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通信・IT業界: 2009年5月

モバイル・テレシステムズ(MTSS)、コムスター・ユナイテッド・テレシステムズを取得するとの噂が浮上

 FINAMとしては、モバイル・テレシステムズがコムスター・ユナイテッド・テレシステムズを取得する必要性はないと考えている。固定電話事業と携帯電話事業が統合することの相乗効果がないに等しいことは、ゴールデン・テレコムを取得したヴィムペル・コミュニケーションズの2008年決算を見れば明らかである。もっとも、モバイル・テレシステムズとコムスター・ユナイテッド・テレシステムズが何らかの取引を行うことは十分に考えられるが、双方にどのような利益があるのかということが明確になるのは、条件が明らかにされた後である。

 5月19日、ヴェドモスチ紙は、匿名の情報源から得た情報として、モバイル・テレシステムズがコムスター・ユナイテッド・テレシステムズ株51%を取得することをほぼ決定し、間もなく、反独占局に対して、然るべき届出をすると報じた。両社は共に、システマの子会社である。現在のところ、モバイル・テレシステムズも、コムスター・ユナイテッド・テレシステムズも、コメントを発表していない。

 以前より、2007年末にゴールデン・テレコムを取得したヴィムペル・コミュニケーションに対する対抗措置として、システマがこうした統合を検討しているとの情報があった。

 FINAMは、これまで、モバイル・テレシステムズ経営陣がこうした統合の必要性について言及したことはないと指摘してきた。また、モバイル・テレシステムズとコムスター・ユナイテッド・テレシステムズの統合による相乗効果は、まったく見えてこない。両社の事業は大きく異なっており、地理的領域もかけ離れている。

 さらに、つい先日、ヴィムペル・コミュニケーションズが2008年決算を発表したが、ゴールデン・システム統合によって、決算内容がポジティブに推移した形跡はない。

 しかし、それと同時に、FINAMは、モバイル・テレシステムズとコムスター・ユナイテッド・テレシステムズが統合する可能性は50%以上あると考えている。負債の比較的少ないモバイル・テレシステムズは、多額の資金調達も可能である。しかし、取引規模が公式的に明らかにされるまでは、明確な予想を立てることはできない。

《モバイル・テレシステムズの会社概要》
ロシア・CIS諸国最大手携帯通信会社。主にGSM規格で携帯通信サービスを提供。ロシアのほぼ全地域において事業を展開。その他、国内48地域において固定通信サービスを提供することが出来るライセンスを取得。合計8500万人に携帯・通信サービスを提供。主要株主は持株会社システマであり、50%以上の株式を保有。

時価総額:104億4502万8963.12ドル

普通株の株価:5.24ドル/株(およそ167.4ルーブル)
目標株価:10.55ドル/株(およそ337ルーブル)
評価:「買い」
週間変化率:2.5%
月間変化率:9.7%
年間変化率:-58.9%

20090520MTSS.gif 

2009_05_21 E

ヴィムペル・コミュニケーションズ(VIMP)、2008年決算を発表(米国会計基準)

 ヴィムペル・コミュニケーションズの業績は、インパクトに欠けるものとなった。同社携帯通信事業の成長率は、競合企業モバイル・テレシステムズをわずかに下回った。OIBDA収益率は予測どおり低下した。純利益率は、第4四半期に大きな損失を計上したことで5%まで低下した。しかし、もっともネガティブな要素は、同社とGolden Telecomの統合による相乗効果が見られなかったことである。今の段階では、統合によるメリットもデメリットも見えてこない。

 5月13日、ロシアの大手通信事業者であるヴィムペル・コミュニケーションズは、2008年決算を発表した(米国会計基準)。

 2008年通期としての売上高は前年比41%増の101億1700万ドルとなり、わずかながら、モバイル・テレシステムズの売上高(102億4500万ドル)に届かなかった。ヴィムペル・コミュニケーションズの売上高が大きく伸びたのは、買収したGolden Telecomを統合したためである。事業統合を考慮に入れない同社の増収率は23%である。

