通信・IT業界: 2010年1月
モバイル・テレシステムズ(MTSS)、メガフォン支配株の国家譲渡は同社株の好材料
メガフォン支配株が国家に譲渡される場合、携帯電話分野における競争は低下する可能性がある。これは、モバイル・テレシステムズ株の好材料となるだろう。
1月25日、連邦反独占局のイゴリ・アルテミエフ局長は、Altimoが保有するロシアの最大手携帯通信会社2社のうち、1社の持分を自主的に売却することを歓迎する考えを示した(現在、Altimoは、ヴィムペル・コミュニケーションズ議決権付株式44%、メガフォン株式25.1%を保有)。
また、アルテミエフ局長は、ヴィムペル・コミュニケーションズとKievstar、及び、メガフォンとTurkcellの合併を検討するにあたり、Altimoに対して、上記2社のうち、1社の持分を売却することを勧告する可能性もあると述べた。
アルテミエフ局長の発言は、ロシア携帯通信市場全体に影響を及ぼすだろう。同発言は、ロシアのマスコミ通信省の意見とほぼ一致するものである。こうした発言は、政府の勧めに従わなければ、問題が発生するということをAltimoに伝える明確なメッセージであると考えられる。
市場では、メガフォンの大株主であるアリシェル・ウスマノフ氏(同社株式31.13% を保有)が、持分売却に関して、国営持株会社スヴャジインヴェストと協議を行っているとの噂が流れていた。
FINAMは、上記2つの出来事が相互に関連したものであり、その最終的な目的は、スヴャジインヴェストとの合併を見据えて、メガフォン支配株を国家が取得することであると考える。
国家が、Altimo、及び、ウスマノフ氏が保有するメガフォンの持分を取得した場合には、メガフォン議決権付株式56.23%を獲得することになる(メガフォンは携帯電話分野で第3位の規模を誇る)。
メガフォン経営陣は、スヴャジインヴェストと統合した場合、国家の影響力が同社事業にネガティブに働く可能性があることを懸念しているが、FINAMとしても、その点が危惧されると考える。
メガフォン取締役の必然的な交代、事業構造の再編、社会的責務の発生、及び、官僚主義的な経営によって、少なくとも、今後数年間、携帯通信市場におけるメガフォンの地位は後退する可能性がある。その結果、携帯電話分野での競争は低下し、モバイル・テレシステムズ及びヴィムペル・コミュニケーションズにとって、有利に働くと予想される。
FINAMは、もっとも利益を受けるのは、現在、価格の面でメガフォンに一番近い競合企業であるモバイル・テレシステムズであると考える。
結論として、連邦反独占局のイゴリ・アルテミエフ局長の発言は、モバイル・テレシステムズ株を支える好材料になるだろう。
FINAMはモバイル・テレシステムズ普通株に対する評価を据え置きの「買い」とする。モバイル・テレシステムズ普通株の12ヶ月後における目標価格は12.2ドル/株(およそ366ルーブル)。
《モバイル・テレシステムズの会社概要》
ロシア・CIS諸国最大手携帯通信会社。主にGSM規格で携帯通信サービスを提供。ロシアのほぼ全地域において事業を展開。その他、国内48地域において固定通信サービスを提供することが出来るライセンスを取得。合計8500万人に携帯・通信サービスを提供。主要株主は持株会社システマであり、50%以上の株式を保有。
時価総額:155億4794万3876.4ドル
普通株の株価:7.8ドル/株(およそ230ルーブル)
目標株価:12.2ドル/株(およそ366ルーブル)
評価:「買い」
週間変化率:-3%
月間変化率:5%
年間変化率:129%

2010_01_27L
モバイル・テレシステムズ(MTSS)、2008年の配当金支払いを完了
FINAMは、ロシア通信業界の中で、もっとも魅力的な投資先はモバイル・テレシステムズ普通株であると考える。同社普通株の予想株価上昇率は67%で、配当利回りも安定した高水準で推移している。
1月11日、モバイル・テレシステムズは2008年配当金の支払いが完了したことを発表した。総額394億ルーブルの配当金は全額が支払われた。普通株1株あたりの配当金は20.15ルーブルで、純利益の60%が配当金に充てられている。
モバイル・テレシステムズは、株主資本の増強を目的に積極的な配当政策を取っている数少ない通信企業である。同社配当政策の特徴としては、配当性向が高いことが挙げられる。配当性向は、収益予測、予定設備投資額、予定内部留保額、流動負債を始めとする種々の要素によって決定される。しかし、モバイル・テレシステムズの配当政策では、純利益(米国会計基準)の50%以上を普通株の配当に充当することを目標としている。2005年以降、配当性向が50%以下に下がったことはなく、2005-2008年における配当金総額は37億ドル以上である。
表1 : モバイル・テレシステムズの配当
|
指標 |
2002 |
2003 |
2004 |
2005 |
2006 |
2007 |
2008 |
|
配当総額(100万ドル) |
111 |
220 |
403 |
562 |
747 |
1243 |
1158 |
|
配当性向 |
40% |
43% |
41% |
50% |
69% |
60% |
60% |
|
普通株1株あたりの配当金(ドル) |
0.05 |
0.1 |
0.2 |
0.27 |
0.36 |
0.58 |
0.69 |
また、モバイル・テレシステムズ普通株が、戦略的投資家にとって、魅力的な投資先であるもう一つの理由として、直近12ヶ月間における配当利回りがロシア通信企業の中で最大の8%であることが挙げられる。モバイル・テレシステムズに次ぐ配当利回りはタトテレコムの5.7%であり、極東通信会社の2.6%がそれに続く。
表2 : ロシア通信各社の配当利回り
|
企業 |
ティッカー |
配当利回り |
|
モバイル・テレシステムズ |
MTSS |
8.04% |
|
タトテレコム |
TTLK |
5.76% |
|
極東通信会社 |
ESPK |
2.58% |
|
北西テレコム |
SPTL |
2.47% |
|
ヴォルガテレコム |
NNSI |
1.74% |
|
シビリテレコム |
ENCO |
1.57% |
|
ウラル通信情報 |
URSI |
1.36% |
|
ロステレコム |
RTKM |
1.16% |
|
中央テレコム |
ESMO |
1.11% |
|
南テレコム |
KUBN |
0.62% |
|
バシインフォルムスヴャジ |
BISV |
0.21% |
|
コムスター |
CMST |
0.12% |
FINAMが作成したモバイル・テレシステムズのDCFモデルでは、2009年の純利益を15億ドル、2010年の純利益を16億ドルと評価している。従って、控えめに見積もっても、2009年の配当総額は7億5000万ドル以上、2010年の配当総額は8億ドル以上となり、普通株1株当たりに換算すると2009年が37セント、2010年が40セントになる。
上記の要素を勘案し、FINAMは、長期投資家に対して、モバイル・テレシステムズ普通株のロングポジション構築を推奨する。
《モバイル・テレシステムズの会社概要》
ロシア・CIS諸国最大手携帯通信会社。主にGSM規格で携帯通信サービスを提供。ロシアのほぼ全地域において事業を展開。その他、国内48地域において固定通信サービスを提供することが出来るライセンスを取得。合計8500万人に携帯・通信サービスを提供。主要株主は持株会社システマであり、50%以上の株式を保有。
時価総額:151億941万2126.04ドル
普通株の株価:7.58ドル/株(およそ223ルーブル)
目標株価:12.17ドル/株(およそ358ルーブル)
評価:「買い」
週間変化率:3.8%
月間変化率:3.6%
年間変化率:89%
2010_01_13L
