ロシア経済トピックス: 2010年2月
【経済トピックス】新たなウクライナ:ロシアとの関係は?
ウクライナ大統領に就任したヴィクトル・ヤヌコビッチ氏は、一国のリーダーとして活動を開始した。しかし、ウクライナの対外政策が親EU・親露のどちらに転ぶのかは分からない。
ヤヌコビッチ氏が大統領として最初に訪問するのはブリュッセルとなることが分かった。ブリュッセルでは、EU代表と会見する。EU加盟国の首脳は、このニュースに対していち早く反応している。キャサリン・アシュトンEU外務・安全保障政策担当上級代表は、ウクライナとの関係を強化・発展する意向を述べた。また、ポーランドのシコルスキ外相は、EU加盟国に対して、ウクライナに対するビザ免除を提案した。
しかし、ヤヌコビッチ氏は、ロシアに対する礼儀も欠かしてはいない。同氏は、ガスプロムに対して、EUにロシア産ガスを供給するためのロシア・ウクライナガスコンソーシアム設立に関する協議の再開を提案している。ガスプロムのメドベージェフ副社長は、「当初、ガスコンソーシアムが創設されたが、ユーシェンコ大統領の体制下で、この事業は頓挫してしまった。しかし、我々は、ヤヌコビッチ氏がこの課題に再び着手したいと考えていることを表明したという情報を得ている。この事業に関する提案がどのような形でなされるか推移を見守りたい。」と述べている。また、メドベージェフ副社長は、「どちらにせよ、サウス・ストリームとノース・ストリームの建設は継続する。ガス輸出経路を多角化するための代替案は他にないからである。」とも言及している。ヤヌコビッチ氏は、選挙戦の最中、再三に渡って、ウクライナを迂回したガス輸送パイプラインの建設に対する懸念を表明した他、このパイプライン事業へ参加することも計画していた。
NettraiderのアナリストであるZvarich氏は、コンソーシアムを設立するという案を高く評価している。同氏は、「ノース・ストリームとサウス・ストリームの建設期間中、ガスプロムは、欧州へのガス供給を途切れさせないために、ウクライナ経由での供給を行う必要がある。このためには、コンソーシアムを設立することが最良の選択肢の1つである。」と述べる。
Zvarich氏は、コンソーシアムを設立することで、ウクライナとしては、ロシア産ガスの割引を期待することもできるし、ガスプロムに対してトランジット料金の引き上げを求めることもできると述べる。ガスプロム側のメリットも明らかである。ガスプロムは、以前から、欧州では2番目で世界でも最大規模であるウクライナのガス輸送システムをコントロールしたいと考えてきた。ウクライナ・ガス輸送システムの総延長は3万7600kmにも及ぶ。ロシアから欧州各国に供給されるガスの約80%は、このシステムを通じて輸送されている。
投資会社UniverのアナリストであるAleksandrov氏は、ロシアとウクライナのコンソーシアムに欧州の企業も招致される可能性があると考えている。ただ、ウクライナのガス輸送システムをEUと共同で管理するという考えがガスプロムになじむかどうかは大きな問題である。しかし、ウクライナ・ガス輸送システムの法的地位やコンソーシアムの参加者が明らかになっていない段階で、こうしたことを議論しても仕方がない。もっとも、ウクライナが国益のためにEUともロシアとも協力していくことは十分に考えられる。
FINAM
2010_02_25L
【経済トピックス】ロシアの対外政策
NATOの代表者は、2月17日に、ロシアのセルジュコフ国防相とアブハジア共和国のキシマリヤ国防相が調印したアブハジア共和国内のロシア軍基地配備に関する協定を非難している。この協定によって、今後49年間にわたり、アブハジア共和国の黒海沿岸にある都市グダウタにロシアの基地が常駐することになる。
NATOのロメロ報道官の発言を基に、ドイチェ・ヴェレ(Deutsche Welle)は、NATOがこの協定を違法だと考えていると報じている。また、ロメロ報道官は、NATOとしては、ロシアに対して、カフカース地方の共和国(アブハジア・南オセチア)領内にロシア軍を置かないことを規定した2008年の協定を遵守することを求めると述べている。ロシア政治情勢研究所の専門家であるVoyko氏は、「NATOの反応は当然である。NATO加盟国で、南オセチアとアブハジアの独立を認めている国はない。従って、南オセチアやアブハジアと交友関係を持つことは、NATO加盟国からすると、グルジアの主権を侵す行為なのである。一方、ロシア側は、2008年に取った立場を守ろうとしている。」と説明する。