 OIBDA収益率は2%の低下に止まった。これは、高収益の携帯通信事業のみならず、固定通信事業も行っている企業としては、評価できる数値である(携帯通信事業のOIBDA収益率は51%で、モバイル・テレシステムズの50%を上回っているが、固定通信事業のOIBDA収益率は27%である)。

 しかし、ヴィムペル・コミュニケーションズとGolden Telecomの統合が発表された時、FINAMが想定した統合後のOIBDA収益率が48%であった(2007年12月)。従って、1年が過ぎた現在も、2社統合による相乗効果は見えてこないということになる。

表;ヴィムペル・コミュニケーションズの主要財務指標(単位:100万ドル)

指標

2007

2008

2008/2009

2008/2009

モバイル・テレシステムズ

売上高

7 171

10117

41%

24%

OIBDA

3597

4860

35%

22%

OIBDA収益率

50%

48%

-2 %

50%

純利益

1 463

524

-64%

-7%

純利益率

20%

5%

-15%

19%

出典:ヴィムペル・コミュニケーションズ、モバイル・テレシステムズのデータ、FINAMの計算

 純利益は、およそ3分の1に減少した。これには、資産の再評価が大きく影響した(資産の再評価だけで、2008年第4四半期に10億ドル以上の損失を計上)。現在、ルーブル相場が落ち着いていることを勘案すると、2008年第4四半期における損失は、特異的なものであったと評価される。

 現在、FINAMは、ヴィムペル・コミュニケーションズ株に対する評価を出していない。しかし、今回の決算発表は、恐らく、短期的な同社株価の悪材料となるだろう。また、通信業界全体に影響が波及する可能性もあるだろう。

 《ヴィムペル・コミュニケーションズの会社概要》
ロシア・CIS諸国大手携帯通信会社。国内で最も有名な商標「Beeline」で携帯通信及びインターネットのブロードバンドサービスを提供。ロシア以外にカザフスタン、ウクライナ、ウズベキスタン、タジキスタン、グルジア、アルメニアにおいて事業を展開。ロシアの会社で最初にNYSEに上場。

時価総額:101億8589万6565.18ドル

普通株の株価:5.11ドル/株(およそ163.4ルーブル)
週間変化率:-4.4%
月間変化率:0.03%
年間変化率:-57.6%

2009_05_15L



 

 



 

ヴォルガテレコム(NNSI)、2009年第1四半期決算を発表(ロシア会計基準)

 ヴォルガテレコムの決算は、中立的内容となった。収益率にはほぼ変化がなく、携帯通信事業を除外した売上高はわずか3%程の増加に止まった。FINAMは、より客観的な評価ができる国際会計基準準拠の決算を重要視している。

 5月8日、ヴォルガテレコムは、2009年第1四半期決算を発表した(ロシア会計基準)。FINAMは、同社の業績を評価するにあたり、ロシア会計基準による決算は、国際会計基準による決算と比較して、それほど重要ではないが、事業拡大の進度についてある程度評価することはできると考える。

 同社のルーブル建て売上高は、前年同期比3%増となった。ロシア会計基準による収益には規模の大きい携帯通信事業が勘案されていない。ロシア会計基準による収益は、国家規制が敷かれている固定電話事業のみが対象となっている。そのため、増収率はわずか3%であるが、相対的にみるならば、中立的と評価される。

表:ヴォルガテレコムの主要財務指標(単位:100万ドル)

指標

20081Q

20091Q

081Q/091Q

売上高

6 471

6 655

3%

OIBDA

2 494

2 628

5%

OIBDA 収益率

39%

39%

0%.

純利益

777

765

-2%

純利益率

12%

11%

-1%

出典:ヴォルガテレコムのデータ、FINAMの計算

 OIBDA収益率、及び、純利益率には、ほぼ変化がなかった。しかし、ロシア会計基準による決算では、経費・減価償却費に関する認識が異なるため、上記指標が客観的であるとは言い難い。従って、FINAMは、特に収益性の指標に関しては、国際会計基準による決算発表を待って、より詳細な分析を実施する予定である。

