ロシア経済トピックス: 2009年3月
実体経済への支援策:低金利政策に着手か
ナビウリナ経済発展相は、現在の貸付金利が実体経済セクターにとっては高いとの認識を示している。3月26日の「統一ロシア政党」総務会幹部会で、同経済発展相は、インフレが進行している中では、当然、実質金利を上げる必要があるが、金利が多くの企業の収益を上回っているような現在の状況は、普通ではないと述べた。また、同経済発展相は、これに関連して、金利引き下げのために、政府は、個別の措置のみならず、何らかの包括的な措置を取るべきと述べた。
移行期経済研究センター経済構造問題研究所のIzryadnova副所長は、実際、高金利は、現在、実体経済にとって愁眉の問題であるとの見解を持っている。同氏は、「金利が高いために、企業は、運転資金を充足するだけの融資が受けられない。これは、生産回復を妨げる要素であり、賃金未払いの要因でもある。高金利によって、正常な生産サイクルが崩れてしまっている。」と指摘する。同氏は、こうした金利政策が生産の拡大に水をさしていると述べる。Izryadnova氏は、実体経済を改善させるには、貸付状況の正常化、金利の引き下げ、包括的な措置が必要不可欠と考えている。
商業銀行MoskommertsbankのLebedeva第1副社長も、大方の貸付金利が高いということに同意している。同氏は、「金利の引き下げを図るためには、一方で、銀行のために低金利の財源を確保する必要がある。また、もう一方では、事業計画・売上予測がポジティブな優良貸付先を獲得しなければならない。」と述べる。どのようにそれを実行するかは、また別の問題だ。
Trast-BankのアナリストであるBragin氏は、銀行システムの流動性について、現在は、何とか通常の状態に落ち着いたと述べる。しかし、銀行が企業に対して新たに融資を供与するには、さらなる資金調達が必要不可欠である。同氏は、「銀行が資金不足であれば、融資枠の拡大は無理である。」と述べる。Bragin氏は、資金再調達について、劣後ローンという形での間接的な支援では不十分であるが、政府は、銀行への直接的な資本参加を望んでいないと指摘する。従って、問題を解決するには、他の方法を模索しなければならない。その例として、連邦債を通じて銀行の増資を実施する案が出されており、すでに、クドリン財務相と銀行経営者陣が協議を行っている。担当官僚によると、こうした案が実現化されるのは、2-3ヶ月先となる見通しである。従って、現段階では、この案に関する作業方式が完全に決定されたわけではなく、その有効性の問題ついても、まだ、議論は尽くされていない。
また、銀行の資金不足は、企業向け貸出の不良債権化という問題にもさらされている。ロシア中央銀行のデータによると、2月、不良債権化した企業向け貸付の比率は、2.4%から3.1%に拡大した。政府は、今年年末時点における不良債権の比率は10%相当になるとの見通しを立てている(アナリストの予想は5-10%以上に分かれている)。不良債権は、銀行の資産を目減りさせてしまう。増資をしたとしても、実体経済に対する融資貸出には大きなリスクが残っているため、銀行は、貸し渋りの姿勢を見せている。Trast-BankのアナリストであるBragin氏は、「銀行としては、融資返済の見通しもおぼつかないままに、低金利での融資を行うことはできない。銀行の資産の質が低下している中で、新たな融資の供与には動けない。」と述べる。また、同氏は、政府であっても、こうした問題を解決することは難しいのではないかと考えている。Bragin氏は、「どの企業が危機を乗り越え、どの企業が破綻するかを見極め、銀行が多少なりとも、明らかな見通しを立てるには、時間が必要だろう。まだ、デフォルトの危機は続いており、どの企業がいつそうした状況に陥るかという判断もつきかねる。」と述べる。同氏は、この問題については、市場の成り行きにまかせるべきだと考えている。政府が全ての企業を守るわけにもいかないし、そんなことは必要ないからだ。
FINAM
2009_03_30L
最初にデフォルトを宣言する国はどこか?
世界的金融危機を背景に、欧州小国では、次々に内閣が総辞職する事態となっている。真っ先に、そうした憂き目を見たのは、1月に自国通貨が大暴落したアイスランドであった。その後、2月には、ラトビアの首相が辞任した。チェコでも、内閣が総辞職することになっている。
現在は、ハンガリー、並びに、ブルガリアの内閣総辞職が物議をかもしている。ウクライナでは、最大野党である地域党が大統領と首相の辞職を求めている。砂上の楼閣のように、欧州の各国政府が崩壊しているのは、デフォルトの恐れがあるためである。それも、中には、非常に近い将来、デフォルトが宣言される可能性がある。
経済大国と経済小国に対するダブル・スタンダード
各国でデフォルトの危機、つまり、対外債務返済不能の恐れが迫っているのは、経済危機に瀕した国々に対する世界通貨基金(IMF)の融資条件が未だに非常に厳しいままであるためである。IMFから供与された資金の使途は、ドル・ユーロと強く結びついている自国通貨の相場維持と赤字予算の補填に限られている。
その上、融資借入国の国営銀行は、国内需要喚起を目的とする自国通貨の発行が禁止されている。IMFの考え方によると、こうした行動は、インフレを加速させる可能性があり、融資借入国の経済的安定性をさらに損ないかねないとされている。
しかし、その方針にはダブル・スタンダードがある。アメリカのオバマ大統領、並びに、バーナンキ連邦準備理事会(FRB)議長が、自国の製造業振興のために、8000億ドルもの追加金融対策を取ることに対しては反対の声は上がらない。しかし、アメリカの追加金融対策は、アメリカ国内のインフレのみならず、各国中央銀行が保有する準備金を始めとした海外におけるドル建て資産の価値下落を招くだろう。欧州の大国もまた、巨額の資金を自国経済に注入した。
こうしたことからすると、世界経済の中心として、IMFや世界経済の一翼を担う世界銀行(WB)を牛耳っているアメリカと西ヨーロッパに対しては同様の方針がある一方で、経済的小国に対するIMFやWBの姿勢は全く異なっている。
これは驚くようなことではない。第2次世界大戦後、先進国によって設立されたIMFとWBは、発展途上国に対する経済的支配を固めるために、裕福な先進国から発展途上国へ資金を流すことを目的としていた。
世界的金融危機が発生したことで、アイスランドのような国際金融市場への依存度が非常に高い国々では、自国通貨の暴落、GDPの急激な低下、失業者の増加といった破滅的な影響がもたらされた。
IMFは、このところ、ウクライナ、ハンガリー、ラトビア、アイスランド、セルビア、及び、その他の諸国に、巨額の安定化資金を供与している。しかし、資金の使途に対するIMFの条件が厳しいため、ほとんど、借入国に対する支援とはなっていない。
その例として、IMFは、ウクライナに対して164億ドルの融資を決定したが、現在、ウクライナの条件遵守をめぐる問題が持ち上がっており、融資実行は中断している。デフォルトの瀬戸際にあるラトビアも、IMFから104億ドル相当の借入を予定しているが、条件が受諾し難い内容であるため、条件の見直しを要請している。
