールドマン・サックスの広報は、コメントを出していない。しかし、ゴールドマン・サックスのフォンド設立に関しては、コンサルティング会社S.A. Ricci/King SturgeのAvdeev氏とAFI Developmentの経営責任者Vashurin氏が事情に通じている。モスクワのある開発業者によると、投資銀行は40億ドル規模のフォンドの約半分がロシア不動産への投資に充てられ、そのうち、3分の2はモスクワ、残りがサンクト・ペテルブルグのその他の都市に分配されることを非公式に市場関係者に通知している。

専門家は、ゴールドマン・サックスのフォンドが、分散型の投資戦略を取り、すでに既存物件及びロシアの提携先と共同で実施する新規開発事業に投資をするだろうと考えている。AFI DevelopmentのVashurin氏によると、最近のヨーロッパ投資機関のポートフォリオ構成は、既存不動産が70%で、新規開発事業が30%である。また、Renova Capitalの経営責任者であるTsarikov氏によると、既存不動産に対する投資では、年に9-10%のリターンがある。一方、新規開発事業では年に20-30%のリターンが期待できるが、リスクも高い。行政の許可取得に時間がかかり、建設中の計画頓挫もあり得るからである。

国際投資銀行のゴールドマン・サックスは1991年から不動産投資を開始した。以来、ゴールドマン・サックスが設立した不動産投資フォンドは18となり、投資総額は237億ドルに達した。ロシアでは1998年から営業を開始しており、コンサルティングと市場取引の分野でサービスを展開してきた。Dealogic社のデータによると、2007年、ゴールドマン・サックスは、ロシアにおけるM&Aの仲介業務で10位に入った。ゴールドマン・サックスが仲介したM&Aは8つで全体として78億ドル規模であった。

銀行Uralsib投資部門責任者のLukhton氏によると、ゴールドマン・サックスがBRICs諸国向けに設立するフォンドは、ロシアの不動産市場で、もっとも大きな投資プロジェクトとなるが、ゴールドマン・サックスのライバル企業は、すでに以前からロシアの開発事業に投資を行ってきたと指摘する。2006年8月、Morgan Stanleyは、3000万ドルでRosevrodevelopment社の10%を購入し、ロシア不動産投資のために36億ドルのフォンドSpecial Situation Fund Ⅲを設立した。Raiffeisen Bankは、オーストリアの建設会社Strabag AGと共同でフォンドRaiffeisen Evolution Emergesを設立し、2010年までに5億ユーロをモスクワ・ペテルブルグ・その他の都市の不動産に投資する計画である。また、オーストリアの建設会社Strabag AGはDeutsche Bankとも共同で、ロシアの開発事業のための企業DB Developmentを設立した。

外国の投資機関がロシア不動産市場の開発に乗り出したのは2005年。大手投資銀行が投資を開始したのと同時に、個人投資家の資産を運用する外国のファンドもロシアに入ってきた。S.A. Ricci/King SturgeのAvdeev氏は、現在、国際市場の流動性が低下しているために、ロシアで活動しているファンドの約90%が、業務の積極的な拡大を一時的に停止している、と言う。さらに、ゴールドマン・サックスは、その市場の影響をあまり受けなかった。ヨーロッパ諸国やアメリカと比較して急激に不動産の価格が上昇しているロシアに進出するには、今がもっとも適当な時期であると考えている。

コメルサント紙

ロシア経済、世界的不況のあおりを受けず

年初、数ヶ月間のロシア経済の動向は好調であった。今後も好調な状況が継続するものと思われる。しかし、金融情勢が悪化する中、投資力が減退し、工業や建設部門における成長が減速することは避けられないかもしれない。2008年のGDP伸び率は6.7%の水準と見込まれている。

ロシア経済は順調な成長をみせている。08年1月のGDP伸び率は対前年同期比7.4%増であった。また、投資額は同19%増、小売販売業は14.1%増、建設部門にいたっては30.1%増となった。2007年後半での銀行融資の大幅増(2.5~3%)は、現在のところ、活発な投資にも消費にも大きな影響を及ぼしてはいない。ネガティブな要素としては石油部門で採掘量の削減が始まったことが挙げられる。燃料エネルギー中央局のデータによると、1-2月の石油採掘量は日量979万バレルであり、2007年同期比0.7%減少した。しかし、この部門が、近年GDP伸び率に与える影響は少ない。

