ロシア進出支援とロシア株専門の証券会社、ARUJI GATE証券(アルジゲート証券)

HOME > ロシア分析レポート > 通信・IT業界 > モバイル・テレシステムズ(MTSS)、2009年1-9月の決算を発表(コムスターを含まない最後の決算)

モバイル・テレシステムズ(MTSS)、2009年1-9月の決算を発表(コムスターを含まない最後の決算)

 モバイル・テレシステムズが発表した今回の決算は堅調な内容である。売上高は計画通りの水準で伸び、OIBDA利益率は予測を上回った。しかし、小売事業からの収益は予測を大きく下回っており、2009年1-9月における設備投資額は、金融危機前の前年同期比の値を超えている。もっとも、今回の決算に意外性はないため、同社株価が影響を受けることはないだろう。コムスター・ユナイテッド・テレシステムズ発行株式の51%を取得したことで、モバイル・テレシステムズの財務指標は、大きく変わることが予想される。従って、ファンダメンタルズの観点からすると、モバイル・テレシステムズにとっては、2009年通期としての決算、及び、コムスターの1-9月決算が重要となるだろう。

 11月13日、モバイル・テレシステムズは、2009年1-9月の決算を発表した(米国会計基準)。

 第3四半期のドル建て売上高は前期比12%増となったが、1-9月としての売上高は、前年同期比22%減となった。売上高に大きく影響したのは、CIS諸国の対ドル為替レートである。CIS諸国の通貨が対ドルで上昇したことにより、ドル建ての売上高は多少伸びた。モバイル・テレシステムズの売上高は、概ね、FINAMが予側した範囲内である。FINAMは、2009年通期としての同社売上高(有線通信事業、及び、小売事業を含まず)を前年比21%下回る80億8100万ドルの水準になると予測している。

 小売事業の売上高は約7倍に増加してはいるものの、収益水準は、予測(通期で6億100万ドル)を大きく下回っている。FINAMは、モバイル・テレシステムズの財務モデルを作成するにあたり、2008年に5億3500万ドルで取得したTelefone.ruの売上高を勘案している。こうした小売店舗の統合による効果が薄れ、小売事業全体として、悪影響が及ぶ可能性もある。しかし、2009年通期としての決算が発表されるまでは、結論を急ぐことはできない。その理由としては、第1に季節要因(年末年始における小売販売からの収入が売上全体に占める割合は約25%)、第2に小売事業によって主要事業に好影響が出る可能性もあること(Telefone.ruの統合が、主要事業の増収増益に寄与した可能性は排除できない))が挙げられる。

表:モバイル・テレシステムズの主要財務指標(単位:100万ドル)

指標

081-9

091-9

前年同期比

093Q/092Q

売上高

7 827

6 099

-22%

12%

:携帯端末小売事業の売上高

26

195

651%

60%

OIBDA

3 978

2 848

-28%

11%

OIBDA利益率

50,8%

46,7%

-4,1%.

-0,3%.

純利益

1 792

1 001

-44%

-12%

純利益率

22,9%

16,4%

-6,5%

-6,0%

出典:同社のデータ、FINAMの計算

 2009年1-9月におけるOIBDA利益率は、前年同期と比較して大幅に低下した(Telefone.ruの統合が影響)。しかし、第3四半期と第2四半期を比較すると、ほぼ変化はない。全体として、OUBDA利益率はFINAMの予測を大きく上回っている。FINAMは、2009年通期としてのOIBDA利益率を40%程度に低下するものと予測していた。

 2009年第3四半期の純利益は、引き続き低下し、純利益率は前期比で6%減となった。しかし、2009年1-9月の純利益率は2009年上半期の純利益率を3.2%上回っている。

 ネガティブな要素としては、設備投資の増額が挙げられる。金融危機後の2009年1-9月における設備投資額は15億9700ドルで前年同期の設備投資額を3%上回っている。FINAMは、かねてより、同社経営陣による設備投資予測の引き上げを指摘してきたが、実際の数字を見ると、ネガティブな印象はさらに強まる。売上高が前年同期比22%減となっている中で、設備投資費が3%増加していることは、合理性に欠けるだろう。

 FINAMの計算によるモバイル・テレシステムズ普通株の2011年末時点における目標価格は11.71ドル/株(およそ340ルーブル)。評価は「買い」。

《モバイル・テレシステムズの会社概要》
ロシア・CIS諸国最大手携帯通信会社。主にGSM規格で携帯通信サービスを提供。ロシアのほぼ全地域において事業を展開。その他、国内48地域において固定通信サービスを提供することが出来るライセンスを取得。合計8500万人に携帯・通信サービスを提供。主要株主は持株会社システマであり、50%以上の株式を保有。

時価総額:153億4861万1262.6ドル

普通株の株価:7.7ドル/株(およそ220ルーブル)
目標株価:11.71ドル/株(およそ340ルーブル)
評価:「買い」
週間変化率:3.9%
月間変化率:6.1%
年間変化率:82.1%

20091116MTSS.gif

2009_11_17L