バルト海沿岸諸国では、総じて、危機的な状態にある。バルト諸国では、ユーロに連動する通貨制度が採用されているが、金融危機の中で、為替レートを維持していくことが不可能になっている。ラトビア、リトアニア、エストニアが早急にユーロ圏に組み入れられれば、こうした状況は脱却できただろう。しかし、欧州連合首脳陣は、バルト諸国では、ユーロ圏の基準に基づいた経済水準に達していないとして、3国の要請を拒否した。
この結果、種々の予測によると、ラトビア通貨ラッツは、今年年末までに2分の1に下落し、GDPは25%低下する見通しである。
IMFの改革が不可欠
はかばかしくない状況を察したIMFは、先週、融資供与条件の大幅な緩和を図った。主な新制度としては、フレキシブル・クレジット・ライン(FCL)と呼ばれる新たな融資プログラムの導入が挙げられる。
IMFの説明によると、FCLでは、借入後の条件は規定されておらず、融資限度額もない。FCLによって、借入国は、「予防的メカニズム」として、クレジット・ラインを常時利用することができる。
しかし、IMFがFCLの対象としているのは、健全な経済運営の実績があり、高いファンダメンタルズと経済戦略を有した国である。デフォルト寸前の状態では、FCLの対象とならないことは明らかだ。
この他、IMFは、融資供与に際して、IMF専門家が融資の使途調査を行う従来のスタンドバイ取極(SBA)による融資制度を改めた。今回、SBAの限度額は従来の2倍に設定され、利子支払、並びに、主要債務の返済システムが簡素化された。
また、IMFによると、仮に、ウクライナがフレキシブル・クレジット・ライン(FCL)の供与を望む場合、すでに供与されているスタンドバイ取極(SBA)を打ち切らなければならない。
IMFが新たな条件で供与する融資の申請を出すことは、現時点でも可能である。しかし、融資受領制度が機能するのは5月1日からとなり、新たな利子計算方法は8月1日までに適用開始されることになっている。先に挙げたデフォルトの危機が迫った国々にとっては、この時期にIMFの新たな融資を受け取っても最早手遅れだ。
発展途上国の中でも発展著しいBRIC諸国(ブラジル・ロシア・中国・インド)は、アメリカの利益を第1に反映しているIMFを抜本的に改革するための行動に出ている。BRIC諸国は、IMFが新たな世界の金融構造に対応していくよう、その役割の見直しを提言している。また、BRIC諸国は、世界経済に占めるプレゼンスを増大させた成長著しい新興国の利となるよう、IMF投票権システムの早期改革を求めている。これによって、IMFの資金基盤増加、並びに、借入を必要としている国々に対する融資制度の緩和を図ることができるだろう。
BRIC諸国以外にも、イギリス、ドイツ、インドネシア、サウジアラビア、カナダ、メキシコといった国々がIMFの改革を推進している。
従って、現在の国際金融システムは、できるだけ多くの国々をIMFの助力を得たアメリカの管理化に置くためのものだという批判の声は高まってきている。また、現在の金融システムは、経済的小国を犠牲にして成り立っている。経済的小国は、アメリカが強制する市場ルールに従わなければならないが、その一方で、アメリカは、そのルールを遵守していない。
金融危機の中で、こうした枠組みでは、表面化した種々の問題に対処できないことが露呈された。これに関連して、IMFの改革を支持する国々では、世界の準備通貨としてのドルに代わる新たな国際準備通貨を創設する動きが出てきている。ロシア、中国、カザフスタンは、すでに、こうした提案をしている。
デフォルトは救いとなるか?
しかし、現在のところは、主要先進国が国際金融システムを改革していくことで合意している。多くの経済的小国にとっては、対外債務のデフォルトを宣言することが、苦境を早く乗り切る術となるかもしれない。国家のデフォルトは、法人・個人の破産とは異なる。法人・個人の破産の場合、債権者は、債務徴収のため、債務者の財産を差し押さえることができる。しかし、国家の場合は、債務国の財産が債権国に分配されることはない。
国家がデフォルトを宣言したということは、その国が今は負債を返済することができないということを意味している。一定期間後に資金ができれば、その国は、債権国に対する債務の償却が可能となる。ロシアは、1998年にデフォルトを経験したが、その後、対外債務の返済が可能となり、今後、IMFからの新たな融資は受けないことを決めた。
しかし、国家がデフォルトを宣言した場合、その国の国民にとっては、大きな損失となる可能性がある。国債が紙くずになってしまうばかりか、国家から資金を借り入れている民間の銀行や金融機関も破綻してしまうため、預けたお金が返ってこなくなる恐れがある。また、債務の返済が再開された場合にも、国民の福祉向上を図るために残る資金はわずかばかりとなるだろう。
ロシアの省エネ対策とその可能性
2009年12月には、世界経済の発展という見地から重要なイベントがある。つまり、京都議定書(2012年に失効)に代わる排出量規制に関する国際条約がコペンハーゲンの地で締結される予定となっている。そこでは、気候変動に対する先進国・新興国の2020年までの取組が決定される見通しである。この他、再生可能エネルギーを基にした新たな事業開発モデルに対する投資額も決定することになるだろう。
カールセン駐露デンマーク大使は、気候変動に関する国際協議の場におけるロシア政府の重要性について、いくら高く評価してもし過ぎることはないと述べている。同大使は、「エネルギー効率の向上を図ることで、ロシアは、自動的に、二酸化炭素の排出量を抑制することができる。状況の如何にかかわらず、ロシアは有利である。デンマークの例は、経済成長とエネルギー消費量、及び、温室効果ガス排出量の低減を組み合わせることが可能であることを示している。ロシアは、コペンハーゲンで開催される国際会議の中心的存在となるべきだ。」と考えている。
ロシアがコペンハーゲン協定に参加する可能性は高い。可能性としては、2020年までに、排出量の増加率を基準年である1990年の水準の25%に止めることが義務化されることが考えられる。喜ばしいことに、ロシア政府は、すでに対策に着手している。メドベージェフ大統領は、2020年までに、ロシア経済のエネルギー消費量を40%低減するとした大統領令に調印しており、現在、それに基づいた省エネ法が策定されている。
世界自然保護基金(WWF)のデータによると、ロシアは、温室効果ガスの排出量で世界第3位であり、非常に大きな省エネの可能性がある。ロシアでは、現在消費されている電力・熱力の40%以上が節約できるとされている。この40%とは、フランスのエネルギー消費量に匹敵する量である。また、40%のうち15%は、行政的な問題が引き起こしているものであり、法律で対処することが可能である。さらに、簡単な省エネ促進対策に取り組むことによって、10%低減することができる。残りの15%については、省エネ・エネルギー効率の技術を促す抜本的な措置が必要である。
世界銀行の調査によると、ロシア経済のエネルギー浪費によって、石油・ガスの輸出で得た収益の840億-1120億ドル相当が失われている。また、今後、天然ガスの産出量は減少することが予測されているが(2010年までに350億-1兆立方メートル)、エネルギー効率の向上によって、エネルギー余剰が出れば、ガス産出量の減少を用意に補うことができるかもしれない。天然ガス生産量の増加を図るためには、1兆ドル以上の投資が必要となるが、エネルギー資源の省力化にかかる費用は、その3分の1程度の3200億ドル相当とみられている。