昨年末には、NATOのラスムーセン新事務総長がモスクワを公式的に訪問した。同事務総長とロシア首脳陣のやり取りは、決して非友好的なものではなかった。ラスムーセン事務局長は、ロシアとの関係強化がNATOの優先課題であるとし、「私は、NATOの優先課題の1つがロシアとの関係強化であることを確認したい。NATOとロシアの関係が、相互の信頼に基づいたものになるよう、全力を尽くす。」と強調した。
先日、ロシアの新たな軍事ドクトリンについてコメントしたロシア安全保障会議のパトルーシェフ議長は、兼ねてより、この軍事ドクトリンは、NATOとNATOの東方拡大に対抗するものであると述べていた。同議長は、「NATOは、ロシアにとって相当な脅威である。」と指摘する。では、ラスムーセンNATO事務局長が述べた相互の信頼に基づく関係の構築はパフォーマンスだったのだろうか。
ロシア政治情勢研究所のVoyko氏は、ロシアのNATO加盟国との関係構築における障害として残っているのは、やはり、アブハジアと南オセチアの独立とNATOの東方拡大だと指摘する。同氏は、「これは、構造的な対立で、その解決は現在のところ先送りされている。実際、それを解決するための政治的意思はない。しかし、一方では、麻薬の密輸や国際テロ等、双方が共同で取り組むべき共通の問題もある。」と述べる。
モスクワ国際関係大学国際問題研究所のPetrov研究員は、現段階で、ロシアとNATOの友好を話題にするのは時期尚早だとしている。同氏は、「アフガン問題における利害の一致という点だが、NATOにとって、アフガン戦争は、2008年8月の南オセチア紛争以降に発生した重要性のはるかに高い問題である。従って、ロシアとしては、NATOに対して提案できることがある。」と述べる。
[米ロ関係の再起動は先送り]
ロシアとNATOの関係と同様の問題がロシアとアメリカの関係にもある。関係の再起動が宣言されたものの、戦略兵器削減条約(START)の継承条約は、まだ締結されていない。この条約は、2009年末までに合意・締結されるはずであった。もっとも、双方共に、条約の締結は間もなくであるとしている。ラヴロフ露外相によると、新たな戦略兵器削減条約では、戦略攻撃兵器のかつてない大幅削減を規定するものになる。同外相は、「現在ジュネーブで行われている協議の結果によって、戦略攻撃兵器は、数10年ぶりの大幅削減となる見通しである。」と述べている。
ロシアとEUの関係にも、最近、改善の兆しが見える。EUの代表からは、再び、EUとロシアのビザ緩和に関する声が聞こえている。また、ロシアのシュヴァロフ副首相も、CIS諸国とロシア、EU各国での統一経済圏創設を提唱して、前向きな姿勢を示している。しかし、現在のところ、統一経済圏の問題についてはもちろん、ビザ緩和の問題についても、具体案が出るところまでは至っていない。ロシア科学アカデミー国際安全保障研究所のFenenko研究員は、EUとのビザ緩和に関する問題は、ロシアにとって、喫緊の課題ではないと指摘する。同氏は、「ロシアとしては、極東地域で効果的な統治を行うために、同地域におけるビザ発給体制を強化することの方が重要である。また、EU加盟国の財政問題が噴出している中で、ロシアと統一経済圏を創設することがEUにとって重要なテーマとはなり得ない。」と述べる。
EUとの協議が具体化しているのは、経済分野に限られている。例えば、最近、フィンランドは、ノース・ストリーム・パイプラインの敷設について、ゴーサインを出し、最終的に承認した。また、ギリシャは、先週、サウス・ストリーム・パイプラインの敷設について反対しないことを表明した。また、ルーマニアもサウス・ストリームへの接続を希望した。ところで、ロシアとEUは、エネルギー供給分野における異常事態の早期通告に関する協定を交わしている。この協定は、ロシアとベラルーシが原油輸出の問題で対立した際に役割を果たした。この問題にあたっては、欧州の政府高官も解決に動いた。