活発な消費に関する説明は、投資ブームを説明するより容易である。消費の拡大を大きく促した要因は、激化するインフレである。更に、通過の切り下げがあるのではないかといった噂が全体に飛び火したために消費を押し上げたことも十分に考えられる。貯蓄率の向上を促すためのインセンティブがない中(銀行預金の金利はインフレ率よりも低く、金融市場が不安定であるために投資信託ファンドからは投資離れが進んでいる)、多くの人はより活発に消費せざるを得ない状況である。消費の過熱傾向を抑える唯一の要素は、銀行によるクレジット貸付基準が厳しくなったことである。しかし、急激な収入の増加は止まる気配がなく、消費拡大を大きく支えている。1月の一人当たりの平均収入は、前年比28.5%増え、平均賃金は31.7%増加した。

現在のところ、収入の増加や消費の過熱が抑制されることはなく、消費ブームは年間を通して維持されるだろうと予測される。こうした傾向に歯止めがかかるとすれば、石油価格の急激な下落しか考えられないが、それも、収入や消費にすぐに係わることはないだろう。

投資ブームに関しては説明がより困難である。この半年、クレジット貸付の基準が厳しくなったことに、多くの企業が直面したものと思われる。クレジット貸付が厳しくなった結果、大企業には借入コストが上昇するという問題が発生し、中・小企業は、借入自体受けられないという状況が発生している。この数ヶ月間に、多くの投資プロジェクトが中止され、現在施行されているプロジェクトもその活動は下火になってきていることが見て取れる。こうした状況で、投資の成長率が大きく伸びたのは、国営企業の投資プロジェクト及び大きな資本を必要とする(同部門内でその金額が調達可能である)投資プロジェクトが施行されていることに関係している。

こうした投資ブームが続くのは今年までで、近いうちにブームは下火となるだろう。しかし、この数ヶ月、経済成長は高水準を維持したため、ロシア経済に対する市場の期待も大きくなった。2月、経済学者は、コンセンサス予想を3ヶ月前の予測から上方修正した。GDP伸び率は6.7%から7%(2009年は6.5%)、投資の伸び率は15%から16.1%(2009年は14%)、小売部門の成長率は12%から13.1%(2009年は11.7%)となった。石油価格(Urals)のコンセンサス予想は、75.5ドルとなった(2009年は72.4ドル)。

マクロ的な経済予測に変更はないが、現在の石油価格(1月2月の平均は90.6ドル)が維持されれば、国際収支及びその他の指標も見直し(上方修正)が必要である。石油市場がこうした状況にあれば、石油輸出額は年末までに4000億ドルを超え、貿易収支は、2007年の水準に達するだろう(それ以上に達する可能性もある)。これは、株式への資金流入不足を補い、マネーサプライ及び銀行部門の成長を維持する材料となる。石油の高値と国際収支の改善は、この半年、為替市場で高値を付けてこなかったルーブルの下支えとなるだろう。

モスクワ銀行

 

ロシア証券市場への投資高まるか

ロシア中央銀行第一副総裁Ulyukaev氏は、2月29日、外国資本の今後の流出について注意を呼びかけた。

しかし、外国人によるロシアへの投資の興味は弱まっていない。2月20日から27日の1週間で、海外からロシア株式ファンドへの投資額は、2億3740万ドル。一方、1月16日から23日における資金流出額は1億ドルであった。EPFR Globalによると、1、2月全体の外国人投資家のロシア株への投資額は8億3130万ドルとなった。

12月からロシアファンドへの投資額は、17億ドル。一方、BRICs諸国ファンドへの投資額は約9億8000万ドルとなった。しかし、BRICs諸国の中でロシアへの投資額が占める割合は、20から25%(BRICs諸国におけるロシアの市場時価総額の割合は18%)、GEMの内、ロシアへの投資額が占める割合は10%であるために、過去12週間のロシアへの投資額は17億ドルをはるかに上回っているとアルファ・バンクのSmith氏とDepoi氏が戦略概要の中で指摘している。

BRICs諸国への投資ファンドの多くが、ロシアファンドに切り替わったとRenessans Asset Management副社長Kochubei氏は話す。また同氏は、ロシア証券市場は他の新興国市場よりもコストが安いと付け加えた。

「ロシアに流入した17億ドルは、株式へすべて投資されていないだろう。もし投資されているとすれば、RTS指数が年初来9%減少しなかっただろう。ファンドが資金を集めていて、投資の機会を狙って待っている可能性が高い。」とロスバンクのStoyanov氏は指摘している。

メドヴェージェフ氏がロシア大統領になれば、集められた資金による投資の機会が早まるとアルファ・バンクは考える。

一方、5週間続いていたアメリカ株ファンドからの資金流出は少し収まり、僅かな資金流入も観測された。しかし、ヨーロッパ株及び日本株ファンドからは26週間連続で資金流出が続いている。主な原因は、ヨーロッパ諸国及び日本経済は、アメリカの景気後退懸念と、より一段のユーロ高・円高によりマイナスの影響を受ける可能性が高まっているため。