しかし、世界のGDPの約20%を占める世界一の経済大国であり、大きな二酸化炭素排出源でもあるアメリカは、京都議定書を批准せず、温室効果ガス削減が義務化されることを避けようとしている。大企業のロビイストは、前ブッシュ政権と結託して京都議定書に反発した。しかし、オバマ大統領は、ブッシュ前大統領とは全く異なる方法を考えている可能性がある。スティーブン・チュー米エネルギー長官は、今後3年間で、風力発電による発電量を2倍に増加することを計画している。オバマ大統領の金融危機対策でも、クリーンエネルギー産業の発展に300億ドルを拠出することが盛り込まれており、主に、対象となる企業に対して、税制緩和・優遇貸付が実施される見通しである。
WWFロシアのChestin代表は、二酸化炭素の排出による気候変動について、深刻な影響をもたらす可能性があると指摘する。同氏は、「地球の気温は上昇しており、化石燃料の利用を今すぐ止めたとしても、この先上昇し続けるだろう。問題は、気温上昇の度合いである。一連の学者は、気温上昇の許容数値は2度との見解で一致しており、現在の課題は、その許容限度を超えないことにある。その限度を超えてしまうと、ペンギン・ウミガメ・ホッキョクグマ・サンゴ礁等、多くの動植物が絶滅するばかりか、文明の危機ともなる。温暖化の影響を是正するには、膨大な資源が必要である。もはや、GDP成長や社会的発展等は問題ではない。」と警告する。
コペンハーゲンでのエネルギーサミットを控え、3月28日には、全世界80カ国1500都市で10億人が1時間消灯する「アース・アワー」が行われる。ロシアでも、モスクワの他、サンクト・ペテルブルグ、ヴラジオストク、クラスノヤルスク、ペトロパブロフスク・カムチャツキー、アルハンゲリスク、ムルマンスク、エカテリンブルグ、ニジニ・ノヴゴロドがこのイベントに参加する。モスクワでは、ルシコフ市長が20時30分に市庁舎、モスクワ大学、モスクワ・シティのフェデレーションタワーの電気を消す。これによって、大きな効果が出るわけではないが、始めの一歩とはなる。GDPの拡大とエネルギー消費の低減を同時に進めることは可能である。デンマークにできて、ロシアができないということはない。
FINAM
2009_03_27L
ロシアは銀行システムの危機を克服
「ロシア銀行システム2009:金融危機克服の戦略」と題した第9回全ロシア会議に参加したクドリン財務大臣は、「我々は、銀行システムの危機を乗り越えた。ロシア大手銀行の破綻は回避できた。」と述べた。2008年10月1日以来、ロシアの銀行は、500億ドル相当の債務を償却してきた。しかし、クドリン財務相は、まだ、これは、第一段階に過ぎないとしている。同財務相によると、ロシアは、原油価格低迷という試練の時代に突入している。クドリン財務大臣は、こうした厳しい状況が背景にあることから、今後、銀行の融資増加率が前年の水準を維持していくことは難しいだろうと指摘している。
また、クドリン財務相は、現在、ロシアの銀行全体としての対外債務は1510億ドルで、対外資産は1470億ドルであると伝えた。この2指標が均衡してきたということは状況の安定化を物語っている。これは、ロシア中央銀行の取組によるところが大きい。
クドリン財務相は、政府が銀行の不良資産を買取るために基金を創設することはないだろうと述べた。同財務相は、ロシア地域銀行協会が予測しているように、2009年の債券回収不能額が15%に達することはないだろうとの見通しを示している。財務省の見積もりでは、回収不能額は10%以下となる見通しである。
クドリン財務相によると、2009年には、5290億ルーブルに相当する国債の募集・売出し(2008年は2660億ルーブル)が予定されており、償還額は1000億ルーブルとなる。従って、国債発行額は2倍に増加することになる。クドリン財務大臣は、今後数年間、こうした傾向は継続するとしている。
クドリン財務相によると、2009年1月におけるロシアの資本流出額は、400億ドルであった。同財務相は、「我々は、金融危機終息後の布石として、自由な資本移動の体制を堅持していく。」と述べた。
さらに、クドリン財務相は、2010年に予定していた銀行の最低所要自己資本を200万ユーロとする条件の導入時期を2010年以降に延期することは不適切との所見を示した。ロシア地域銀行協会のアクサコフ会長は、こうした条件の導入延期を要望している。
クドリン副首相兼財務相、経済の「再起動」を約束
クドリン副首相兼財務相は、政府が取り組んでいる危機対策が、ロシア経済を世界的な危機から保護し、建て直しに向かわせると考えている。
クドリン副首相兼財務相は、構造の変化には時間が必要だとし「今流行の言い方で言えば『再起動』が必要である」と述べた。「国内経済で構造改変が進む間、危機対策は世界的な危機から経済を保護する防波堤となる」と表明した。危機対策総額は1兆6000億ルーブルにのぼる。
同氏は、日曜日のインタビューにおいて、現在の経済情勢において最も問題となるのは、おそらく住宅問題になるとの見方を示し、国は昨年を大幅に上回る住宅の買取りを行うと述べた。
同氏は、まず、軍関係者の住宅確保プログラムが増加するとの見通しを示し、「契約兵士募集計画のため、新たな居住都市を設立しなければならない。今後兵士は兵営ではなく、アパートで生活することになる。彼らの多くには家族もいるのだ。」と表明した。
また、同氏はこう続けた。「このほか、大統領は、まだ住宅を所有していない退役軍人全てに住宅を提供することを主導している。2010年までに、だ。これは大規模なプログラムで、今年だけは450億ルーブルと、数倍の予算がついた。」
さらに、老朽化が激しい住宅や、倒壊寸前の住宅からの転居に対しても国から資金が拠出される。このため、今年は住宅公共事業管理局基金に900億ルーブルが拠出される(昨年は500億ルーブル)。
同氏は、「このように、国による住宅買い上げ策に関しては、たくさんの方向性を挙げることができる。もちろん、自己資金及び住宅ローンの利用で住宅を購入する国民全員を支援するわけにはいかないが。」と指摘する。
住宅ローンは金利が高く、手が出ない。しかし、国は下半期にはインフレを克服し、貸付金利の引き下げを狙っているという。
「金利が下がれば、国民が再び利用できるようになる。国は2011年までにインフレ率を7.5%まで低下させ、それにともなう貸付金利の引き下げも期待している。貸付金利がインフレ率を下回らないことは周知の事実である。そんなことになれば損が出て、誰も金を貸さなくなるだろう。」
同氏によれば、国は予算の拠出により、問題の一部を解消している。「若手専門家や若手研究者に対する住居費の一部を支給している。住宅ローンの一部を支給することも行っている。例えば、国民のうち一定層は、貸付金利に対する助成金も受け取ることになる。このような措置により、国は住宅建設を支援していくつもりだ。」
給与カットや失業などにより、生活に困窮しながらも住宅ローンを支払っている国民に対しては、今年のローン支払い額に対するローンを提供している。同氏は、「これにより、求職活動や生活の建て直しに1年間の猶予が生じる。また、返済の繰り延べも可能となるかもしれない。」と語った。
2009_3_22
ロシアのビジネス環境は?