しかし、ロシアとEUのエネルギー協力にも、全く影が見えないわけではない。欧州におけるサウス・ストリーム敷設事業の承認を得たことに満足したロシア政府は、2010年には、この事業がEUの優先プロジェクトリストに加えられるだろうとの認識を示した(シマトコ・エネルギー相の発言)。しかし、現在のところ、そうした動きはなく、優先度としては、ナブッコ・パイプライン(サウス・ストリームの競合)の方が高い。
ロシアとEUの協議は、双方の利益という点から、EU加盟国がサウス・ストリームの敷設を許可するのと引き換えに、ガスプロムに対して、トランジット料金の引き上げを求めて交渉する方向に動いている。現在は、ブルガリア(EU加盟国中、唯一、ロシアのサウス・ストリーム事業を承認していない)とトルコがトランジット料金の引き上げを要望している。
[南米に対する政策]
ロシアは、南米では、良好な関係を築いている。最近では、ロシア石油企業コンソーシアム(ガスプロム、ロスネフチ、ルクオイル、スルグトネフチェガス、TNK-BPが傘下)とベネズエラのペトロレオス・デ・ベネズエラが原油採掘に関する協定を交わした。また、主だった南米諸国は、アブハジアと南オセチアの独立を認めている。
先々週には、ラヴロフ外相の南米外遊が始まった。この外遊で、ラヴロフ外相は、ロシア製の武器や軍事技術を南米諸国に供給する契約を交わした。ロシアと南米諸国の協力関係は、武器の供給と引き換えに、ロシア企業の油田・ガス田開発を許可するという法則に立脚している。
欧米諸国は、ロシアの動きに注目している。現在のロシアと欧米諸国の関係は口約束を拠り所にしていて、文書化はされていない。これから、双方の関係は後退する可能性もあれば、進展する可能性もある。ロシアとアブハジア共和国の協定に対するNATOの反応も、そのことを示唆していると言えるだろう。
FINAM
2010_02_22L
【経済トピックス】ロシアはFDIでNo.4
国連の貿易開発に関する会議において、世界の対外直接投資額が発表された。2009年の直接投資額は対前年比で約39%落ち込み、1兆ドル強となった。ちなみに2008年は1兆7000億ドル。
投資国別では、米国が1番で、次いで中国、フランス、ロシアの順となっている。
その後はドイツ、インド、イタリア、ブラジル、メキシコで、日本は10番目。
ロシアは4番目となっている。
2010_02_16L
ガスプロム展望:ガス田開発事業の先行きは?
シュトクマン・ガス田開発の第1段階を行うShtokman Development AG(出資比率はガスプロムが51%、フランスのトタルが25%、ノルウェーのスタトイルが24%)の取締役会は、同ガス田の開発を3年間延期し、2016-2017年とすることを決定した。ガスプロムは、「ガスパイプライン建設に関する最終的な投資判断は、2011年3月に決定することが予定されている。また、液化天然ガス生産の第2段階開発に関する決定は2011年末を予定している。こうした取り組みにより、2016年にはパイプライン輸送を行うためのガス採掘を開始し、2017年には液化天然ガスの生産を確立することができる見通しである。」としている。
シュトクマン・ガス田操業開始の延期は、全体的な需要の低下、及び、供給先となるはずであったアメリカ市場における供給過剰という現在の市況を鑑みたものである。多くの専門家は、この先も、開発時期に遅れが出ることは少なからずあるだろうと考えている。MetropolのアナリストであるNazarov氏は、「将来的な増産のためには、シュトクマン・ガス田の開発が必要である。しかし、現在の市況では、シュトクマン・ガス田における生産原価からすると、この投資事業の元を取ることは難しい。開発事業が延期された最大の理由はこれである。」と述べる。同氏は、今後数年間における増産のためであれば、ガスプロムとしては、ボヴァネンコヴォ・ガス田だけで十分間に合うとの見解を示している。
Arbat CapitalのGromadin氏は、2012年にもガス市場は回復し、その頃には、ガスプロムも、バレンツ海のシュトクマン・ガス田開発に難無く着手することができるだろうと予想している。今後のシュトクマン・ガス田開発事業の見通しについては、ガスプロムの提携企業であるスタトイルとトタルも注目しているが、両社とも、この開発事業から近いうちに手を引くつもりはないと発表している。