先週米保険最大手AIGが、クレジット・デリバティブにより111億ドルの損失を計上したことを発表して以降、Dow Jones指数は2月29日、2.5%安の12266.4となった。その結果、AIGは07年第4四半期に、設立以来最大の損失を被った。その額は53億ドル。

銀行及び証券会社はすでにアメリカのサブプライム問題の影響で1600億ドルの損失を被っている。しかし、最終的な損失額は3500億ドルになる見込みとUBSロンドン支店のSharpen氏は表明した。さらに金融機関全体の損失額は6000億ドルになるとSharpen氏は予想している。

ゴールドマン・サックス、モーガンスタンリー、シカゴ大学、プリンストン大学などの計算によると、住宅価格の低下(-15%)を考慮したサブプライム問題による損失は、4000億ドルに上る。金融機関は、資産を2兆ドル縮小した。それによりアメリカのGDP成長率が1-1.5%低下。

ヴェドモスティ紙

 

ロシア次期大統領はメドヴェージェフ氏

Fitch Ratingsは、3月2日の大統領選の結果、メドヴェージェフ氏がロシア次期大統領となるのは確実であると発表した。国家として経済力及び財政の強化という難題の解決は、同氏に委ねられることになるだろう。現在、ロシアの国内・外国通貨建て長期デフォルト格付けは「BBB+」。見通しは「安定的」。

メドヴェージェフ氏の眼前に難題が待ち受けている。同氏には、プーチン大統領の路線を継承して、経済的繁栄をもたらし、ロシア国内で高い支持を得ることが望まれている。同氏は、法律分野に精通しており、高級技術官僚出身である。また、司法の独立と腐敗した官僚の一掃、国営事業の改革を掲げ、政治的・経済的リベラル色を打ち出している。こうした側面からは、楽観的な見方もできる。

2000年3月にプーチン氏が大統領に就任して以来、ロシアの金融・経済状況は大きく改善され、Fitchがロシアに対する格付けを「CCC」から「BBB+」へ引き上げた。GDPの伸び率(ここ5年間の平均)は、1999年末には-1%であったのが、2007年末には7.3%まで上昇した。GDPの99%に達していた国家債務は、8%に減少した。安定化基金には1570億ドルの予算が計上され(1999年には0)、外貨準備高は4740億ドルに達した(1999年には120億ドル)。また、2007年、国民1人当たりのGDPは、1320ドルであった1999年に対して8660ドルまで増加した。

FitchのアナリストParker氏は、次のように言及している。構造改革に新風が吹くことで、実務環境が改善され、経済成長もより多角的な発展が望める。また、曖昧な政治的スタンスの解消が期待でき、選挙後に、ロシアの格付けが格上げ方向で見直される可能性がある。しかし、同時に、周囲の期待に反して、メドヴェージェフ氏が能力を発揮できない場合も想定される。また、首相に就任すると見られるプーチン氏との双頭体制が順調な滑り出しをみせるかどうか、不確定な要素もある。

今後、ロシア経済が強くなっていくことで、格付けに好影響が出ることは十分に考えられる。2007年に発生した政府予算の余剰金は、GDPの7.6%に相当した。それに伴い、税金の減額と支出の増加傾向には拍車がかかっている。Fitchは、税制を軽減する措置によって、今年の予算の余剰金はGDPの3.5%程度にまで減少すると予測している。2007年、ロシアの貿易黒字はGDPの6.2%であった。しかし、2009年までに、輸入が増加し、輸出が制限され、さらに石油・ガスの国際価格が低下する場合、マイナス方向に転じる可能性もある。つまり、ロシアの国家予算と国際収支は、原料製品の価格変動に大きく左右される。

2007年、ロシア経済は8.1%という高い成長率を示した。銀行融資額全体の51%が民間部門に流れ、その流入額が820億ドルに上った。こうしたことを背景に、資本投資額は20.8%増加した。しかし、この6ヶ月間、マクロ経済は不透明感を増している。1月時点で年間インフレ率は12.6%に達したが、金融政策の結果が出ていないままである。更に、ロシアの金融政策自体が必要以上に緩いものであり、銀行部門の流動性を高めるための政策はこれを証明している。Fitchは、こうした緩めの金融政策は、格付けにはマイナスの影響を及ぼすと考える。ロシアの外貨準備高は非常に大きいが、金融市場が世界的に減速傾向にあることで、資本の流入に影響が出るのではといった不安要素も抱えている。特に、約800億ドルに上る民間の対外債務と1000億ドルに上る短期対外債務の償却時期を迎える2008年は、そうした影響が懸念される。

本資料はロシア株式に関する各種情報の翻訳・提供を目的としたもので、当社が正確かつ信用にたると判断した種々の情報源から資料を入手しています。そのため本資料に記載されている情報等が一部重複している場合もあり、またその正確性、確実性、実現性について保証するものではありません。