米経済誌「フォーブス」がこの程、世界127カ国のビジネス環境ランキングを発表した。ロシアは、今回のランキングで、昨年の86位から17位後退し、103位となった。BRIC諸国では、中国が63位、ブラジルが65位、インドが75位と、揃って、ロシアを上回る結果となった。旧ソ連諸国の中で、もっとも評価が高かったのは、バルト海沿岸諸国(エストニアが17位、リトアニアが42位、ラトビアが45位)であった。また、CIS諸国の中では、グルジアが64位、ウクライナが97位、カザフスタンが71位、モルドバが95位、アゼルバイジャンが87位、アルメニアが94位とロシアの順位を上回り、タジキスタン(123位)のみがロシアを下回る結果となった。フォーブス誌の格付では、ウルグアイ(66位)、ザンビア(85位)、ウガンダ(100位)といった国々よりも、ロシアのビジネス環境は悪いということになるが、これについては、論外もいいところである。
フォーブス誌によると、ランキングは、GDPや失業率等といったマクロ経済指標に左右されない。同誌の専門家は、個人、並びに、企業の自由度で各国を評価した。選定の主要な基準となったのは、選挙の民主性、人権、表現の自由、株主間紛争が発生した場合の少数株主を保護する法律の整備度である。調査の結果、1位となったのは、昨年と同様、デンマークであった。2位にはアメリカ、3位にはカナダが入った。
このランキングを作成しているのはアメリカ人である。従って、どれだけ、このランキングが本当の実情を反映しているのだろうかという疑問がわいてくる。ビジネス環境という観点から見たロシアは、果たして、それほどひどいのだろうか。また、投資家にしても、マクロ経済やその他金融指標より、上記のような基準を重視するものだろうか。
投資会社OtkrytieのチーフエコノミストであるLevchenko氏は、フォーブス誌のランキングについて、「当然のことながら、その格付方法には、議論の余地が大いにある。」とコメントしている。その上で、同氏は、「しかし、完全に公平な方法を策定するのは難しい。どちらにせよ、ランキングは、専門的な手法によって評価されたものである。従って、何らかを反映しているものではある。実際、投資家は、社会制度の発展状況やどれほど株主の権利が保護されるのかといった法律の機能も見ている。こうした面で、ロシアはまだ不十分である。ランキングで上位に入ることは難しいだろう。しかし、これほど、低い評価になることもあり得ない。」と述べる。
Levchenko氏は、ランキングを策定する上で、大きく影響したのは対外政策であると考えている。同氏は、「昨夏以降、ロシアは、アメリカと対立してきた。当然、これは、主観的要素として、影響しただろう。」と述べる。また、Levchenko氏は、ロシアのランキングがCIS諸国以下であることに驚きを隠していない。同氏は、「例えば、ウクライナのマクロ経済は、大きな問題を抱えており(デフォルト寸前の状況である)、為替統制も敷かれている。アメリカの経済誌がウクライナを高く評価したのは、政治的理由からのみである。ウクライナには、法基盤も、ビジネス環境としての魅力もない。」と述べる。また、フォーブス誌は、グルジアにもロシアより高い評価を与えたが、これは、地政学的な理由からである。
ロシアINGBankのチーフアナリストであるPonomarenko氏も、経済的観点から見て、ウクライナの情勢は、ロシアよりも低迷しており、リスクが高いと考えている。同氏は、「カザフスタンも同様だ。それに、バルト海沿岸諸国も、理想的というにはほど遠い。CIS諸国の中で見るならば、実際のところは、ロシアがもっとも良いのではないか。」と述べる。
Ponomarenko氏は、BRIC諸国については、実際に、ロシアは引けをとっていると考えている。同氏は、「ロシアは原油価格に左右されるところが大きい。この他、経済の下支えとなるような力強い国内需要にも欠けている。こうした点については、事実、他のBRIC諸国の方が優勢である。」と述べる。
専門家は、どちらにせよ、投資家としては、ランキングの類ではなく、客観的な指標に注目すべきだとしている。投資会社OtkrytieのチーフエコノミストであるLevchenko氏は、「国内情勢を絶えず見守っていくことが重要だ。こうしたビジネス環境ランキング等は、さしあたっての目印にはなるかもしれないが、主観が入っているため、それを頼りにして決断を下すことがあるとは思わない。」と述べる。Ponomarenko氏は、一国のビジネス環境の良さに対する投資家の評価がはっきり表れるのは、金融市場や主要経済指標、指数の動向であると考えている。その国がどれほど直接投資先として魅力的かは、国際収支(流入・流出)を見れば一目瞭然である。Ponomarenko氏は、「一国の実体を余すところなく反映するのは数字である。」と考えている。
FINAM
2009_03_24L
金融危機には"くさび"が必要
MDM-bankのVjyugin代表取締役は、ロシアは、すでに、外的ショック(主要な輸出品目の価格下落)、並びに、資本流入から流出への転換によって起こった金融危機の第1段階を克服したと考えている。11月から1月にかけて、ロシア企業は、人件費の圧縮を含む経費の削減によって、そうした外的ショックに順応してきた。また、1月から2月にかけては、金融危機第2弾の幕が上がり、借入による資金調達を推進してきた多くの企業が債務不履行の状態に追い詰められた。MDM-bankのVjyugin代表取締役によると、現在は、対内債務・対外債務の再構成が広く行われている。Vjyugin氏は、債務額がそれほど大変な規模ではないため、金融危機第2弾についても、ロシア企業は乗り越えることができるだろうと楽観的な見通しを示している。ロシアの対内債務はGDPの3分の1程度だが、アメリカのそれは、GDPの3.5倍に達している。
連邦金融市場局の局長を務めた経歴のあるVjyugin氏は、現在の段階で、政府が次のような対策を取ることを期待している。第1に、金融危機にはくさびが必要だ。つまり、企業が経済状況を見極めるためには、予測可能なルーブル相場、或いは、予測可能なインフレ率が欠かせない。第2には、インフレの抑制、失業者対策、戦略的防衛産業やインフラ関連企業に対する助成等の対策が必要である。
経済専門家グループの長であるGurvichは、政府が世界経済に対する金融危機の影響を余りに楽観的に評価していたことが弊害を招いたと考えている。政府は、外貨準備で持ちこたえられるかのように振る舞っていた。しかし、その結果、外貨準備を使ってもルーブルの切り下げは止められず、経済の急激な落ち込みを防ぐこともできなかった。金融アカデミーのEskindarov教授は、政府が対策の焦点に据えたのは、銀行セクターに対する支援であったと考えている。銀行セクターの状況は、まさに危機的なものであった。銀行間貸付の金利が20-22%になれば、企業に対する実際の貸出金利は年利45%になる。その上、1年以上の長期資金の出し手もなくなる。Eskindarov教授は、証券市場の自由化を打ち切って政府の役割を強化し、政府が、規制市場、及び、経済全体で大きな役割を果たすべきだと考えている。国民経済アカデミーのMay教授は、金融危機を大きな知的挑戦だと捉えている。金融危機は、経済が上げ潮だった時にはできなかった構造改革をもたらすだろう。全てが順調な時には、何も変える必要はない。May教授は、「政府には、契約による職業軍隊を設立する好機が到来している。今ならば、安くつくし、軍隊に志願する人も大勢いる。」と述べる。
最後に、2つの前向きな情勢についても触れておきたい。第1に、政府は決して無策ではない。財務省は、政府に、国家予算の修正案を提出した。3月19日に、内閣はそれを審議する。国家予算は、歳入の低下、並びに、金融危機対策としての歳出増加が見込まれるため、財政赤字は7%の水準となる。
第2に、2月の工業生産は、前月比2%伸びた。これについて、Trast-BankのエコノミストであるNadorshin氏は、食品や軽工業を中心とした季節的な消費需要の拡大によるものと考えている。同氏は、4-5月には、再び、工業生産は低下するだろうと予測しており、RTS指数がさらに下落する可能性もあるとしている。
経済情勢を評価し予測することは、非常に難しくなった。過去と現在については、議論も可能だが、将来のこととなると、見通しをつけることに臆さざるを得ない。話題は、すでに、金融危機がいつまで続くのかということにはない。1月後にはどうなるのかということさえも、不透明である。
FINAM
2009_03_19L
航空会社:統合再編が加速
世界中で、飛行機の利用客は減少している。2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ事件に端を発する航空業界の危機は、2005-2007年の間は、一応の安定を見ていたが、今になって、航空会社は、またもや新たな打撃を受けている。昨年の決算発表時期を迎え、そのことは、明確となっている。航空業界の決算は、希望を持つには程遠い内容となった。2008年上半期には、航空燃料の高値が業界の発展を妨げた。また、その後は、資金調達環境の悪化や債務の償却、並びに、金融危機によって、大手航空会社でさえも事態が危ぶまれる状況となった。