一方、世界のガス市場は大きな変貌を遂げている。このため、シュトクマン・ガス田のガスが、今後、欧州での買い手を当分獲得することができなくなってしまう可能性もある。例えば、欧州市場では、カタール産液化ガスより、バレンツ海大陸棚から産出されるロシア産液化天然ガスの方が高くなるだろう。
ガスプロムが操業開始を延期したのは、シュトクマン・ガス田が初めてではない。これまでにも、ガスプロムは、大規模ガス田であるボヴァネンコヴォ・ガス田(ヤマル半島)の操業延期を発表してきている。また、新たな油田の開発に多額の投資を行わなくても、ガスプロムは生産量を増加することができると指摘する専門家もいる。アナリストの試算によると、ガスプロムの開発済みガス田における新規坑井の内部利益率は34%である。つまり、ガスプロムは、開発済みガス田の効率性を向上させることが十分にできるという結論が導かれる。
ガスプロムは、経費削減に注力しつつも、アルジェリア、リビア、ベネズエラ、ベトナム、インドを始めとする海外のガス田開発を積極的に行っている。海外における生産コストは、ロシア国内よりも低い。もっとも、海外の事業だと、国内産地を開発する時のように、ガスプロムが自由を謳歌することはできない。また、海外の資源開発には、政治的リスクもある。
FINAM
2010_02_09L
ロシアの石油企業:ベネズエラの油田開発に参入
2月1日、ロシアとベネズエラは、オリノコ川流域のフニン第6鉱区における原油採掘にロシア企業が参加することで、一連の合意を締結した。特に、ベネズエラの原油を採掘するための合弁企業をロシア国営石油会社コンソーシアムと設立する協定が交わされた。この合弁会社には、ガスプロム、ルクオイル、ロスネフチ、スルグトネフチェガス、TNK-BPとベネズエラの国営企業であるペトロレオス・デ・ベネズエラが入る。
今回の協定によると、合弁会社の権益は、ロシア国営石油会社コンソーシアムが40%、ペトロレオス・デ・ベネズエラは60%である。合意文書では、今後40年間に渡るフニン第6鉱区の開発を想定している。ロシアの石油企業は、同鉱区の開発に200億ドルを投下する。開発事業は、今年中にも開始される見通しである。
フニン第6鉱区の原油埋蔵量は51億6000トンで、地質埋蔵量は88億3000トンと評価されている。専門家によると、これは非常に大きな規模である。FINAMのアナリストであるEremin氏の評価では、フニン第6鉱区の埋蔵量は、サハリンとカムチャッカの大陸棚の埋蔵量合計に匹敵する。
ロシア最大手の石油企業がこのコンソーシアム事業のためにまとまっていることからも、ロシア企業にとって、ベネズエラの事業が重大であることが分かる。Eremin氏は、「ロシアの大手石油企業5社が、国外でコンソーシアムとして結集した例はこれまでない。」と述べる。ロシアとベネズエラの合弁石油企業は、今年の年末にも、事業を開始することが見込まれる。Arbat CapitalのGromadin氏は、「オリノコ川流域全鉱区の埋蔵量が国際的に承認されれば、ベネズエラの原油埋蔵量は世界最大となる可能性がある。」と述べる。
もっとも、ベネズエラで石油企業が事業を行うことには、大きな政治的リスクがある。投資会社Capital Investment GroupのアナリストであるKryukov氏は、「こうした関係は、政治的基盤に基づくもので、チャベス大統領との合意に依存している。これまでにも、アメリカとの政治的対立が先鋭化したとたんに、アメリカの石油企業がベネズエラから国外退去となった例があった。ベネズエラの政治体制が変わったり、政治レベルで軋轢が生じたりした場合、ロシア企業も同じような目に遭う可能性はある。」と考えている。
多くの専門家は、産油国(イラク、イラン、ベネズエラ等)における政情不安は、原油採掘に対する投資の減退を招き、それによって、石油不足が起こる可能性もあると考えている。
しかし、そうしたリスクは、ロシアとベネズエラが包括的な協力関係を構築していることによって、解消されるだろう。Arbat CapitalのGromadin氏は、「両国には、油田開発に加えて、武器や自動車産業といった他の分野でも協力関係がある。また、今後、ロシア企業は、ベネズエラで発電所建設に関わる可能性がある。こうした両国の関係は、ロシア石油企業にとっての政治的リスクを大きく緩和している。」と述べる。