現在、FINAMは、ヴォルガテレコム普通株・優先株に対する評価を出していない。

《ヴォルガテレコムの会社概要》
ロシア大手通信会社。沿ヴォルガ管区を中心に通信サービスを提供。7つの地域間通信会社の内、1社。10の地域通信会社が合併した結果、誕生した企業。固定国内・国際電話通信、携帯電話通信、インターネット、ケーブルテレビ・ラジオ等のサービスを提供している。主要株主は国営持株会社Svyazinvest。

時価総額:2億7548万1677.64ドル

普通株の株価:0.9ドル/株(およそ29.3ルーブル)
週間変化率:2.1%
月間変化率:14.6%
年間変化率:-80.5%

20090512NNSI.gif優先株の株価:0.66ドル/株(およそ21.4ルーブル)
週間変化率:3.6%
月間変化率:-5.1%
年間変化率:-79.2%

20090512NNSIp.gif

2009_05_13L



 

 



 


 

極東電気通信会社(ESPK)、2009年第1四半期決算は好調(ロシア会計基準)

 OIBDA収益率は若干低下したものの、極東電気通信会社の決算は非常に好調であった。売上高は12%増となった。地域間通信料金が引き上げられたのは3月1日からだったが、連結売上に占める新事業からの収益は29%に上昇した。

 5月6日、極東電気通信会社は、2009年第1四半期の決算を発表した(ロシア会計基準)。FINAMは、基本的に、四半期決算等の短期業績を重要視してはいないが、事業の成長状況に対する事前評価を出すことは可能であると考えられる。

 同社の売上高は順調な伸びを示した(前年同期比12%増)。これは、同社が携帯通信事業に力を入れていないことを考えると、売上高の絶対値は少ないものの非常に好調な数字であると評価される。増収率の向上は、特に、域内通信事業(24%増)、及び、新事業(33%増)の売上が大きく伸びたことによるものである。地域間通信料金が引き上げられたのは3月1日からであったため、売上に対する好影響は、それほどでもなかった。料金の平均引き上げ幅は個人向けが9.4%、法人向けが7.3%である。

 売上全体に占める新事業の割合が29%となったことは注目すべきである(前年は25%)。非定期的な高収益事業は、今後、地域間通信会社各社が成長する上で重要な要素となるだろう。この点で、極東電気通信会社は、スヴャズインヴェストから民営化された子会社の中で、先端を行っている。

表:極東電気通信会社の主要財務指標(単位:100万ルーブル)

指標

081Q

091Q

081/091Q

売上高

2 943

3 297

12%

OIBDA

1 249

1 321

6%

OIBDA収益率

42%

40%

-2%

純利益

539

645

20%

純利益率

18%

20%

2%

出典:極東電気通信会社、FINAMの計算

 OIBDA収益率は2%低下したものの、同社の収益性は非常に高い(OIBDA収益率は40%)。従って、若干の収益低下によって、同社の投資魅力が損なわれることはないだろう。しかし、第2四半期にも収益率の低下傾向が続くようであれば、同社のキャッシュフロー、及び、企業価値にはネガティブな影響が及ぶ可能性がある。

 FINAMは、極東電気通信会社普通株・優先株に対する評価を共に「買い」とする。普通株の2009年末時点における目標価格は2.6ドル/株(およそ85.5ルーブル)。優先株の2009年末時点における目標価格は1.9ドル/株(およそ62.4ルーブル)。

《極東電気通信会社の会社概要》
ロシア大手通信会社。極東地域を中心に通信サービスを提供。7つの地域間通信会社のうちの1社。同地域における市場シェアが大きく、固定電話通信、携帯電話通信、インターネット等のサービスを提供している。主要株主は国営持株会社Svyazinvest。

時価総額:1億3036万5625.73ドル

普通株の株価:1.09ドル/株(およそ35.8ルーブル)
目標株価:2.6ドル/株(およそ85.5ルーブル)
評価:「買い」
週間変化率:12.3%
月間変化率:4.9%
年間変化率:-75.9%

20090507ESPK.gif優先株の株価:0.84ドル/株(およそ27.6ルーブル)
目標株価:1.9ドル/株(およそ62.4ルーブル)
評価:「買い」
週間変化率:7.7%
月間変化率:-5.6%
年間変化率:-77.3%

20090507ESPKp.gif

2009_05_08L