ロシアでは、航空会社の倒産は、業界の統合と小規模航空会社撤廃の方針を貫いている国家の利となる。連邦航空運輸局のデータによると、2000年時点で、ロシアには297社の航空会社があったが、2009年時点で残っているのは167社である。2008年だけで、航空会社8社が事業を撤退した。民間航空パートナー基金のSmirnov会長は、「今後も、特定の航空会社のみに対する公的支援の方針が続くとすると、2009年夏の旅行シーズンまでに、少なくとも、3分の1の航空会社がより規模の大きい航空会社に統合されるか、廃業するかして、なくなってしまうだろう。そして、大手航空会社がその座を占めるだろう。」と考えている。航空燃料供給会社のOstrovsky社長は、生き残ることが確実な航空会社のリストに入るのは、狭き門だと考えている。そこに入るのはアエロフロート・ロシア航空、トランスアエロ航空、UTエアー航空くらいである。同氏は、「破綻したAiRUnionの例からすると、旅客者は、大手航空会社に流れるだろう。」と述べる。
また、各航空会社の債権が債務不履行となっていることは、厳しい状況を裏付けている。KDaviaは、2008年11月以降、第1回社債が債務不履行の状態となり、デフォルトの総額は、9億8700万ルーブルとなった。この他、FINAMのアナリストであるRomanov氏によると、S7 Airlineでも債券のデフォルトが発生しており、債権者が破綻手続きを申請する模様である。しかし、現在の航空業界における企業の状況、及び、公的支援が検討されていることを勘案すると、恐らく、航空企業の負債は、再構成されるだろう。もっとも、債務負担の軽減を目的とした株式の追加発行が実施される可能性もあり、その場合、既存株主の利益は希薄化することになる。
Romanov氏は、2009年通期としてのロシアの旅客者数は、15-20%減少するだろうと予測している。しかし、アエロフロート・ロシア航空は、この影響をさほど受けずに済むだろう。1月の旅客データも、それを裏付けている。航空業界最大手のアエロフロート・ロシア航空の実績は、業種別平均より良い。その上で、アエロフロート・ロシア航空経営陣は、2008年配当を無配とする方針である。これは、燃料価格の高騰による純利益の減少が反映したものである。また、2009年には、旅客者数の減少、並びに、大規模投資計画のための資金調達を背景とした業績悪化が見込まれることも、無配の要因である。
コンサルティング会社2K Audit-Business consultingのKasyanov社長は、2009年最初の2ヶ月における旅客者数がおよそ40%減となったことを指摘している。同氏は、「ロシアの航空会社統合の流れは、今後も継続されるだろう。ロシア航空ホールディングの設立、及び、小・中規模航空会社が苦しい状況に置かれていることからすると、航空業界における統合は加速し、その結果、大手航空会社が航空市場におけるシェアを広げることになるだろう。これには、ある程度のプラス面もある。航空会社は、航空機拡充・刷新のための資金調達が容易になり、統合によって、運行航路の最適化を行うことができるだろう。しかし、競合企業がなくなれば、航空券の価格は、大きく上昇する可能性がある。」と考えている。
航空業界における危機は、航空機製造業には影響を及ぼしていない。民間航空パートナー基金のSmirnov会長は、以前の航空機製造台数が年間に100機だったとすると、現在、製造できるのは、8-10機程度だと指摘する。同氏は、「現在、多額の資金がヴォロネジ、ウリヤノフスク、カザンにおける各工場の近代化、及び、人材の養成に投下されている。航空業界の危機によって、こうした近代化のプロセスが阻害されることはないだろう。しかし、国民の支払い能力低下、並びに、航空燃料の価格上昇による航空会社の破綻を背景に、旅客者数は減少するだろう。」と考えている。
ロシア以外の航空会社の状況も、厳しい。BBCの報道によると、多くの国際航空会社が、2008年に、莫大な損失、或いは、収益減を計上している。アメリカのキャセイパシフィック航空会社は、2008年に11億ドルの損失を計上した。また、アイルランド国営のエアリンガス航空会社は、1億3600万ドルの損失を出した(2007年は、1億3300万ドルの黒字)。ドイツのルフトハンザ航空は、純利益が3分の1に低下した(2007年は21億ドルの黒字であったが、2008年は7億5800万ドルに低下した)。
金融危機以前の業績を含む2008年の決算がこうだとすると、多くの航空会社にとって、2009年の決算は破滅的なものとなるだろう。航空業界での存続が確かなのは、公的支援を受けることのできる大手企業のみである。
FINAM
2009_03_16L
メドベージェフ大統領:デフォルト発生の可能性を否定
ロシアでは、全省庁が一体となって対策に取り組んでおり、政治的な弊害もないことから、デフォルトを回避できることは間違いない。3月13日、メドベージェフ大統領は、有識者会議の場でこのように発言した。
メドベージェフ大統領は、「ここ最近のロシアでは、政治的問題はほぼ皆無である。金融危機を乗り切るにあたり、多事多難であることからすると、こうした状況にあることは、有利であるといって良いだろう。政治的問題を抱えて、金融危機を克服しなければならない国は、デフォルトに陥る可能性が高い。例えば、隣国では、ただでさえ、大変なところに、季節的な政治問題も浮上しており、国内の紛糾が絶えない。」と述べた。
また、同大統領は、ロシアの政治家は、国家として困難な時期に、自らが負うべき責任を自覚していると言及した。
メドベージェフ大統領は、「全省庁が一体となって対策に取り組むことで、我々は、国家として厳しい時期を最小の負担で乗り越えることができるだろう。」と表明した。
同大統領は、各国にとって、金融危機は混迷の時期であり、ロシアもその例外ではないとした。また、それに加えて、今後の見通しを予測することは、誰であっても不可能との認識を示した。
メドベージェフ大統領は、「どちらにせよ、こうした状況で手をこまねいていてはいけない。合意した行動方針に基づいた行動を取り、その上で、一貫した金融危機対策を取っていく必要がある。」と述べた。
また、同大統領は、現在、政府が、大統領の指示によって、一般の国民にも明快で分かりやすい金融危機対策計画を策定中であることに触れた。
イタルタス通信によると、メドベージェフ大統領は、「間もなく、金融危機対策に関する文書が策定され、それと共に、国家予算にも修正案が盛り込まれる見通しだ。」と述べた。
Vesti.ru
ロシアとアメリカ:関係修復なるか?
主要20カ国・地域(G20)金融サミットを翌日に控えた4月1日、メドベージェフ露大統領は、ロンドンで、オバマ米大統領と初めて会見する。これは、3月10日、アメリカの対露政策検討委員会代表団と会談したメドベージェフ大統領が伝えたものである。両国の大統領は、大量破壊兵器の不拡散、並びに、テロとの戦い、金融危機について協議することになるだろう。メドベージェフ大統領は、オバマ政権が発しているシグナルについて、ポジティブに受け止めていることを強調した。また、メドベージェフ大統領は、数年間、ロシアとアメリカの関係は停滞していたが、今になって、ようやく、両国の協力関係に新たな歴史の1ページを開く可能性が出てきたと述べた。新たなページでは、どんなことが、両国を待ち受けているだろうか。両国の関係に、新機軸は打ち立てられるだろうか。また、両国の接近が期待できる分野はどこだろうか。一方、原則的立場を守ることが見込まれる分野はどこだろうか。
実際、オバマ大統領が政権の座に就いたことで、ロシアとアメリカの関係には、新たな動きが出てきている。アメリカ政府は、両国の関係修復が始動し、2009年末までに実施すべき、既存のSTART1に代わる新たな戦略兵器削減条約の締結に向けた準備に取り組むことを宣言している。また、アメリカの東欧ミサイル防衛システムの配備計画が凍結される可能性も示唆されている。これらは、最近になって出てきたアメリカ側からの耳触りの良い言葉である。ロシア政治情勢研究センターの対外政策専門家であるVoyko氏は、「ロシア側も、アメリカからのアプローチに対して、ある程度の反応を示している。ロシア側としては、特に、東欧ミサイル防衛システム配備計画が凍結されれば、カリーニングラード州へのミサイルシステム"イスカンデル"配置を取り止める意向を伝えた。この他、メドベージェフ大統領は、アフガニスタンにおけるイスラム過激派との戦いについては、最大限、アメリカに協力していく意志を表明している。」と述べる。
しかし、Voyko氏は、東欧ミサイル防衛システム配備の問題については、両国が合意に至るまでには、時間を要するものと考えている。同氏は、「アメリカは、種々の情報を投げかけてはいるが、まだ、具体的な決定はなされていない。オバマ政権がミサイル防衛システム配備を凍結するのかどうかは、今に至るまで、判然としていない。また、アメリカは、ロシアが、イランとの関係を見直すよう迫っている。しかし、中期的には、ロシアがイランとの関係見直しに動くことはないだろう。」と考えている。先週金曜日に行われたラヴロフ露外相とクリントン米国務長官の会談では、イランに関することが主要議題の1つとなった。ラヴロフ外相は、イランを含む外国への兵器輸出について、ロシアは国際規制を遵守しており、イランとの協力関係でも、アメリカとイスラエルの関係を勘案していると強調した。