セチン副首相も、ロシアがベネズエラと経済協議を続けていく方針であると言及している。同副首相によると、すでにロシアは、アフトワズの自動車2500台を供給する契約に合意する旨をベネズエラ側に伝えている。また、アフトワズ以外のロシア自動車メーカーの自動車を供給する可能性もあるとしている。ベネズエラにとって、こうした援助は都合が良いとしか言いようがない。ベネズエラの自動車価格は、アメリカの自動車価格の3倍もする。
それに加え、ロシアの指導者層は、両国の経済面に特化して焦点を当てようとしている。ロシアの政府高官は、チャベス大統領とアメリカの関係については取り合わないようにしている。ロシアにとって、アメリカやEUと協議ができる体制を維持することは重要である。ベネズエラ側も、ロシアと政府的諸問題で相互理解を得ることには固執していない。ロシアが持っている油田開発技術は、ベネズエラにはないのである。
FINAM
2010_02_05L
金融危機対策:見直しの時期に
対外経済銀行のドミトリエフ総裁は、政府の金融危機対策を縮小すべき時が来たと考えている。同氏は、ダヴォスの世界経済フォーラムで、「対外経済銀行に拠出された1750億ルーブルは、利子を含めて1880億ルーブルにして安定化基金に返済した。また、外債の返済に支障をきたした企業に対して、政府が対外経済銀行を通じて行う支援も大きく縮小された。この中には、債務が償却されたケースや政府の支援を受けずに、民間の銀行から貸付を受けたケースがある。こうした対策は、その役割を果たしたと言えるだろう。」と発言した。
Arbat CapitalのアナリストであるPavlov氏は、ここでの話題について、金融危機対策全般のことではなく、財務省が金融市場支援のために対外経済銀行に拠出した資金のことだと注釈する。同氏によると、金融市場支援に投下された資金は、事実、市場の安定に寄与し、対外経済銀行自体も利益を得た。Pavlov氏は、「3月には、こうした資金は市場から引き揚げられるだろう。特別な対策はもう必要ない。支援策には自ずと区切りがついた。」と述べる。
ロシア中央銀行の支援策も、銀行システムの流動性に問題がないことから、徐々に引き締められている。金融危機対策全般としては、まだ完了するまで至っておらず、近いうちにそうした時期が来るのかどうかということでも、専門家の間で意見は分かれている。
経済指標の中でも重要な指標であるGDPはまだマイナス成長を示している。2009年通期のGDPは、マイナス8.5%相当になる見通しである。
また、資金調達難や製品需要の低迷に苦しむ実体経済も、依然厳しい状況にある。特定の指標では改善も認められるが(2009年11月の鉱工業生産は前年同期比1.5%増、12月の同指標は前年同期比2.7%増)、政府高官は、まだ安定化には程遠いとしている。
ロシア国家統計局のデータによると、2009年通期としてのロシアの鉱工業生産は10.8%減、課工業生産は16%減となっている。産業の低迷は、失業率にも反映されている。2009年12月におけるロシアの失業者数は617万3000人(労働力人口の8.2%)であった。前年同期の失業率は7.7%であった。
ロシア経済を支援するための金融危機対策は、昨年といい今年といい、エコノミストの非難を呼んでいる。Arbat CapitalのアナリストであるPavlov氏は、支援の手があらゆるセクターに広がりすぎている一方、建設や小売といった業界にはさらなる具体的な支援策が必要であるとしている。
貸付金利が高いことも問題である。AlorのアナリストであるLesinaya氏は、他国のように低金利政策を取るべきなのに、ロシア中央銀行のリファイナンス金利は8.5%と非常に高い水準にあると述べる。同氏は、低金利政策を取れば、企業も市場で必要な資金を調達することができるだろうと考えている。
しかし、金融危機対策の中には、効果の薄いものもある。ロシア下院予算税務委員会のDmitorievaya氏は、そうした無駄な対策からはすっかり手を引くべきだと考えている。企業の資本増加策やロスナノが外国資産を取得するための公的資金拠出は、そうした例である。Dmitorievaya氏は、「安定化基金であろうと、ロスナノであろうと、資本が流出することに変わりはない。外国資産への投資という方針自体が問題である。資産を取得した国の危機克服に寄与するだけだ。」と述べる。
FINAM
2010_02_01L