また、多くの政治学者は、経済面での協力について、ロシアもアメリカも、金融危機の影響を受けているため、対立するよりは協力した方が双方の利であると考えている。コミュニケーション技術研究センターPROPAGANDAの政治学者であるSapronov氏は、目前に迫った会見で、両国の大統領は、既存機関(世界銀行・IMF)の有効利用、並びに、新たな機関の設立、また、2国間、或いは、多国間(EUを交えた)での協議を通じた課題の掌握といった問題が話し合われることになるだろうと考えている。
しかし、一方で、専門家は、両国大統領の初顔合わせという出来事を過大評価しない方が良いとしている。Voyko氏は、「オバマ大統領も、メドベージェフ大統領も、前任者とは対照的に、融和的な態度を示す必要がある。しかし、今度の会見から、何らかの大きな合意が得られることはないだろう。会談は、G20金融サミットの枠内で行われるため、簡単なものになることが見込まれる。従って、両国首脳が個人的な面識を得て、可能であれば、今後の関係構築にあたっての全体像を明らかにするといった限定的な会見になるだろう。」と述べる。
PROPAGANDAのSapronov氏は、変化が期待できるのは、表面的な協力体制のみだと考えている。同氏は、「ブッシュ元大統領が固執した自己中心的な体制と比較すれば、両国の関係は、風通しが良くなり、建前としては、より友好的なものになるかもしれない。」と述べる。しかし、その上で、同氏は、表面的な協力体制に嬉々としていられるのは、はっきりと白黒をつけることが迫られるような最初の対立が起きるまでだと警告している。
FINAM
2009_03_11L
対米債権国、ロシア5位
ロシアは対米への投資を3.5倍以上増加させ、08年末時点の保有残高は1160億ドル、アメリカにとって第5位の債権国となった。多くの専門家は、ロシア中央銀行が下半期全般にわたってサブプライム問題の余波を受けた債券から資金を引き上げ、対米への投資を大幅に活発化させたと見ている。今年はリスクの低い債券への需要は減速すると見られる。政府は「冷凍保管しておいた」資金を、歳出支援のために使い始めるであろう。
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アメリカの債権国 | ||||
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国・地域名 |
08年末 (10億ドル) |
07年末 (10億ドル) |
変化率(%) |
|
1 |
中国 |
727.4 |
477.6 |
52,30 |
|
2 |
日本 |
626.0 |
579.9 |
7,95 |
|
3 |
イギリス |
130.9 |
157.9 |
-17,10 |
|
4 |
ブラジル |
127.0 |
129.9 |
-2,23 |
|
5 |
ロシア |
116.4 |
32.7 |
255,96 |
|
6 |
ルクセンブルグ |
97.4 |
69.0 |
41,16 |
|
7 |
香港 |
77.2 |
51.1 |
51,08 |
|
8 |
台湾 |
71.8 |
38.2 |
87,96 |
|
9 |
スイス |
62.3 |
38.9 |
60,15 |
|
10 |
ドイツ |
56.1 |
41.3 |
35,84 |
複数のアナリストは、ロシアの対米への投資はやむにやまれぬものであったと考えている。投資銀行「トラスト」のエフゲニー・ナドルシン主席アナリストによると、年末にかけてロシア中央銀行は、いつ何時でもルーブルを買い支えることができるように、流動性の高い金融商品に乗り換えなければならなかった。そのため、同氏は、中央銀行がファニーメイとフレディマックから引き上げた資金を、もっとも流動性が高く、信頼のおける米国債に投資したと見ている。1年前には、中央銀行が、不動産市場の暴落の影響を受けたファニーメイ、フレディマック及び連邦住宅貸付銀行の債券に対して1000億ドル以上の投資を行っていると伝えられていたが、中央銀行は09年はじめまでにこれらの債券を売却している。
ウォーレン・バフェット氏は自社株主向け年次書簡の中で、米国経済悪化が予想される状況における米国債の購入に疑問を呈している。バフェット氏によると、米国債の利回りはほぼゼロに近い。ワシントンからとぎれることなく注入される資金により、米国ではインフレが引き起こされる可能性もある。そうなれば、有価証券への投資から得られる固定利率で稼いでいる投資家は痛手を受けることになる。
専門家はロシアが対米への投資を継続すると見ている。アバンコ・キャピタルのアルチョーム・コロソフスキー分析員もシャリポヴァ氏同様、「昨今の出来事とその結果にも関わらず、ロシアはアメリカ経済(特に国債)に対する投資を継続している」と述べた上で、「米国債に対する国際需要は短期的には維持されるか、もしくは高まるであろう。」としている。
RBC Daily紙
ロシアの住宅ローン事情
ドヴォルコビチ大統領補佐官は、住宅ローンの金利について、15%以下であるべきであり、そうでなければ、住宅ローンの魅力はなくなり、国民の関心も低下するだろうとの認識を示した。現在、住宅ローン市場の3分の2は、ズベルバンク、VTB24といった国営銀行によって統括されている。従って、政府は金利に影響することが可能である。中央銀行のデータによると、現在、およそ80万世帯が総額1兆500億ルーブルの住宅ローンを借りており、平均すると、後16年の返済期間が残っている。
住宅ローン貸付は、2008年第4四半期に大きく落ち込み、銀行の金利も大幅に上昇した。MIEL投資開発会社のShlenov社長は、現在、住宅ローン金利の差は14-30%と大きく開いていると述べる。金融危機直後以降、最低貸付金利は3.5%、最大貸付金利は15%上昇した(ルーブル建て貸付)。2月に入り、金利の上昇傾向には歯止めがかかったが、最低頭金は30%に増加した。
住宅抵当融資公社の監督機関代表でもあるドヴォルコビチ大統領補佐官は、リア・ノーヴォスチ通信社の記者会見で、住宅セクターの景気後退は、経済全体よりも深刻であると述べた。同氏によると、深刻な不況は、後3-4ヶ月程は続く見通しである。従って、個別セクターで好転の兆しが見られるのは、今年の下半期以降となるだろう。ドヴォルコビチ大統領補佐官は、「今年、重要なのは、社会的弱者を支援し、住宅需要を創出することである。」としている。この他、住宅建設、及び、住宅ローン貸付の停滞によっては、国策である「取得可能な住宅」が行き詰まる恐れがある。
また、政府は、住宅をローンで取得したものの、解雇されてしまい、厳しい状況に置かれている多くの人を支援しなければならない。このため、住宅抵当融資公社の関係機関として、住宅抵当融資再構成機関が設立された。同機関は、苦しい生活環境にある債務者を支援するとした政府の決定に基づいて、2008年12月に設立された。支援の対象となるのは、失職していて、所有する住宅が唯一の生活の場であり、支払条件緩和のための資産がない本当に支援が必要な人のみである。支援は、緊急貸出という形で実施されている。債務者に供与された資金は、必ず返還されることになっている。つまり、実質的な支援の中身は、優遇債務者の支払能力回復を見込んだ12ヶ月の優遇貸出である。また、住宅抵当融資再構成機関は、優遇期間以降、債務者の支払総額は平均で10-15%増加すると注意喚起している。
政府は、住宅抵当融資再構成機関に対して、優遇貸出のために50億ルーブルを拠出した。しかし、恐らく、これでは、間に合わないだろう。現在まで、1-2月に申請のあった1500件のうち、数百件の住宅ローンが組みなおされた。しかし、どちらにせよ、政府がただで支援を行うことはないだろう。ドヴォルコビチ大統領補佐官は、「金融危機は、単に支払いを避けたいからといって、借金を踏み倒すための理由にはならない。」と述べている。
支払ができず、住宅抵当融資再構成機関による猶予期間も活用できなかった場合、住宅の所有権は銀行に移る。債務者には、公共賃貸住宅への譲渡プログラムが提案される。また、後で資金ができた場合には、買戻すことも可能である。住宅抵当融資再構成機関のSemenyak代表取締役は、「住宅抵当融資再構成機関が実施する住宅ローンの組みなおしは、債務者のみならず、銀行に対する支援策となる。債務者は、職探しや支払能力の回復、また、住宅を維持する機会を得る。一方、銀行側には、流動性が供給される。」と述べる。
政府は、すでに、銀行に対する支援を実施してきた。今後は、債務者の支援にあたっていくことが必要である。現在、ロシアの住宅ローンは、高級住宅を購入する際の限られた方法に過ぎない。しかし、特に、地方においては、住宅を所有することが、家族を持ち、子どもを育てるための絶対条件となっていることが多い。住宅ローンの利用促進を図ることは、ロシアに長期的利益をもたらすだろう。
FINAM
2009_03_05L
ロシアの近隣諸国に対する資金援助
この数ヶ月間で、ロシアは、すでに、多額の貸付を提供している。援助を求めてきたキューバには、供与資金でロシア製品を購入にすることを条件に20億ドルの資金を提供した。また、昨年末には、ベラルーシに20億ドル相当の融資を提供している。今年2月にはキルギス共和国(20億ドル)、3月にはアルメニア共和国(5億ドル)がロシアから融資を受けた。この他、ユーラシア経済共同体の参加国は、100億ドル規模の金融危機対策ファンドを設立しており、ロシアは75億ドル、カザフスタンが10億ドルを同ファンドに拠出することになっている。
ロシア科学アカデミー経済研究所グローバリゼーション研究センターのUshkalova研究員は、ロシアが地域大国としてのステータス維持を目指しているとすると、そのためには、友好国が必要であり、融資供与も必然であると考えている。しかし、資金ではなく、物品の供与によって、自国産業を促進し、国益に叶うようにすることも可能である。ロシアの産業製品が販売される市場は、従来からのCIS諸国市場に限られている。
人文科学・政治国際研究所のIgrunov所長は、通信社リア・ノーヴォスチの会見で、近隣諸国に対して融資を供与することはロシアにとって有利であると明言した。同氏によると、アングロサクソン諸国は、自国産品からより多くの利益を得ている。これは、第1に、アングロサクソン諸国が高度な技術を有しているためであるが、経済界で理想的な環境を得るため、政治的影響力を利用できることも関係している。Igrunov所長は、「ロシアは、世界の大国として振る舞わなければならない。近隣諸国の情勢は、ロシアの安全保障に著しい影響を及ぼす。金融危機の時代とはいえ、旧ソ連地域における覇権争いは繰り広げられており、ロシアは、EU、アメリカ、中国と競り合っている。」と述べる。
しかし、全ての政府高官がそれを認識しているわけではない。モスクワ大学の旧ソ連地域情報分析センターのVlasovセンター長は、現代ロシアの政治家には、長期事業を犠牲にして、短期事業のみに投資するといった90年代型のビジネス思考が残っていると考えている。Vlasov氏は、CIS諸国への大学建設に、より多くの資金を振り向け、また、ロシア国内の高等教育機関における教育にも資金を充当すべきだとしている。同氏は、そうしなければ、10年後には、CIS諸国の政治家は、皆、英語を使うようになるだろうと警告している。
ロシアは、借款を申し出た全ての国に対して、融資を供与したわけではない。ウクライナは、融資を要請したが、徒労に終わった。2009年1月末、ウクライナのティモシェンコ首相は、50億ドル相当の融資供与を要請したが、ロシア側は、それを断った。クドリン財務相は、3月2日に開催された投資フォーラムで、そもそも、ウクライナでは、ロシアからの融資が必要であるか否かということについて、大統領と政府とのコンセンサスが図られていなかったため、ウクライナへの融資供与は、検討すらされなかったと非公式的に言及した。また、同財務相は、その他の近隣諸国に対する支援は実施していると述べた。この他、クドリン財務相は、融資が必要な国は、まずIMFに要請すべきだと付言している。
最近、IMFは、発展途上国の金融システム安定化のために、金融危機対策として、短期融資の拡大に尽力している。IMFの融資条件緩和については、その他のテーマと共に、4月にロンドンで開催される主要20カ国の財務相・中央銀行総裁会議(G20)で検討されるだろう。全ロシア世論調査センターの調査によると、ロシア人の47%は、旧ソ連諸国への融資について、返還されないだろうと考えている。また、被験者の49%は、政府に対して、金融危機時は、他国を支援するよりも、自国経済に資金を投下してほしいと考えている。
緊縮財政下で、近隣諸国に対する融資に消極的になるのは当然である。しかし、比較対照してみるべきである。2008年8月時点でロシアが保有していた6000億ドル規模の外貨準備のうち、すでに、ルーブル相場の安定化、及び、銀行への公的支援投入のために2550億ドルが使われた。一方、友好国に対する資金援助は、外貨準備の2%に過ぎない。また、この資金は、目に見えない銀行システムに流れるのではなく、自国産業の受注につながる。決して、骨折り損のくたびれ儲けということにはならないだろう。
FINAM
2009_03_04L
クドリン財務相の談話:ロシア経済の見通し
政府高官、ビジネスマン、投資家を交えたロシア経済の見通しに関する意見交換は、途切れることなく行われている。3月2日、モスクワで開催された国際金融フォーラム「Global Investment and Finance Forum」では、金融危機対策を主題とした活発な議論が展開された。
クドリン財務相の口からは、もっとも過激な発言が飛び出した。同財務相は、ロシアの経済成長に有利な情勢が回帰するのは、大分先になるということを念頭に置いて、それに備えることが必要だと述べた。また、クドリン財務相は、「今後5-10年、或いは20年、もしかすると50年程は、近年みられたような原油価格、並びに、原油価格上昇といった状況を見込むことはできないかもしれない。」と発言。そして、こうした情勢では、急速なルーブル高、及び、外貨準備の積立は難しいだろうと言及した。
ロシア中央銀行の副総裁を務めたVTBCapitalのDubnin理事も、長期に渡って、ロシア経済には厳しい状況が続くとの見解に同意している。同氏は、欧米諸国の経済が低迷していることから、ロシアの資源に対する外需が回復するまでには時間が必要だと述べる。同氏によると、もっとも現実的なシナリオは、今後2-3年、アメリカ・EUがゼロ成長となることを前提としたものである。
厳しい状況ではあるが、なお、クドリン財務相は、ロシアがアメリカと平行して景気の後退から抜け出せると期待をかけている。アメリカFRBのバーナンキ議長が発表した最新の予測では、アメリカは2009年末には景気後退を脱する可能性があるが、経済が立ち直るには2-3年はかかるとの見通しが示された。また、現在のマクロ経済状況を基にした財務省の試算では、1年後の2010年には、ロシアの経済成長率は3%に回復することが見込まれている(政府予測によると、2009年におけるロシアのGDPは2.2%縮小する見通し)。さらに、クドリン財務相は、金融危機から脱却できる時期は、民間需要が拡大し始める頃になるだろうと述べた。
クドリン財務相は、金融危機対策においては、第1に、国内需要の喚起が重要であり、ロシア政府は、それに取り組んでいるとしている。同財務相は、「世界でも、ロシアは、もっとも積極的な需要喚起策を取っている(税金面)。」と考えている。ロシアは、すでに、租税・関税に関連した危機対策に1兆ルーブル以上を投下している。もっとも、追加的な税制優遇措置を取ることは、財源不足のため、難しいだろう。
下院の民事・刑事・仲裁・訴訟手続きに関する法策定委員会のGruziev第1副委員長は、現在、企業に対する税制の緩和は非常に重要だと考えている。その対象としてまず挙げられるのは、付加価値税である。同氏は、「付加価値税の税率を一律で10-12%の範囲に設定すれば、すでに賃金や税金の支払滞納がある企業にとっては、大きな支援となるだろう。税金の引き下げを実施すれば、こうした企業には、苦境を脱する可能性が出てくる。従って、金融危機下にあって、減税に関する法的措置を実施することをためらうことはない。」と述べる。
企業に対する支援策としては、国家の資本参加という別の手段も取られている。しかし、こうした方策について、クドリン財務相は、非常に慎重でなければならないとの見解を示している。同財務相によると、政府は、軍産複合体への資本参加の他に、必要があれば、大手銀行における国家の持分を増加する可能性がある。しかし、クドリン財務相は、金融危機の克服状況に応じて(3年後以降)、政府は、銀行を含むロシア企業における資本参加の割合を縮小すると明言している。
需要喚起、及び、企業支援といった金融危機対策がどうあるべきかといった対策の中身に関する議論は尽きない。しかし、内容がどうあれ、それを実現する上で、政府が予算のバランスと財政赤字の可能な範囲を忘れることはない。3月2日、クドリン財務相が述べたところによると、2009年に許容範囲とされる財政赤字は、GDPの8%相当である。また、インフレ率は13-14%となる見通しである。クドリン財務相は、赤字予算の幅がさらに拡大すれば、さらなるインフレ率の上昇を招く可能性がある。また、同財務相によると、2009年以降の2年間については、財政赤字の縮小が予定されており、2010年にはGDPの5%まで、2011年にはGDPの3%までとなる見通しである。
ロシア中央銀行の副総裁を務めたVTBCapitalのDubnin理事は、2009年の赤字予算に関する政府予測を妥当だと考えている。もっとも、国際収支の大幅な赤字なくして、金融危機を克服できるかどうかは、また別の問題である。Dubnin氏は、国内市場を発展させることは、もちろん必要であるが、完全に輸入を転換することは望めないと考えている。同氏は、「一連の食料品や医薬品は、代替のきかない輸入製品である。従って、短期的には、国際収支の安定化は難しいだろう。ロシアは、双子の黒字の国から、貿易赤字・財政赤字という双子の赤字の国になるだろう。」と考えている。
FINAM
2009_03_03L
金融危機:ロシアの金融・経済担当閣僚の支持率は?
もっとも人気のあるロシア閣僚は、以前同様、民間防衛問題・非常事態・自然災害復旧省のセルゲイ・ショイグ大臣だった。全国世論調査のデータによると、被験者の76%がショイグ大臣の功績を認めている。また、そのうち、60%の人は、他の大臣と比較して、ショイグ非常事態相は職責を全うしていると考えている。
次いで、2位に入ったのは、セルゲイ・ラヴロフ外相である(支持率58%)。また、3位にはセルゲイ・イヴァノフ副首相が入った(支持率49%)。一方、アレクセイ・クドリン財務大臣を支持した人は28%で、上記閣僚からは、大きく差をあけられた格好だ。もっとも、社会研究所によると、この値は前年を2%下回るに過ぎない。今回、支持率が上昇したのは、ラヴロフ外務大臣(50%から58%に上昇)とタチヤナ・ゴリコヴァ保険・社会発展相(31%から33%に上昇)のわずか2人であった。頻繁にメディアで取り上げられ、発言が評価されていることが影響したと考えられる。
ラヴロフ外務大臣とゴリコヴァ保険・社会発展相以外の閣僚は、皆、支持率を落とした。アレクセイ・ゴルデーエフ農業相は28%から20%、アレクサンドル・ジュコフ副首相は31%から25%、セルゲイ・イワノフ副首相は67%から49%、イーゴリ・レヴィチン運輸相は21%から16%、ユーリ・トルトネフ天然資源・環境相は14%から10%、ヴィクトル・フリステンコ産業・貿易相は23%から17%、アナトーリー・セルジュコフ国防相は29%から25%という結果である。
今回始めて評価された新たな閣僚の支持率は以下のとおりである。ヴィクトル・ズブコフ副首相が42%。エルヴィラ・ナビウリナ経済発展相が23%。ドミトリー・コザク副首相が26%。セルゲイ・シマトコエネルギー相が16%。イーゴリ・セチン副首相が11%。セルゲイ・ソビャニン副首相が16%。イーゴリ・シュヴァロフ第1副首相が16%。
こうした結果からすると、ショイグ非常事態相は、以前同様、明らかに全国民的な人気を博している。モスクワ大学社会研究センターのコーディネーターであり、専門ポータルサイトを立ち上げているTyurenkov氏は、ショイグ非常事態相の支持率がもっとも高いことについて、一連の理由があると述べる。第1に、ショイグ大臣は、1991年に、国家非常事態委員会(1994年に省庁となる)の議長に就任し、それ以来18年の長きに渡って、唯一、同部門のトップを務めてきた人物である。また、実質的に、政府機関の役割が1つとして社会的支持を得なかった苦難の90年代にあって、非常事態省は、国民の支持を得たばかりか、唯一の有効な政府機関となっていた。そして、緊急事態が発生した際、モスクワのオフィスにこもっていないで、常に、できる限り、現場で立ち働いた若いショイグ大臣の勇敢な姿は、国民を引き付けずにはいなかった。
また、Tyurenkov氏は、ショイグ非常事態相がすでに15年程前から得ている国民の支持は、政治的なものではないと指摘する。ショイグ非常事態相は、能力のある政府高官というよりは、掛け替えのない国民を守る英雄として受け止められている。
クドリン財務大臣の場合は、これとは違う。英紙から、ヨーロッパ新興国中、最高の財務大臣と評されたクドリン財務大臣は、2006年秋の段階では、10年間でアメリカ・ドイツ・フランスに匹敵するロシア経済を構築することを考えていた。メドベージェフ大統領が大統領に就任していこう、クドリン財務大臣の権限は増したという見解が示されている。クドリン財務大臣には、プーチン元大統領との長年の親交がある他、副首相の中で、唯一、貧困と不幸の万能薬(クドリン財務大臣の言葉)である8000億ルーブル相当の閣僚ポートフォリオがあった。
現在、多くの人は、クドリン財務大臣の職務とロシアの全ての社会経済問題を関連付けている。Tyurenkov氏は、こうした状況で、クドリン財務大臣の支持率が28%というのは、十分に高い数値であると考えられる。ロシア科学アカデミー社会研究所指導者研究センターのセンター長であるKryshtanovskaya氏は、クドリン財務大臣に対する国民の認識が多様であることを指摘している。同氏は、「左派の人々は、常に、クドリン財務大臣をあまりに自由主義的と考えているが、右派の人々は、あまりに厳しいと考えている。現在、クドリン財務大臣は、もっとも批判の的となっている大臣である。しかし、多くの人々は、クドリン財務大臣が創設を唱えた安定化基金がなかったら、大変な事態になっていたということを理解している。」と述べる。
クドリン財務大臣は、すでに、ロシアの金融を9年間率いている。Kryshtanovskaya氏は、クドリン財務大臣の人物増について、不人気を意図的に演出しているのではないかと述べる。また、同氏は、誰が財務大臣のポストに就いたとしても、時間の経過と共に、同様のイメージが定着するだろうと考えている。
FINAM
2009_03_02L
債券:毒入りパイの中でも美味しい一切れ
1月はユーロ債市場が堅調な回復を示した。JPモルガンの計算によるロシア債券のEMBIロシア指数は、1ヶ月で6%上昇した。昨年秋の最低水準からだと、上昇幅はおよそ20%にもなる(発展途上国の多くで、同様の状況が見受けられる)。これについて、専門家は、ロシア資産に対する外国人投資家の関心が盛り返してきた1つの兆しであると、控えめに評している。間もなく、ルーブル債券市場に対する関心も高まるだろう。デフォルト発生の可能性が懸念されているために、ルーブル債権市場では優良発行体の債権であっても償還利回りが異常な水準、年率30%以上で取引されている。ルーブルの切り下げ終結は、こうした債券取得のシグナルになり得るだろう。
RBC週刊誌3月号